試験中のドイツ。余裕残しのアルゼンチン。
コンフェデレーションズカップ　グループＡ　アルゼンチンvs.ドイツ

2005年６月21日（火）20:45キックオフ　フランケン・シュタディオン（ニュールンベルグ）　観衆：42,088人
試合結果／アルゼンチン２−２ドイツ（前１−１、後１−１）
得点経過／［ドイツ］クラニー（29分）、［アルゼンチン］リケルメ（33分）、［ドイツ］アサモア（51分）、［アルゼンチン］カンビアッソ（74分）


文／西森彰

　つい、１ヶ月ほど前にも親善試合で顔をあわせていたドイツとアルゼンチン。今回は公式戦だが、どちらもチュニジアとオーストラリアを降し、順当に勝ち点６を獲得。この試合にかかるのはグループ１位の座と準決勝の対戦相手だけ。しかもグループＢの状況が混沌としているため、１位抜けと２位抜けのどちらが有利なのか、判別しにくい。限りなく消化試合に近い状況下での顔合わせとなった。

　アウェー扱いのドイツは赤のセカンドユニフォームを着用。出場停止のフリードリヒに代わってヒンケルが右サイドバックに入ったのを始め、大幅にメンバーを入れ替えてきた。イエローカードを１枚もらっているバラックもベンチスタート。中盤は右にダイスラー、中央でシュナイダーとエルンストが前後に位置し、左はシュヴァインシュタイガーという構成。左右のサイドハーフに攻撃的プレーヤーを配するのがクリンスマン・ドイツの特徴である。

　ホーム扱いのアルゼンチンは、伝統の白と水色のホーム仕様。悪童テベスが、フィゲロアと並ぶ２トップで先発。トップ下にリケルメ。中盤は右にサネッティ、左にソリン。ダブルボランチがベルナルディとカンビアッソ。レアル・マドリッドで散々な目に遭ったサムエルが３バックの中央に座る。ゴールマウスは、この日もルクスが守る。監督はユースからトップチームに数々の才能を供給していたペケルマン。

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　立ち上がりは、やはり満員の大観衆を味方につけたドイツが上回る。FWの軸となっているクラニーが１本、２本とシュートを狙い、スタンドから歓声が起こる。29分の先制点も得点者はクラニー。セットプレーのこぼれ球を次々にシュートし、最後はエルンストのシュートをゴールの手前で蹴りこんだ。

　しかし、アルゼンチンもすぐに同点に追いつく。再三に渡って好機を演出するリケルメが、ゴール正面で得たFKを直接放り込んだのだ。ドイツの長身選手が作る壁の上を、余裕を持った高さで通過し、そこから急激なドライブ回転で落ちる。カーン、レーマンと2006年の正GKを争う若手のヒルデブラントも、為す術が無かった。

　勝利が絶対条件では無い両チーム。35度という気温の中で、自国開催ということにモチベーションを求めるドイツが、後半に入ってからもペースを握る。そして、51分、エルンストに代わって入ったフリングスの楔のボールを、クラニーがパーフェクトなコントロールで、裏を狙って走りこんだアサモアの走路にあわせる。再びドイツがリードを握った。

　１位抜けにはそれほどの情熱を見せなかったアルゼンチンだが、リードされて負けず嫌いのハートに火がついた。高温下で飛ばしてきたドイツの各選手の足が止まり始めたこともあって、ここからは一方的に攻め始める。そして、74分、ドイツゴール前で右からボールを入れて混戦を生み出し、最後はカンビアッソの打ったシュートが、DFの足の裏に当たって方向を変えて、ドイツゴールに飛び込む。その後はボールを支配したアルゼンチンが、それ以上の得点を狙いに行かず、２対２のドロー。得失点差で上回ったドイツが１位抜け。アルゼンチンが２位抜けとなった。

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　両チームあわせて６枚のイエローカードが飛び交ったこの試合、シュヴァインシュタイガーが今大会２枚目のイエローカードをもらい、次のブラジル戦は出場停止。左サイドハーフで活躍中の彼自身としても、そしてドイツチームとしても、どれだけブラジルに通用するのか試してみたかったところだろう。攻撃的な中盤が、クラニーらFW陣のゴールラッシュに貢献していることは確かであるが、一方でDFにかかる負担の大きさも見過ごせない。ブラジルを相手にどこまで戦えるか、一戦一戦が大事なテストになる。

　開催国ドイツを相手に余裕残しのドロー。相変わらず、アルゼンチンの強さは安定している。パサレラ時代は予選の時点でチームが完成してしまい、本大会ではその戦術が対戦相手に研究し尽くされていた。その点、今回のチームは優勝候補筆頭に推された前代表と、ワールドユースとアテネ五輪を圧倒的な強さで制した世代の融合途上。まだまだ伸びシロを残した現段階でこれだけの内容が見せられれば、ペケルマン監督もご満悦だろう。