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 webnews 03/08/19 (火) <前へ次へindexへ>
福岡4連勝!大宮との打ち合いを制す。
2003Jリーグ ディビジョン2 第28節 アビスパ福岡vs.大宮アルディージャ

2003年8月16日(土) 19:00キックオフ 東平尾公園博多の森球技場 観衆:7,328人 天候:雨
試合結果/アビスパ福岡5−3大宮アルディージャ(前2−0、後3−3)
得点経過/[福岡]林(22分、31分)、[大宮]エジソン(73分)、バレー(78分)、[福岡]古賀(81分)、ベンチーニョ(82分)、[大宮]バレー(89分)、[福岡]ベンチーニョ(89分)


取材・文/中倉一志

 なんとなく始まった試合は3分、これといった前触れもなく黒崎のヘディングシュートが福岡ゴールを襲う。揺れるゴールネットに福岡は一瞬冷やりとしたがボールはサイドネット。ほっとすると同時に、なんともいえない雰囲気が漂う。このシーンに象徴されるように、この日の福岡は立ち上がりのリズムを掴み損ねた。雨で滑るピッチの影響なのだろう、中盤でのミスが多い。両翼と最終ラインの関係もどことなくアンバランスな感じだ。

 そういう意味では前半は大宮にとってはチャンスだったかもしれない。しかし、大宮もリズムを掴みきれないでいた。攻め手は最終ラインの裏に飛び出すバレーにロングフィードを送り込むだけ。バレーは危険な香りを漂わせて入るものの、この単調な攻めだけでは福岡を崩せない。時折、ミドルレンジから黒崎が狙うがゴールを捉えることは出来ないままだ。さらにボールホルダーにプレッシャーをかけられない最終ラインが、リズムの悪い福岡の反撃を許す。



 リズムが掴みきれない福岡。バレーばかりが目立つもののチームとして戦えない大宮。試合は膠着状態に陥っていた。しかし、そんな展開を林の豪快な2発が打ち破った。先制点は22分。ペナルティエリアの外でボールを受けた林は右足を一閃。重く、スピードのある豪快なシュートが一直線にゴールネットに突き刺さる。さらに31分、今度は右へ流れてベンチーニョからのパスをノートラップシュート。1点目をも凌ぐ目にもとまらぬシュートは低い弾道を描き、さらにGKの手前で浮き上がるようにしてゴールネットを揺らした。

 その後も福岡はミスが多く、決して試合のlリズムを掴んでいるわけではなかった。しかし、慌てるそぶりを見せず、要所を押さえて大宮の反撃を許さない。34分の大宮の決定機は塚本がファインセーブでゴールマウスを守り、ロスタイムにバレーが放った強烈なシュートは篠田が身体を投げ出して跳ね返した。悪い内容ながら決して崩れず、決めるべきときにゴールを奪って試合を有利に運ぶ。福岡の自信が感じられた前半だった。



「このまま終わったらダメだ。とことん戦う姿勢を見せろ」。菅野監督(大宮)はロッカールームで檄を飛ばす。そして右MFの安藤と、左SBの村田が高い位置まで進出。両サイドにボールを集めてなりふりかまわず攻めに出る。「相手は速攻喰らってもOKということで攻めてきていた」(松田監督・福岡)。そんな大宮に対して、福岡は守ってからのカウンターという定石通りの試合運びを選択。61分にはカウンターから決定的なチャンスを作り出す。しかし、これをベンチーニョがシュートミス。これが打ち合いの始まりだった。

 無難に守っていた福岡もさすがに押し込まれるシーンが目立ちだす。2ndボールを拾えずに、大宮の連続攻撃にさらされる。そして73分、大宮はクリアボールを拾った木谷のクロスボールにエジソンが頭で合わせて1点を返す。さらに78分、安藤からのロングフィードにバレーが反応。セルジオの裏を取ってGKと1対1に。放ったシュートはポストに当たったが、跳ね返ってきたところを落ち着いて決めた。あっという間の同点弾。この時点で、試合の流れは完全に大宮に傾いた。

「2−2になった時点で、かなり難しい試合だった」(松田監督)。福岡にとって、負けも覚悟しなければならない展開。シーズン前半戦で何度も見た光景だった。しかし、福岡は明らかに変わっていた。それを証明して見せたのが3点目のゴールだった。劣勢の中、ベンチーニョ、篠田とつないで最後は古賀へ。スピードで大宮DFを振りきった古賀がゴールを決める。絵に描いたようなカウンターだった。続く82分、福岡は再び見事なカウンターを展開。福嶋、古賀、アレックスとつないで、最後はベンチーニョが大宮を突き放す4点目を決めた。



 この後、大宮は1点を返したが後の祭り。福岡もロスタイムに1点を追加して4連勝を飾った。試合自体は大味なものとなり、藏田を欠いたDFラインが不安定さを見せたという課題も残したが、それ以上に福岡の成長振りが改めて感じられた試合だった。「最終的には勝点3を取れたというのが今日の一番の収穫。2−2に追いつかれた後に、もう一回奮起してくれたというのが非常にうれしかった」とは松田監督。「2−2になる形というのは、(今シーズンの)前半でもよくあった。そこから勝ったということは、どこかに少し勝者のメンタリティみたいなものが出てきた」と手応えを口にした。

 敗れた大宮にとっては、前半の2失点が全てだった。菅野監督は、「選手たちは最後まで勝利への気持ちを出してくれた」と評価する一方で、「その分、数的に不利な場面や、スペースを与えてしまった」とも。玉砕覚悟の打ち合いだったが福岡のたくましい試合運びの前に敗れ去った。課題はバレーに頼りきっている攻撃と、最終ラインの前のボールにプレッシャーがかけられないこと。特にDFラインと中盤との連携を高めることが急務と言えるだろう。


菅野監督(大宮)記者会見
松田監督(福岡)記者会見&インタビュー


(アビスパ福岡) (大宮アルディージャ)
GK: 塚本秀樹 GK: 川島永嗣
DF: 川島眞也 セルジオ 千代反田充 アレックス DF: 野口裕司 トニーニョ 奥野誠一郎 村田達哉
MF: 大塚和征(85分/古賀誠史) 篠田善之 米田兼一郎 宮崎光平(89分/宮原裕司) MF: 木谷公亮 斉藤雅人(67分/エジソン) 安藤正裕 伊藤彰
FW: ベンチーニョ 林祐征(77分/福嶋洋) FW: 黒崎久志(60分/盛田剛平) バレー
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