候補同士の対決は磐田に軍配！
2005Ｊリーグ　ディビジョン１　第１節　横浜F・マリノスvs.ジュビロ磐田

2005年3月5日（土）16:00　日産スタジアム　観衆：41,868人　天候：曇り　　　
試合結果／横浜F・マリノス０−１ジュビロ磐田（前０−０、後０−１）
得点経過／［ジュビロ磐田］福西（89分）


取材・文／中島泰介

　ついに開幕した2005年Jリーグ、ここ日産スタジアムではいきなり強豪同士が激突した。３連覇を狙う横浜F・マリノス（以下、横浜）は、あれだけ補強をすれば注目せずにはいられない、王座奪還を目指すジュビロ磐田（以下　磐田）をホームに迎えた。

　横浜は序盤にペースを掴み磐田陣内に攻め込むが、ファーストシュートは磐田だった。９分、ペナルティ・エリア前で得たFKを、西がチョコンと蹴りだし、名波が止めたボールを崔が強烈なグラウンダーのシューを放つが、これはGK榎本にストップされた。お互い守備意識が高く厳しいプレスを敷き、その中で主導権を奪い合う。ボール支配率はやや横浜が上だろう。繋ぐサッカーを見せてくれると思った磐田だが、以外と手数をかけずにカウンターでゴール前にロングボールを送るシーンが目立った。どれもチャンスを作るには至らなかったが・・・

　20分を過ぎたあたりから、シュートチャンスが幾つか見られるようになった。22分、右サイドで西が少しバックスピンのかかったパスを縦に出すと、それを受けた前田がクロスを上げ、ゴン中山が栗原のマークをはずしヘディングシュート。１分後には横浜、ドゥトラが豪快なミドルシュートを見せるが枠をとらえることができなかった。32分は磐田、村井が中へ切れ込み福西へボールを渡すと、福西はこれをすぐに右サイドの西へボールをはたき横浜ディフェンスを揺さぶるが、西のクロスは崔にわずかに合わなかった。横浜にもまたチャンスが訪れる。36分、ドゥトラがゴール前へロングボールを入れると、二アへの大島の動きに田中誠がつられ、その後ろに清水が侵入しダイレクトでゴールを狙うが、シュートは大きく枠を逸れていった。

---

　後半になると、ゲームのリズムを掴んだのは横浜だった。54分、右コーナー付近でFK、キッカーは奥。この元磐田のプレーヤーの蹴ったボールに栗原はニアで全くのフリーでヘディングシュートに繋げたが、枠を捕えられなかった。57分にはドゥトラが西をかわしクロスを入れると、ゴール前の清水が合わせようとする。59分には、自陣から磐田のプレッシャーを掻い潜りスペースのある右へボールをはたくと、最後は奥が余裕を持ってクロスを上げるが、二アに走りこんだ大島を通り越したこのボールは清水へ渡ろうとするが届かず。

　攻撃の形が作れない磐田はまずトップ下の前田に代え藤田を入れる。64分に磐田はディフェンスラインを抜けるパスで中山を走らせゴールを狙うが、榎本が飛び出し、見事に防いだ。その後攻撃をするのはまたも横浜。69分左サイドで中澤、ドゥトラ、大島と繋げドゥトラにボールをまた渡し、ドゥトラがゴール前に上げたボールはフリーの奥へ。奥は胸トラップして左足でゴールを狙うが、ミートさせることができなかった。

　ゴールまであと一歩の横浜は71分に清水に代え、ゼロックス杯でも途中出場で大活躍した大橋を投入し、磐田もすぐに中山とグラウと攻撃の選手を代え１ゴールを目指す。77分にはまたドゥトラ。中西のロングパスをドゥトラはペナルティ・エリア左付近に侵入しジャンプしながら綺麗にトラップ、そしてスピードに乗ったまま力強くシュートを放ったが、角度が狭い位置からのこのシュートはGK佐藤にブロックされた。後半は精力的に動き回るドゥトラが非常に目立ち、幾度と無く彼からクロスが供給され、この直後にも大島の頭に合わせるが、なかなかゴールを割ることができない。

---

　終盤82分、磐田はグラウの縦パスをゴール前で崔が頭で落とし藤田へボールを渡すが、横浜ディフェンスにつぶされる。シュートにはつながらなかったが、崔のポストを生かす、磐田のやりたかったであろう攻撃の形の一つが見られたシーンだった。86分にも磐田にチャンス。茶野の縦パスをゴール前で中澤が一度カットするものの、そのボールを崔が自分のものにすると、藤田に繋ぎシュートに結びつけるが、横浜DFは素早くコースに入りゴールを許さない。

　このままスコアレスで終わるかと思われたが、残りわずかの時間帯に決勝点が生まれた。右サイドでFKを得た磐田は、名波がゴールへ向かっていくボールを蹴ると、飛び出したGK榎本より一瞬早く福西がボールに触れ、そのボールがゴールに吸い込まれていった。手に当たったように見えたこのゴールに横浜の選手は猛然と抗議するが受け入れられず、ロスタイム３分も横浜は挽回する力なく試合は終了した。

　横浜は先週に続いてまた押し気味の試合を落としてしまった。守りは堅く、磐田の前線になかなかボールを納めさせることはなかった。後半左サイドから何度もチャンスを作り、ゴール前でのFWも連携の取れた動きをして内容も悪くなかったのだが、０点に終わってしまった攻撃陣。負傷中のFWの復帰を待たねばならないのだろうか。

　勝ち点３を得た磐田は逆に内容には不満があるだろう。プレッシャーのなかチャンスをつくれず、村井の攻撃も単発、トップの崔のポストも活かせることができなかった。これから連携を高めていかなければならず、まだ発展途上だと感じた。完成されたチームを楽しみに待っていたいが、優勝がゴールである磐田にはそんな悠長なことは言っていられない。

　両チームとも、課題が残されたゲームだった。