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| 満員のサポーターで埋まったビッグアイ(写真／星智徳) |
2003Ｊリーグ ディビジョン１ １stステージ第12節 大分トリニータvs.ジュビロ磐田
2003年7月13日（日）19:04キックオフ 大分スポーツ公園総合競技場（ビッグアイ） 観衆：34,823人 天候：屋内
試合結果／大分トリニータ０−４ジュビロ磐田（前０−３、後０−１）
得点経過／［磐田］服部（17分）、グラウ（28分、41分）、ジヴコヴィッチ
取材・文／中倉一志 写真／星智徳・中倉一志
チケットは前売りで完売。両ゴール裏とバックスタンドには移動式のスタンドが設置された。観衆はチーム史上最高となる34,823人。ビッグアイは試合前から異様なほどの熱気に包まれていた。スタジアムに響き渡るサポーターの大声援。ゴール裏全体が動いているかのような錯覚に陥る。そんな大声援を背に大分イレブンは、J1屈指の強豪に挑んだ。同じく30000人を越える観衆とともに鹿島と戦い１−１で引き分けた８節の試合が脳裏に浮かぶ。目指すは勝利の一文字だ。
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| 磐田に一泡ふかそうと必死の声援を送るサポーター。しかし・・・ (写真／星智徳) |
さらに12分、自陣中央付近で西からボールを奪った大分は素早くカウンターを展開。右サイドに流れていた吉田にボールをつなぐと、吉田は再びスピードを生かしてゴール前へ。ドリブルから放ったシュートは、今度はポストの左側へボール１個分だけ外れた。天を仰ぐ吉田。再び大きなどよめきが起こる。しかし、強豪相手に一歩も引かない構えを見せる大分にスタジアムのボルテージは最高潮。「やれるぞ」そんな雰囲気がスタジアムを包む。
しかし、大分が戦えたのはここまでだった。序盤から決定的なピンチに２度も見舞われたにも拘わらず、磐田は落ち着きを失わない。「前線から最終ラインまで幅が広くて、お互いの距離が離れている」とは柳下監督（磐田）の言葉。しかし、それでも丁寧にボールをつなぐ姿は、やはり磐田だった。そして17分、CKのこぼれ球をグラウが拾って服部へ。その左足から放たれたシュートが、ゴール上段、左隅に吸い込まれた。さすがのGK岡中も動くことが出来なかった。
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| 勝どきを上げる磐田サポーター。次は市原との大一番だ。 (写真／中倉一志) |
磐田の追加点は28分、服部、前田、名波とつないで、最後は名波のラストパスを受けたグラウが中央からゴールネットを揺さぶる。さらに41分、大分DFがキープするボールに前田がプレスをかけてボールを奪ってシュートを放つ。一度は岡中がファインセーブで防いだものの、そのこぼれ球をつないだ磐田は、再びグラウが押し込んでリードを広げた。前半だけで３−０。加えて攻め手を持たない大分。試合は前半だけで決まってしまった。
後半に入ると、大分は有村を下げて小森田を投入。３バックの布陣に変えて打開を図る。しかしペースは磐田が握ったまま。足が止まってしまった大分は前に出ることもかなわず、目の前でボールを回す磐田を、ただ後ろ引いて待ち構えているだけ。厳しいコンディション、しかも既に大勢が決している状況の中、磐田は無理をして攻めあがることをしなかったが、大分にもチャンスはなかった。そしてロスタイム、途中出場のジブコヴィッチが４点目を決めて試合に終止符を打った。
「執着心とか、そういうところが、もう少し欲しかった」。選手たちのふがいなさに小林監督は記者会見で一気にまくし立てた。実力の差は明らかだった。常に２つ、３つ先のプレーを予測して選手全体が動く磐田に対し、大分はボールホルダーと、もう１人が動くだけ。そのサッカーの質には大きな違いが存在した。しかし、リードを奪われながら、ただ後ろに構えているだけの大分に対し、サポーターから「動け、動け」の大合唱が起こる一幕も。75分を過ぎたあたりからは、満員の観客はゾロゾロとスタジアムを後にした。もう少し、戦う気持ちが欲しかった試合だった。
さて、勝点３を積み重ねて２位浮上した磐田。次節の市原との大一番に勝てば首位に立つ。シーズン開幕前、仕上がりの遅さが指摘されていた磐田だったが、優勝争いにきっちりと顔を出すのはさすがだ。「我々としては、あと４つ勝つしかない。ひとつひとつ、トーナメントのつもりでやっていく」とは柳下監督。注目の大一番は、7月20日19:00にジュビロ磐田スタジアムでキックオフされる。
| ● | 柳下監督（磐田）記者会見 |
| ● | 小林監督（大分）記者会見 |
