アルゼンチン、苦しみ抜いて決勝へ、メキシコPK戦に泣く！
FIFAコンフェデレーションズカップ2005　セミファイナル　メキシコ代表vs.アルゼンチン代表

2005年6月26日（日）18:00キックオフ　ハノーヴァー・ＡＷＤアレーナ　観衆：28,033人
試合結果／メキシコ代表１−１アルゼンチン代表（前０−０、後０−０、延前１−０、延後０−１）PK５−６
得点経過／［メキシコ］（104分）［アルゼンチン］フィゲロア（110分）


文／貞永晃二

　いよいよ大会も大詰めの準決勝。地元ドイツを倒し一足先に決勝へコマを進めたブラジルの相手を決める戦いは中・南米のサッカー大国の激突となった。

　メキシコはブラジルをボルヘッティのヘッド一発で倒しグループ首位で勝ち上がり、現在21試合という無敗記録を更新中だ。しかし、ドーピング問題でDFガリンドとMFカルモナの二人のレギュラーを失うというショックがチームを襲った。日本戦で柳沢に許したゴールから無失点を続けているGKサンチェスを中心とする安定した守備陣も不安は隠せない。

　一方のアルゼンチンはドイツに引き分け同勝ち点でグループを２位で抜けた。DFサムエルのサスペンドが気にはなるが、すっかりエースと呼べる存在になった好調リケルメが３試合で８ゴールを決めている攻撃陣をリードする。宿敵ブラジルが待ち受ける決勝を目指しモチベーションは相当なものだろう。

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　ゲームはメキシコ・ロサーノのシュートで幕を開けた。さらにマルケスのヘッドが飛ぶ。アルゼンチンではサビオラの独特な前傾姿勢でのドリブル、リケルメの巧みなキープがメキシコDFを苦しめる。ともに高い個人技で足元へ、そしてスペースへとボールが流れるように運ばれていく。

　アルゼンチンはリケルメのミドルシュート、サビオラのロング・ドリブルからいつの間にかゴール前に現れるソリンに渡りシュートとチャンスはあるが決め切れず、一方メキシコはボールポゼッションではやや劣りながらもジーニャが起点となりチャンスを作っていく。

　そのジーニャの23分のミドルは素晴らしい当たりで左スミに飛んだが、GKルクスがファインセーブで救う。さらに29分にはボルヘッティのポストからモラレスがクロスを入れロサーノのヘッドと美しい攻めはスタンドのファンを魅了する。

　43分、アルゼンチンはサビオラが巧みなコース取りで突進、こぼれをソリンが狙うがゴールカバーのDFにクリアされる。勝負は後半に持ち越しだ。

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　54分、メキシコはこの日印象的なプレーを見せるジーニャが右から左へドリブルで進み左足でカーブシュート。しかしゴールポストを叩き悔しさを露にする。アルゼンチンもコロッチーニが右CKを強いヘッド、GKがはじくがさらに
上げられたクロスを再度ヘッド、しかし決まらない。コロッチーニは攻撃面でも目立ったが、守備では果敢にインターセプトを狙う積極的なプレーが光った。

　アルゼンチンはマキシ・ロドリゲス、アイマールを、メキシコはペレス、メディーナを投入する。ペケルマン、ラポルペというアルゼンチン人監督同士のベンチワークも興味を引く。

　サビオラの右サイド突破からのチャンスも実らない。メキシコはマルケスが攻撃参加しビッグチャンスをつかむが、ややプレーが遅くDFが戻ってクリアされてしまう。リケルメのFK、ボルヘッティのヘッドもバーを越え試合は３分のアディショナル・タイムへ。ここでサビオラ、マルケスという両チームのキープレーヤーが軽率なファウルでレッドカードを受けピッチを去る。
試合はスコアレスのまま、エクストラタイムへと突入していく。

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　10人同士の戦いとなった延長前半、ソリン同様にベテランとは思えない活動量を見せるサネッティのミドルはGKサンチェスの正面へ。そして104分、アルゼンチンの攻めが続きCKの守備でパスカットしたボールをメキシコは、左サイドでメディーナが持ち、追い越したサルシドへ。タッチ沿いをスピード・ドリブルで上がったサルシドはサネッティ、エインセをかわしてボックスに接近、シュート？パス？とにかく中へ入れたボールが懸命に戻ったコロッチーニの足に当たり、GKルクスの頭上を越えてネットへ。メキシコが待望の先制点を奪った。そしてアルゼンチンに残された時間は15分のみ。

　延長後半猛攻を仕掛けるアルゼンチン。リケルメのサイドチェンジからマキシ・ロドリゲスのシュート気味のクロスは全くフリーのフィゲロアに渡るがシュートは当てるのが精一杯。頭を抱えたそのフィゲロアが歓喜の声を上げたのはわずか4分後。リケルメがゴール前へ入れたボールをフィゲロアがヘッドで落としマキシ・ロドリゲスのシュートがフィゲロアの足元へ。ボールを巧みにヒールでコントロールし倒れながら左足を振ったフィゲロア。ボールは、GKサンチェスの股間を抜けゴールラインをゆっくりと通過した。土壇場でのアルゼンチン執念の同点ゴールにスタジアムは大歓声に包まれた。

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　このまま決勝点は決まらず、試合はロシアンルーレットへと進み、メキシコ選手ががっくりと膝をつき、アルゼンチン選手が飛び跳ねるシーンで幕を閉じた。メキシコにはグループリーグで破ったブラジルと再度戦う権利はついに与えられなかった。

　決勝カードはアルゼンチン対ブラジル。誰もが認める、現在の実力世界一を争う両チームは、ワールドカップ予選でも対戦を終え、互いのホームで３−１で勝利するという均等な結果を残している。しがらみのないニュートラルな場所での対戦はサッカーの素晴らしさに満ち溢れた試合となるはずだ。まだまだ睡眠不足は続くようだ。