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第82回全国高校サッカー選手権大会 １回戦 鶴岡東高校vs.高知高校
2003年12月31日（水）12:10キックオフ 駒沢陸上競技場 天候：晴 観衆：1517人
試合結果／鶴岡東０−１高知高校（前０−０、後０−１）
得点経過／［高知］小林（52分）
取材・文／中倉一志
「石の上にも３年ということ。集大成というよりも伝統作りのスタートの年。３年で一回りして、これから高知高校のスタートになるんだというような話をしました」。チームを率いて３年目になる高橋秀治監督（高知高校）は大会に臨む姿勢をそう話した。節目となる10回目の出場となる今大会、そして新しい伝統のスタートを飾るべく全国優勝を目指す。目指すサッカーは全員攻撃・全員守備。高いラインとコンパクトなゾーンを敷いて両サイドから切り崩す。
一方の鶴岡東もやすやすとはやられるわけにはいかない。過去、山形県勢は高知高校と２度対戦して２勝。戦前の予想は高知高校有利の声が大きいが、持ち前の豊富な運動量を武器に初戦突破を狙う。合言葉は「走り負けないチーム」。ボールを奪ってからの速い攻撃がチームの特徴だ。「カウンターで何回かいいチャンスが出てくるはず。それを決めたらいける」（菅原正志監督）。鶴岡東も自分たちのサッカーで勝利を目指す。
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対する高知はペナルティエリア内に３人、４人と入ってくる攻撃には迫力があるのだが、下がった最終ラインでは後方からの押上げができず攻撃は単発気味だ。そして最初の決定機が鶴岡東に訪れる。時間は18分、ゴール前のこぼれ球を大野木選手が一閃。シュートが左ポストをかすめる。続く19分、清和選手からのクロスボールに小林選手が抜群のタイミングで頭を合わせる。しかし、これはＧＫ大坪選手がスーパーセーブを見せてゴールを死守。振り返れば、鶴岡東にとっては悔やみきれない２つのチャンスだった。
24分、高知は自陣内で相手のパスをカットした岡部選手が、そのままドリブルで中央を駆け上がってペナルティエリアまで持ち込んでシュートを放つ。ＧＫ冨樫のファインセーブの前にゴールはならなかったが、このプレーが高知イレブンに力を与えた。下がり気味だったラインが上がり、中盤のプレスが機能しだすと攻撃にリズムが生まれる。31分、32分には立て続けに決定機を作り出した。試合は全くの五分と五分に。そして決着は後半へと持ち越した。
だが、後半に入ると試合は一変する。「ＤＦラインを下げないこと。相手の左サイドの裏を取っていくこと。相手５番、６番（ダブルポランチ）が前がかりで攻撃的な選手なので、トップに入ったボールを上手くサポートすれば時間が作れる」（高橋秀治監督）。その指示に従って高知が本来の姿を見せ始めたからだ。中盤では鋭いプレスで鶴岡東の自由を奪い、最終ラインは常に一歩前に出て相手ボールをカット。ハイボールの空中戦も制した。
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その後も高知の安定した戦い振りが目立つ。労力を惜しまない中盤のプレスと、制空権を制したＤＦラインの安定感を武器に試合を有利に進めていく。しかし、さすがに疲れたのか、残り10分となったところで中盤のプレスが緩み始めると、鶴岡東はロングボールを徹底的に放り込んで最後の反撃に出た。その徹底振りにラインが下がった高知は自陣内に押し込まれる危ないシーンもあったが、最後まで集中だけは切らさずに１−０で鶴岡東を振り切った。
「後ろのラインが下げさせられた。これが全国大会かなと。初戦は本当に厳しかった。どっちへ転ぶか分からないようなゲームだった」。勝利を挙げた高知・高橋秀治監督の評価は厳しい。高知らしいサッカーの片鱗は見せられたが、コンパクトなゾーンを保てずに自分たちのサッカーをやり通せなかったことに大いに不満があるようだった。「勝つにしても、負けるにしても、自分たちのサッカーをやりたい。２回戦では納得のいくゲームをしたい」。戦う意識を高めて２回戦に臨む。
「前半何本か（チャンスが）あった。それを決めきれなかった。まだ力がない」とは菅原正志監督。多くを語らずに早々とロッカールームに姿を消した。前半は狙いどおりの展開でゲームの主導権を手中に治めた時間帯もあったが、そこでのチャンスを決めきれなかったことが敗因につながった。しかし、１点を追って最後まであきらめない姿勢を見せる等、自分たちの力は十分に発揮できたのではないか。本大会出場は２年ぶり３回目と、まだまだこれからのチーム。この悔しさをバネに更なる飛躍を期待したい。
