勝負を決した前半終了間際の２得点。コロンビアがベスト４へ。
COPA AMERICA PERU2004　準々決勝　コロンビアvs.コスタリカ

2004年7月17日（土）19:45キックオフ　エスタディオ・マンシーチェ（トルヒーヨ）
試合結果／コロンビア２−０コスタリカ（前２−０、後０−０）
得点経過／［コロンビア］アギラル（41分）、モレーノ（45＋２分）


文／中倉一志

　７月６日に開幕した南米選手権も、いよいよ準々決勝。ここエスタディオ・マンシーチェ（トルヒーヨ）では、前回大会チャンピオンのコロンビアとコスタリカが顔をあわせた。連覇を狙うコロンビアは、守備に重点を置く無難な戦い方でグループリーグＡを１位で突破、着々と目標に向けて駒を進めている。対するコスタリカはグループリーグでは１勝２敗の成績で３位。３位グループの中で２位になり、かろうじて準々決勝に進んできた。しかし、一発勝負のトーナメント戦では何が起こるかわからない。コスタリカも虎視眈々とチャンスを狙う。

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　コロンビアのキックオフのボールに猛然とコスタリカがプレッシャーをかけていく。このプレーに象徴されるように、コスタリカは立ち上がりから積極的な姿勢を示した。中盤の高い位置でプレッシャーをかけ、前線にはエローン、ブライスが飛び込んでゴールを狙う。一方のコロンビアも、一歩も引かずにコスタリカを迎え撃つ。ボールをスピーディに細かく動かして前へ、前へと進む。中でも左サイドのビクトリアの上がりが目を引く。

　そして主導権はコロンビアが握る。プレスをかけてくるコスタリカを鼻先で交わし、ワンタッチのパスを素早くつないでボールを回しては、コスタリカ陣内に何度も攻め込んでいく。ボール支配は、ほぼ一方的。グループリーグで無難なサッカーに終始したコロンビアとは、まるで別のチームになっている。勝たなければ先へ進めないトーナメント戦の戦い方にシフトしているようだ。前線をかき回すモレーノ、攻守に渡るキーマンであるパティーニョらが切れのある動きを見せている。

　しかし、コスタリカは攻められるのは承知の上。押し込まれているように見えても、決してチャンスを与えず、虎視眈々と逆襲の機会を窺う。かわされても、かわされてもしつこくボールを追い、ペナルティエリアの中にはコロンビアの選手の進入を許さない。コロンビアが狙い通りの戦い方なら、コスタリカも計算通りのゲーム展開だ。そして20分、エルナンデスのフィードに反応したエローンがＤＦラインの裏へ抜け出してＧＫと１対１に。この決定機にシュートは右に外れたが、コスタリカが守っているだけではないことを示すには十分なプレーだった。

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　互いの持ち味を出してぶつかり合う両チーム。この後、試合はこう着状態が続く。しかし、時間の経過とともに、ジワジワとコロンビアが押し込んでいく。それに伴い、コスタリカの最終ラテンがペナルティエリアの外から、少しずつ下がりだした。そして41分、コロンビアは、右サイドを突破したモレーノの折り返しにアギラルが合わせて待望の先制点を奪うと、さらにロスタイム、ペナルティエリアに飛び込んできたモレーノとＧＫリカルド･ゴンサーレスが交錯。このプレーで得たＰＫのチャンスをモレーノが決めて、コロンビアはあっという間に２点のリードを奪うことに成功した。

　どちらにも勝利のチャンスがある試合だったが、終了間際の６分間に生まれた２つのゴールが勝負を決した。コロンビアは、後は定石どおりに守備を固めてカウンターを狙うだけでよかった。そうはさせじと、コスタリカは後半の頭からブライスに代えてセンテーノを投入。ダブルボランチの布陣から、センテーノをトップ下に、その後ろにセケイラ、バディージャ、エルナンデスの３人を並べる布陣に変更。センテーノにボールを集めてゲームを作る。さらに56分にエルナンデスに代えてゴメスを、62分にはソリスを下げてサボりーオを入れて攻撃の活性化を図った。しかし、堅守を誇るコロンビアの壁を崩すことは出来なかった。

　攻めに来るコスタリカを中盤で止め、奪ったボールはゆっくりと自陣で回す。チャンスがあれば縦に突破を仕掛け、詰まったらボールを戻してキープする。コロンビアは理想的な展開で時間を使う。そんな展開にコスタリカも戦意を喪失したのだろう。残り15分となってからは、前に出ることさえあきらめ、コロンビアの時間つぶしにお付き合いをするようになったしまった。そして試合終了のホイッスル。コロンビアが連覇へ向けて、また階段をひとつ登った。

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　この日のコロンビアは、アグレッシブに攻めあがる姿勢と、守りを固めて無理をせずに試合を進める姿勢の２つの顔を見せた。準決勝の相手であるアルゼンチンに対して、どちらの顔で勝負するのか興味を引くところだ。アルゼンチンが攻撃的に出てくるのは間違いのないところ。それを受けて戦うのか、それとも攻め合いを選択するのか。いずれにしても、準決勝は見逃せない戦いになりそうだ。