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2005Ｊリーグ ディビジョン２ 第１節 湘南ベルマーレvs.横浜FC
2005年３月５日（土）14:04キックオフ 平塚競技場 観衆：7,721人 天候：曇
試合結果／湘南ベルマーレ２−０横浜FC（前２−０、後０−０）
得点経過／［湘南］加藤（３分）、柿本（13分）
取材・文／西森彰
横浜FCは、J1返り咲きを狙う有力クラブの歯車を狂わせてきた。昨年はベガルタ仙台、一昨年はコンサドーレ札幌。出鼻をくじかれた仙台、札幌は昇格戦線にほとんど絡めず、シーズンを終えた。今年の開幕戦もJ1を経験している湘南ベルマーレが相手。昨年は第２節で湘南のホーム開幕戦に乗り込み、平塚競技場から勝ち点１を持ち帰るのに成功している。今年も、例年の役回りをきっちり演じて台風の目になりたいところ。
湘南も勝ち切れない試合を続け、やがて自滅というパターンを断ち切りたい。そのためにも、このゲームを「１試合／44試合」と捉える余裕は無い。開幕戦を迎えて「私自身、なでしこジャパンの北朝鮮戦と同じくらいにプレッシャーを感じていました」とは試合終了後、記者会見に臨んだ上田栄治監督の弁。もちろん、選手たちも気負いを感じていたはずだ。
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１点を奪った湘南はさらに加速する。今シーズンは中盤の底からボールを供給する佐藤悠介に、坂本と加藤が絡みながら攻め上がる。１トップで体を張る柿本倫明も奮闘する。逆に横浜FCは、ボランチとDFラインの間にできるスペースを使われ、なかなか体勢を立て直すことができない。
13分、湘南のセットプレー、横浜FCのカウンターとピッチを行き来したボールが、一連の流れで前線に残っていた湘南の城定信次に渡る。城定はクリアボールをコントロールすると相手の守備が整う前に、左サイドを直進。横浜FC最後の砦・トゥイードの半歩先にスルーパスを送る。これを合わせた柿本が、GKの股下を抜くシュート。理想的な追加点を奪った。
２点を奪われてようやく目が覚めた横浜FCも、徐々に反撃に転じるが、攻撃面でもポジショニングの悪さが目に付いた。城彰二が左右に流れてボールを受けても、手薄になった中央のスペースに飛び込む選手がいない。相手が１トップ気味なのに４枚のバックは最終ラインから動かず、サイドバックの攻撃参加も少ない。枚数が足りず、手詰まりになっては、空いたスペースを使われてカウンターを食う。
湘南は、分厚くした中盤が忠実なチェックでパスコースを限定し、ゲームキャプテン・浮氣哲郎ら最終ラインも、ハードなディフェンスで弾き返す。試合終盤、セカンドボールをほとんど拾われ、パワープレーを繰り返されたが、最終ラインの集中は試合終了のホイッスルまで保たれた。無失点。湘南の2005年シーズンは、嬉しい白星スタートとなった。
敗れた横浜FCは、先制される直前のFKでジェフェルソンが中途半端なプレーを選択したように、消極的な姿勢で結果を悪いほうに転がした気がしてならない。リードされている時間が長かったこともあり、ポゼッション率では上回っていたようだが、シュート数は湘南の11対７。この数字に手詰まり感が凝縮されている。バイタルエリアでボールを持った選手がミドルシュートをためらうシーンも多かった。チームバランスだけでなく、前を向かう姿勢の改善が急務だ。
湘南は、ゴールを奪った加藤、そしてボランチの佐藤ら、J1経験者が違いを生み出し、最終ラインでは昇格への道のりの険しさを知っている浮氣哲郎が、大声を出してチームを引っ張っている。シーズン前に上田監督から聞いた「新しく入った選手が良い刺激を与えてくれている。戦力的には昨年よりも上になっていると思います」との言葉どおり、補強が成果を上げているようだ。
中長期的展望を持ってシーズンに臨み、結果を出せずに終わる。そんな歴史を今年も繰り返さないかとの不安もあった。思わず「今年の現実的な目標はどこですか？」と失礼な質問が口をついて出た。「現実的な目標もJ1昇格ですね。もう１年（契約が）あるからといって、中途半端な目標を設定してもチームのモチベーションが保てません。とにかく昇格だけを目指して戦います」。力強いその答えの実現へ向けて、上田・湘南は第一歩を踏み出した。
