出直しＣ大阪、ホームで広島に完敗、ナビスコカップ敗退決定！
2004Ｊリーグ　ヤマザキナビスコカップ　Ａ組　第５節　セレッソ大阪vs.サンフレッチェ広島

2004年7月17日（土）19:00キックオフ　長居スタジアム　観衆：5,587人　天候：晴
試合結果／セレッソ大阪０−２サンフレッチェ広島（前０−０、後０−２）
得点経過／［広島］茂木（57分）、盛田（66分）


取材・文／貞永晃二

　前大分監督・小林伸二氏を新監督に迎えたＣ大阪。今年何人目だとか、昨年から何回目の監督交代だとか、そんなことで話題になってしまっているが、そんなことに耳を傾ける必要はない。チームが自らの予算で契約しているのだ。誰を選ぼうが、何回交代させようが、批判を気にする必要はない。本当に批判されるべきは年間順位で最下位であること、勝利がわずか２つしかないことだ。プロである以上、結果がすべてだ。「弱い」という事実を批判されるならば甘んじて受けなければならない。

　すべてを監督やフロントだけに押しつけて、選手の責任を問わないのはおかしい。監督も、フロントも、そして選手も力がないからこそ勝てないのだと考えるべきだろう。さらに言えば応援するサポーターも自らの力不足を体感すべきなのかもしれない。

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　Ｃ大阪の新布陣。DFラインは左から上村、柳本、ラデリッチのスリーバック。MFは左右に齋藤と新外国人のマリオ。下がり目に久藤と下村、上がり目に森島。ツートップは大久保を使わず西澤とJFLのHondaから獲得した点取り屋の古橋達弥というメンバー。上村、久藤、齋藤が復帰し、新戦力２人を早速起用するところは小林監督の「色」といえるか。
　対する広島はサンパイオが帰国し、小野監督もチアゴの長期離脱の穴埋めにと大宮から移籍した長身・盛田を早速起用し、FWは中山、盛田、茂木の日本人３トップ。

　いきなり広島は攻め込み、リカルドの鋭利なクロスがゴール前を横切る。Ｃ大阪も久藤がFKを直接狙うがバーを越える。広島は茂木、中山が左右のスペースを使う大きな動きを見せ、Ｃ大阪DFの対応はやや遅れがちになる。特に4月の大分戦以来久々の出場となった茂木は積極的にシュートを打ちゴールへの意欲を見せる。

　Ｃ大阪ではクロアチアからの新外国人・マリオが右サイドに位置し活発な上下動を忠実に遂行し、攻守に「使える」という感触を見るものに与える。21分には彼が絡み、これも新戦力・古橋にチャンスを提供する。これはコントロールミスで逃したが、４年連続ＪＦＬベスト・イレブン、昨年は31得点でＪＦＬ得点王という実績をＪでも見せてもらいたいものだ。ちなみに彼は札幌GK藤ヶ谷と同窓（磐田東高）。遅れてきた新人だがＪＦＬの先輩・徳重（元デンソー）も活躍しているＣ大阪で羽ばたき、プロを目指してアマで頑張る選手たちの目標となってもらいたいものだ。

　さて、試合に戻ろう。試合は広島がやや押し気味に進める。茂木のDFをうまくすり抜けてからのシュートは右に外れる。Ｃ大阪も齋藤のクロスから西澤がヘッドを放つがCKに逃げられる。終盤はやや停滞した試合展開となりハーフタイムをスコアレスで迎えることになった。

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　後半広島は右アウトサイドの駒野の位置に、これも五輪代表のレフティ・森�ｱ浩を入れてくる。しかし、序盤流れをつかんだのはＣ大阪。久藤がクロスと見せてゴールを狙いGK下田を脅かせる。さらに右からのCKをうまくファーで折り返し、中で詰めた古橋のスライディングシュートは惜しくもクロスバーの上へ抜けた。55分には珍しく西澤がFKを直接狙うがカベがブロック。得点への予感が高まる中、左サイドからの久藤のクロスにファーで待った西澤がオーバーヘッドでシュート、コースが左に流れたところを森島が詰めるがわずかに届かない。サポーターのため息に包まれるスタジアム。

　この時間帯で得点できなかったことが結果的には痛かったＣ大阪。57分、ついに広島に先制を許してしまう。Ｃ大阪の中盤での不用意なパスミスをカットしボールが李から茂木に渡る。上村、柳本に追走されながらもドリブルで左に持ち出した茂木。コンパクトに振り切った左足からのミドルシュートは、GK伊藤の頭上を抜けネットを揺らした。

　Ｃ大阪が、１点のビハインドのまま追加点を許さず耐えられるかに注目した。しかしそれも10分足らずだった。あっさりと広島に追加点を許してしまう。66分、右からのロングフィードを盛田がヘッドで落とすと見せて、胸でコントロール。DFが足を滑らせ寄せてこないのを見て、すぐに身体の向きを変えて左足でループシュート。美しい緩やかな円弧を描いたボールはGK伊藤をあざ笑うかのように飛び、ゴールに沈み、チームを勝利に近づける貴重なゴールとなった。かつて一年間だがここ長居をホームとして戦った盛田の古巣への挨拶代わりのきつい一発となった。

　２点リードし広島はやや守備的な交代を行う。茂木から大木、盛田から外池。当然Ｃ大阪は攻撃を厚くする交代。負傷した上村を引っ込めて佐藤を左アウトサイドへ、齋藤をDFに下げる。マリオのシュートも外れ、古橋を絡めて短いパス交換から西澤にチャンスが来るがコントロールが雑でシュートで終われない。広島もカウンターから中山がカットインシュートで流れを押し戻す。75分、マリオが右サイドでフリーで抜け出し、中央に詰めた森島へグラウンダーのクロス。しかし合わせられずクリアされる。

　ホームチームに追撃の一発を期待するピンクサポーターの願いも空しく、０−２のスコアは動かず、時間は流れる。ナイトゲームにもかかわらず続く暑さに疲労の色が隠せなくなる両チーム。このままタイムアップとなった。

　この試合結果で、Ｃ大阪のナビスコカップは終わった。一方広島は横浜FMを抜き２位に浮上、最終節の東京Ｖ戦にノックアウト・ラウンド行きをかけることになった。