またも10人となった韓国、耐えてＵＡＥに辛勝！
AFC Asian Cup China 2004 グループリーグＢ　ＵＡＥvs.韓国

2004年7月23日（金）21:00キックオフ　済南・山東省スポーツセンター　
試合結果／ＵＡＥ代表０−２韓国代表（前０−１、後０−１）
得点経過／［韓国］李東国（41分）、安貞桓（90分）


文／貞永晃二

　両チームの目前で行われた試合でヨルダンがクウェートを降したため、試合開始前時点で各チームの勝ち点はヨルダン（４）、クウェート（３）、韓国（１）、ＵＡＥ（０）となった。ヨルダンとの初戦を落としているＵＡＥは、敗れると韓国が勝ち点４となるため、脱落決定となってしまう。もちろん韓国も勝ってヨルダンに並び最終のクウェート戦にのぞみたいところだ。

　奇しくも監督がオランダ人同士（ア・デモスとボンフレール）の対戦となったこの試合、ＵＡＥは４人、韓国は５人と初戦とスタメンを変えてきた。ともに勝てなかった初戦の結果を踏まえたものなのだろう。特に韓国はスリーバックの内、連続出場は李敏成のみ。出場停止とケガが原因とはいえ守備の不安は隠せない。

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　最初の決定機はＵＡＥ。5分、韓国DFのミスをつきモハメド・ラシドにパスが出る。左足で放ったシュートは百戦練磨のGK李雲在がファインセーブで防いだ。このシーンだけでなく韓国はＵＡＥの出足の良さに押されてかミスが頻発する。攻撃でもトップにボールがうまく入らず有効な組み立てができない。ようやく16分右サイドからのクロスから薛�g鉉のヘッドが出るがDFの抵抗にうまくミートできない。

　ＵＡＥは負けられないという状況がより積極的な攻撃への意識につながり韓国をじわじわ追い詰める。23分には左へ、そして右へと大きな展開から最後はモハメド・ラシドのフリー・ヘッドが韓国ゴールを襲う。しかしまたしてもベテランGKが邪魔をする。この試合李雲在はＵＡＥにとって憎むべき敵となりそうだ。

　ＵＡＥは二度のチャンスを決められなかったモハメド・ラシドが負傷し、アテネ五輪最終予選で日本を苦しめた男、マタルが登場する。この2003年ワールドユースＭＶＰの個性にさらに韓国は苦しめられることになる。

　レフティのサイードの強烈なFKが韓国ゴールを強襲、しかし李雲在は冷静にCKに逃げる。そして、このGKの頑張りにアタッカーたちが踏ん張り、韓国の待望の初ゴールが前半も残り5分を切った終盤に決まる。左サイドからのFKをこの日は左サイドを務める李榮杓が蹴り、李東国がバックヘッド気味できめた。ボンフレール新監督就任でチャンスを与えられた男は
鮮やかな復活劇を見せてくれる。ＵＡＥは最も警戒すべき時間帯に失点し、苦しい立場でハーフタイムを迎えた。

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　後半、李乙容に代えて負傷明けの朴智星が入る。彼のシンプルなパスさばきで韓国の攻撃にリズムが出始めるが、李東国、車ドゥリと惜しいチャンスをものにできず安全圏の追加点は遠い。ここで初戦に続いてDFラインに厳しいジャッジが下る。朴載弘に２枚目のイエローだ。ボンフレール監督はまたもや一人少なくなったチームを今度は勝利に導けるのだろうか。

　ここで、前半見せ場を作ったサイードのFK、「左」が火を噴く。さすがのGK李雲在も何もできない。しかしこの試合、ＵＡＥにツキはないようだ。ボールはバーを叩き同点ゴールとはならなかったのだ。しかし、マタル投入後は彼の持つ意外性が韓国を苦しめ続ける。DFラインもやや下がりすぎか、懸命のクリアリングもＵＡＥが拾ってしまう。

　韓国ベンチは李東国を引っ込め、温存（？）していた安貞桓を入れ、彼の個人技に期待をかける。それが実りかけたのは84分だ。攻撃へ注力するＵＡＥの浅いDFラインをすり抜けた安貞桓がGKと一対一。しかし狙い済ましたループシュートはバーを越える。長い髪をかきあげて悔しい表情の安。

　ＵＡＥはさらに同点を狙って攻撃を継続するが、肝心のラストパス、クロスに精度を欠き韓国守備陣にはねかえされてしまう。パサーに徹していたマタルが自分でゴールを狙い始める。しかし、ここ一番の韓国DFの忍耐力はさすが。ＵＡＥも疲労の色は隠せない。

　そして韓国の長い緊張の時間を解き放つ追加点はインジュリータイムに決まる。朴智星、薛�g鉉とつなぎ、最後は安貞桓。DFの面前でワントラップし右へ持ち出し、持ち前の強い腰のひねりからの強烈なインステップがファーのサイドネットに突き刺さった。しかし安貞桓は笑顔さえ浮かべない。彼の心には、交代要員とされたことへの反発と最初のチャンスを決めていればもっと楽な戦いになったであろうという悔しさが隠されていたのだろう。

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　ＵＡＥの敗退が決まった。残念なのはマタルを最初から使わなかったこと。まだ若い彼だが経験を積めば末恐ろしい選手になることは間違いないだろう。ＵＡＥには彼に本場のプロへの進路を提供してもらいたいものだ。最弱エリア・アジアの強化のためにもぜひ。

　結果は２−０の勝利。しかし苦しい90分間だった。韓国の44年ぶりの優勝を目指しての戦いはまだはじまったばかり。しかしその底力はさすがにアジアの盟主と呼ぶにふさわしいものだ。どこで当てるのかはまだわからないが、日本との対戦が大変楽しみになってきた。