アルエット熊本　サポーター通信　〜悪夢の５分間 　レポート／川邊宏次郎

　今回のＫｙｕリーグの舞台は長崎県島原市。12年前に雲仙普賢岳の火砕流と土石流により廃墟となったその場所に島原復興アリーナという素晴らしい運動施設が建設されてした。街も新しく生まれ変わり12年前の悪夢から街自体が完全に立ち直っているようだ。

　さて我らがアルエット熊本、前節、首位を走るホンダロックに悔しい逆転負けを喫してしまったが島原ラウンド第１戦となった大隈ニフスユナイテッドには６−２と快勝。ここ５試合で４勝１敗と好調を維持している。島原ラウンド第２戦の相手は北九州からＪリーグを目指しているニューウェーブ北九州。いい選手をそろえながら波にのれず、また主力の怪我も重なってここまで６連敗と不調の真っ只中。こんなチームに今のアルエットが負けるわけがない。アルエットも得点ランキング２位の相良をはじめデフェンス陣も数人怪我で出場できずベストを組めないという不安要はあるがそれでもどん底の北九州には勝てると誰もが信じていた。

　キックオフ直後からボールを支配するのはアルエット熊本。ＮＷ北九州も個人技で突破を仕掛けるが攻めに恐さを感じない。24分、右サイドを突破しペナルティエリア内に進入した森本をＮＷデフェンダーがたまらずファール。これで得たＰＫをデフェンダーの松浦が決め先制に成功する。その後もアルエットペース。ロスタイムにも混戦からボランチ西村が押し込むもこれは惜しくもバーに嫌われた。後半に入っても勢いはアルエット。後半３分、ＣＫをＦＷ吹氣がヘッドで合わせ２点目を奪った。ＮＷは２トップを怪我で欠いており、２点あれば勝てるなと我々も応援しながら思っていた。実際、試合も２点リードのアルエットが支配しており、ＮＷはただボールを追うしかなかった。

　しかしこの流れが一つのセットプレーで変わってしまう。39分、ＮＷがなんとかもぎ取ったＣＫのチャンスをヘッドで決め１点差に追い上げられてしまう。ここからのＮＷの攻めは鬼気迫るものだった。守備を捨てまさに全員攻撃。今までの試合展開がウソのようにアルエットイレブンは自陣に押し込まれてしまう。そして43分、ゴール前でパスを何本も回され最後はゴール前中央からシュートを決められ同点、さらにその１分後にリプレイを見ているかのように同じ展開で３点目を決められ５分間で２点差をひっくり返されてしまった。残された時間はロスタイムのみ。アルエットにはすでにゲームをひっくり返すだけの力は残っていなかった。そして間もなくタイムアップ。後半39分まで完璧な試合展開ながら１つのセットプレーから試合の流れを相手に渡してしまい、ひっくり返されるという信じられない試合だった。

　台風接近の為、大雨強風の中、大声を出して声援を送り続けたアルエットサポーター「ウルトラアルデラス」もまさかの展開に呆然と立ち尽くしていた。選手もサポーターもその現実を受け入れがたい様子。それを尻目にまるで優勝したかのように喜ぶＮＷ北九州イレブン。それがさらに悔しさを倍増させる。本当に悪夢だった。