３連勝を目指した湘南だったが…。

京都、アウェーで首位の座を防衛。湘南は今季初黒星。
2005Ｊリーグ　ディビジョン２　第３節　湘南ベルマーレvs.京都パープルサンガ

2005年３月19日（土）14:04キックオフ　平塚競技場　観衆：5,081人　天候：晴
試合結果／湘南ベルマーレ１−２京都パープルサンガ（前０−２、後１−０）
得点経過／［湘南］アレモン（３分）、パウリーニョ（21分）、［湘南］高田（48分）


取材・文／西森彰

　ホームの湘南ベルマーレは、開幕戦の神奈川ダービーで横浜FCを退けると、続く２戦目はJ2昇格組の徳島ヴォルティスとの接戦をモノにして２連勝。最高のスタートを切った。この日は提携関係にあるリーガ・エスパニョーラのオサスナのユースコーチを迎えてのゲーム。パートナーの目の前で無様な試合を演じるわけには行かない。

　そこに乗り込んで来たのは、やはり２連勝中の京都パープルサンガ。２点のビハインドを背負った水戸ホーリーホック戦で逆転勝利して波に乗り、第２節ではザスパ草津を３対０で一蹴。得失点差で湘南を上回り、首位に立っている。好調な連勝チーム同士の対決。J2第３節で最も注目されるゲームのはずだが、観衆は5,000人台とやや寂しい入りに留まった。

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　先手を奪ったのはアウェーの京都だった。FKのハイボールを京都FW・アレモンと湘南DF・城定信次が競る。こぼれ球を拾ったパウリーニョがバリシッチと浮氣哲郎の間にスルーパスを通すと、競り合いから素早くターンして抜け出したアレモンが反応する。GKまで交わしたアレモンは、簡単にゴールを陥れてしまった。風向きを考えて開幕戦とは逆のサイドを取った湘南だが、同じ３分という時間で、２週間前と逆に先制点を奪われてしまう。

　リードされた湘南は、失点のダメージを打ち消すように、攻勢に出る。京都の選手も強い気持ちでこれに応戦。激しいプレーを応酬する中で、京都のアレモンにイエローカードが提示される。それでも両チームの選手はひるむことなく、ボールの奪い合いを続けた。

　吉野智行が星大輔（星はイエローカードを受ける）に削られ、ピッチの外に運び出され、湘南の人数が一人少なくなっていた21分、京都は追加点を加える。何でもないようなスローインに見えたが、素早くDFと体勢を入れ替えたパウリーニョがこれをそのままシュートに持ち込む。それほど強いボールではなかったが、転がったコースも良く、意表を突かれた湘南GK・鈴木正人の手の先を抜けていった。京都にとっては最高の、湘南にとっては最悪の展開だ。

　交代に関しては腰が重いところのある上田栄治監督だが、ズルズル行きそうに見えたのだろう。37分、この日は精彩を欠いた冨山達行に代えて、永里源気をピッチに送り込む。この永里が42分、反撃の口火を切った。前方のスペースに走って、佐藤悠介のサイドチェンジを引き出すと、DF２枚のプレッシャーを交わしてシュート。ゴール前の選手が触っても１点の場面だったが、僅かに左に逸れた。

アウェーで白星を挙げた選手たちをファンが歓声で迎える。

　その後、佐藤のFKで決定機を作った湘南に対し、京都も鋭いカウンターから３対２に持ち込み、パウリーニョがシュート。ここは湘南の吉野が辛くも足に当てて踏ん張り、前半はアウェーチームが２点リードのまま、折り返した。

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　後半早々の48分、湘南は高田保則が、スローインで相手にボールを渡してしまった後、これに激しく詰めて奪い返す。そしてそのまま右サイドから中央にドリブルで切り込むと、相手GKの位置を確認して左足でループシュート。これが絶妙なコースに飛んで、ゴールとなった。ストライカーのナンバー９を背負った高田が喜びを爆発させる。

　ペースを奪った湘南は風下を苦にすることなく、佐藤と永里を基点にして攻める。しかし、京都も外国人２トップを前線に残し、８人が堅固な守備ブロックを形成し、湘南にフリーなスペースを与えない。柱谷幸一監督もハイペースを考え、66分に中払大介を美尾敦、75分には星大輔を加藤大志に交代。早め早めに手を打って、逃げ込みを計る。

　湘南の上田監督も、82分、戸田賢良と佐野裕哉をいっぺんに投入し、勝負をかけたが、１点は遠かった。最後には、前年度に放出した加藤大志へのタックルで、加藤望が２枚目のイエローカードをもらって退場。湘南は、今年初めてほろ苦い敗戦の味を舐めた。

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	将来は湘南のエースストライカー？

　シュート数が９対９、コーナーキック数も３対３。数字に表れているように、ほとんど互角の試合展開だったが、最後にモノを言ったのは、京都が新たに手に入れたアレモン、パウリーニョの決定力だった。そして、それを引き出したのが攻守の切り替えの速さだろう。星と中払は高い位置からツンツンとボールに突っかけ、パスコースを限定した。特に、加藤望へのパスコースは常に切断し、ほとんど見せ場を作らせなかった。

　また、湘南のプレスを避けるために、前半はボールを奪うといきなり最前線に預けた。頭の上を越していくボールを追いかけた湘南の選手たちは、これを背走してガソリンを空費した。パスをつないでいけば、中盤で網にかかっていたかも知れず、このあたりの柱谷采配も上手く嵌っていた。開幕３連勝。昨年失敗したJ1復帰に向けて、まずは好スタートを切ったと言えよう。

　今シーズン初黒星を喫した湘南は、２節続けて活躍した加藤望と城定の左サイドが、京都に研究されて沈黙した。だが、ケガの功名か、高田にシーズン早々、ゴールが生まれ、永里もメドが立った。３試合連続ゴールこそならなかったものの、１トップを張る柿本倫明もポストプレーは完璧にこなし、安定している。

　何より、リードを許しても、そうそう諦めないメンタリティが生まれている。これこそが開幕２連勝でつけた自信でもある。次節は、これも昇格候補のアビスパ福岡とのアウェーゲーム。ズルズルと中位に沈んでしまうのか。それとも、直接対決に勝って昇格戦線に踏みとどまることができるか。シーズンを占う意味でも大きな一戦である。