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2004Ｊリーグ ディビジョン１ ２ndステージ 第３節 セレッソ大阪vs.大分トリニータ
2004年8月29日（日）19:00キックオフ 長居スタジアム 観衆：8,722人 天候：曇
試合結果／セレッソ大阪１−２大分トリニータ（前０−０、後１−２）
得点経過／［大分］マグノ アウベス（48分）、高松大樹（76分）、［Ｃ大阪］西澤（80分）
取材・文／貞永晃二
前指揮官・小林監督に対してのメッセージか、「恩返しは無用です」という大分サポーターの横断幕が笑わせる。
1stステージ11節（5/22）の勝利以来公式戦10試合を１分９敗の大分。守備強化を目的にパトリック・吉村を補強し迎えた２ndステージは、強豪磐田、横浜FMに善戦するもののいまだ勝利の喜びは味わえていない。一方屈辱的な最下位に終わった1stステージのＣ大阪。小林新監督を迎え気分一新の２ndステージ初戦のFC東京との激しい打ち合い（４−３）を制し勢いに乗るかと思われたが、広島との接戦を落とし、得点はとれるものの、守備面での課題克服には時間がかかることを露呈してしまった。
両チームにとってとにかく「勝っておきたい」相手。なんとか勝利でチームを上昇気流に乗せたい一戦である。大久保・高松というギリシャ帰りの二人がどのタイミングでピッチに現れるのかにも注目が集まった。
ともに危険を犯すことなく穏やかな立ち上がり。初めてスタンドが沸いたのは森島の飛び出しに濱田がパスを合わせたシーン。高い位置をキープする大分のDFラインの崩し方を身をもって示す森島。大分も吉田孝がＣ大阪・下村の軽率なパスカット・ミスにつけこみドリブル突破。決定的なチャンスだったが、シュートをふかしてしまう。
Ｃ大阪では西澤が好調。高い技術で正確なポストとなり、一旦消え、ゴール前で仕事をする。惜しいヘッドもいくつかあったが決めきれない。相棒の古橋も２試合連続得点した実績を証明するプレー。ゴール前の小さなスペースでシュートを打てる能力を見せた。しかしこちらも同様にゴールには結びつかない。
Ｃ大阪はペースをつかんではいたが、大分の堅い守備のカベは破れなかった。いやなムードのまま時間は経過し、これといった見せ場もなく前半は終了。勝負は後半だ。
注目の五輪代表のうち、先に登場したのは大分・高松。早速シュートを放って、大分の攻めを活性化する。そして前半押され気味だった大分が、それも消えていたマグノ アウベスが、先制ゴールを決めてしまう。48分、右サイドでSBに入っている布部との勝負に勝った梅田が深く切り込みゴールラインと平行に進む。DF千葉のマークをプルアウェイの動きで振り切ったマグノ アウベスがフリーでゴール前へ侵入、梅田のクロスは正確に合い、がら空きのゴールにシュートは突き刺さった。
攻めに出るＣ大阪。55分に大歓声の中、大久保が姿を現す。コンディションに問題があるからこそ途中交代なのだろう、大久保はそれを誰よりも動き回ることで克服しようとする。いきなりオフサイドの罠にかかったが、そのままシュートし主審に注意を受ける。
ゴールを目指す大久保に味方のパスは合わない。それは無理もない話なのだ。長い間チームを離れている間に、システムは変わり、新加入の選手もいるのだから。それでも大久保は前へ、ゴールへと向かっていった。そんな同点を狙うＣ大阪をサンドロ、パトリックを中心にした守備陣ががっちり受け止め、攻撃へとつなぐ。マグノ アウベス・高松に当ててその落としを左右に展開するスピードある攻撃だ。
活発な攻め合いに様相が変化した中盤戦。磐田戦、横浜FM戦で取れなかった「２点目」が大分に入った。右サイドからのFK、原田の左足から放たれたキックは大きな弧を描き、Ｃ大阪DFに対応を迷わせ、高松が下村に密着されながらもダイレクトシュートを放った。触ったか触っていないか微妙だったが、GK羽田は反応できず、ボールはネットに吸い込まれた。Ｃ大阪に手痛い２点差となった。
しかし攻撃陣は好調なＣ大阪。4分後、西澤のエレガントなシュートで1点差となる。右サイドを破った大久保が珍しく何の細工もせずに長目のクロスを入れる。左サイドを上がっていた苔口がヘッドで折り返す。それを受けた西澤は空中のボールを胸、右足、胸とスリータッチし、DFを翻弄し左足で疾風ボレー！GK岡中の手には負えない強烈な一発が決まった。
さらに同点へとＣ大阪攻撃陣がポジションチェンジを交える多彩な動きで大分DFをかき回す。しかし疲れも深まってなかなかシュートで終われなくなる。そんな中大分の高松が左サイドで粘りに粘った吉田からのクロスをヘッドで狙うが、ゴールバーがホームチーム側について弾き返した。時間だけが過ぎていく。スタンドも苛立ち、選手のミスも主審へのヤジでごまかされる。ハン ベルガー監督は根本を吉田に代えて投入し、時間消費の材料とする。そして大分のおよそ３ヵ月ぶりの勝利を告げるホイッスルが鳴った。
大分のDFセンターの補強は成功といえるだろう。まだまだミスも散見されるが、空中戦ではＪ１どのチームに対しても優勢を維持できるはずだ。高松が自信をつけて帰国し、若く技術の高いボランチコンビ、小森田・原田の奮闘もチームを支えている。選手層の薄さを考えるとケガ、出場停止に十分気をつけなければならないが中位以上は十分に狙えるだろう。
まだまだ問題の多いＣ大阪である。前半こそは無失点だったが、早々に失点する悪癖は後半に現実となった。さらに課題のセットプレーでの守備で追加点を許してしまった。両SBに本職ではない下村・布部を使う小林監督。そこを大分につかれ、下村のサイドのカバーに濱田、久藤が引っ張られる形になったため前半の攻撃は威力を欠くことになった。さらに後半、布部は簡単に突破を許し先制点につながった。いつまでも「不慣れ」をエクスキューズにはできない。気づけば入れ替え戦だったというのでは話にならないのだ。幸い２週間の中断がある。チーム全体での立て直しを期待したい。
