開催国と前回王者の対戦はドロー。両者準々決勝進出。
COPA AMERICA PERU2004　グループＡ第３節　ペルーvs.コロンビア

2004年7月12日（月）19:45キックオフ　エスタディオ・マンシーチェ（トルヒーヨ）　
試合結果／ペルー２−２コロンビア（前０−１、後２−１）　
得点経過／［ペルー］ソラーノ（57分）、マエストリ（60分）、［コロンビア］コンゴ（35分）、アギラル（53分）


文／中島泰介

　このカードの前に行なわれたボリビア対ベネズエラが引き分け、勝ち点がそれぞれ２、１に留まったため、ペルーとコロンビアはこのグループ最終戦で対戦する前にそろって準々決勝進出が決定した。興味はどちらが１位でグループリーグを抜けるかということ。トーナメントのことを考えれば、１位突破は譲れない。ましてペルーは開催国。何としてもこの試合で勝利が欲しい。

　先日、ペルーファンにとっては悪いニュースが流れた。バイエルン・ミュンヘンで活躍するＦＷクラウディオ・ピサーロが、ベネズエラ戦で受けた頭の負傷が予想以上に悪く、頭蓋骨にひびが入っていることが検査で確認され、今大会を後にすることとなった。高さ、強さがあり、今大会前線で精力的に動いて活躍していただけに残念だ。今日はピサーロの代わりにベテラン、マエストリが入る。

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　１位通過のためには勝ち点３が必要なペルーは序盤から攻撃を仕掛ける。４分、やや距離がある位置からのＦＫをソラーノが狙い、続く５分にはパラシオスのミドルシュートがゴールを襲う。一方、負けない限り１位通過が決まるコロンビアがディフェンスに重きを置いて試合を進めるのは常套手段。ペルーが攻撃に気を取られている隙をついて、虎視眈々と得点機会を窺う。９分、右サイドからビアファラがゴール前のコンゴを狙ってクロス。ペルーのＤＦがコンゴの前でボールをブロックしようとしたがクリアボールがゴールマウスをかすめる。あわやオウンゴール。ペルーの背筋が凍りついた。

　13分、ペルーは早くも選手交代。負傷したＣＢレボシオに代えてソトを投入。ソトが右サイドに入り、それまで右にいたサラスが左に移動。ＣＢにビルチェス、アカシエテという布陣に変更した。

　20分にはペルーのチャンス。コロンビアディフェンスの不用意なサイドチェンジ？のボールが自陣の中央までしかとどかなかったばかりか、ＣＢディナスがこれを処理し損なう。そこにソトがタックル。こぼれたボールはペナルティ・エリア内のソラーノに渡り、そこからゴール目の前のメンドーサへ。パスはわずかに後方にそれ、チャンスは潰えたかに見えたが、ファルファンがフィニッシュに持ちこみＣＫを得た。

　このＣＫでゴールに襲い掛かるペルー。踏ん張りを見せてゴールを許さないコロンビア。何度かのピンチを凌いで、コロンビアがようやくクリアに成功して最終ラインを上げる。しかし、ペルーの攻撃は終わってはいなかった。ペルーの最終ラインに転がったボールがすぐにコロンビア陣内へもどってきたのだ。最終ラインからのロングボールを受け取った右サイドのソラーノは、ソフトなインサイドキックでゴール前へ。そこに３人のペルー選手が飛び込みＤＦと競りあう。そして、ゴール前１ｍほどのところにこぼれたボールをメンドーサが一閃。しかし無情にもシュートはクロスバーを叩いた。

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　ペルー支配でゲームが進む中の34分、遂にコロンビアのカウンターが牙を剥いた。中盤左サイドでペルーのパスを阻んだコロンビアは、ダイレクトで前にいるビアファラへパス。ドリブルで右サイドを駆け上がったビアファラは、ただ一人ゴール前に詰めていたコンゴへクロスを上げる。ソトの戻りは間に合わず、キーパーのイバニェスも飛び出しを躊躇する。そこへ思い切りよく飛び込むコンゴ。見事なダイビングヘッドでコロンビアに先制点をもたらした。その後、ペルーはややリズムを崩し、チャンスを作れなくなる。そして、コロンビアはさらに守備に人数を割き、カウンターのチャンスでも無理をせずボールをまわしはじめた。

　すでに準々決勝進出が決まっていることを考えれば、ペルーは失うものは何もない。リスクをかけても後半は２ゴール目指すべきだ。初戦で２点のビハインドを追いついたシーンが脳裏に浮かぶ。それともまだ今大会無失点のコロンビアが逃げ切るのだろうか。試合の興味は後半へと持ち越された。

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　後半開始から４分後、ペルーにチャンスが訪れる。パラシオスのロングパスをコロンビアのディフェンスがブロックするが、そのこぼれ球をキャッチしたエナオに対して、主審はファウルの笛を吹いた。判定はバックパスをキャッチしたというもの。ゴールエリアのコーナー付近からの間接FKのチャンスにパラシオスが思い切りシュートするが壁にあたり、チャンスを逸した。

　そして、53分にコロンビアが大きな追加点を決める。右コーナー付近でペルーのベルチェスが大きくボールをクリアしようとしたボールを奪うと、コンゴが詰めてきたペルーディフェンス２人の間にうまく短いパスを通す。それを受けたムリージョはマイナスのパス。ゴール前に走りこんできたアギラルが、右足インサイドで綺麗にゴール左隅にシュートを流し込んだ。右サイドには随分とペルー選手はいたのだが、ゴール前にはわずか１人。そのディフェンスも、唯一ゴール前に侵入してきたアギラルに気づかなかった。２ゴールとも、たった一人のゴール前の選手に、競い合うこともなくゴールを許してしまった。

　この時点で、ペルーが１位通過を果たすために必要なゴールは３。それは非常に困難なミッションに思えた。しかし、ここからペルーの攻撃陣が目を覚ます。まずは57分、ドリブル突破を試みたファルファンが倒されて得たFKを、ソラーノが右足で見事に決めて見せた。ペナルティ・エリア右斜め前からのＦＫに、ＧＫエナオは左に必死のダイブを見せたがボールに触れるのがやっとだった。

　60分、ペルーのコーナーキックは一度クリアされたが、ルーズボールをサラスが物凄い突進で詰め、カンフーキックのような形でコロンビアよりも先にボールをさわる。このボールが左サイドでフリーになったソラーノへ。ソラーノは右足アウトサイドで柔らかいクロスを上げる。このボールをファーサイドでメンドーサが落とし、ゴールの目の前でマエストリが体を投げ出しダイビングヘッドでゴールネットを揺らした。わずか３分の同点劇に、地元ファンはおおいに盛り上がる。

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　ペルーは攻撃の手を緩めない。65分、ドリブルで上がったソラーノは左に開いたパラシオスへパスを出して、そのままペナルティ・エリア前まで駆け上がる。折り返してボールをもらったパラシオスは、コロンビアディフェンスにプレッシャーをかける時間を与えず、ワントラップすると、すかさずドライブのかかったシュートを放つ。さらに70分には絶好の位置で得たＦＫをソラーノが狙う。しかし、ＧＫエナオのファインセーブと、クロスバーに逆転ゴールを阻まれた。

　とにかく、このまま終わりたいコロンビアはなりふりかまわず守りに入る。全選手が自陣に戻ってゴールを守り、コーナーキックへ向かう時や、選手交代の時も巧みに？時間をかける。一方、逆転ゴールを狙うペルーは75分、マエストリに代えてペドロ・ガルシアを投入。試合終盤には疲労の見えるソラーノをシウルリッサに代えて攻撃の活性化を試みる。しかし、追加点を奪うことが出来ずに２−２のままで試合は終了した。

　何とか持ちこたえたコロンビアは１位通過。準々決勝は、３位通過の２カ国のうち、成績の悪い方と対戦する。２連覇を目指すには絶好のポジションを得た。そして２位のペルーはグループＢの２位と対戦。13日の試合結果によるが、対戦相手は、メキシコ、ウルグアイ、アルゼンチンのいずれかの国で、苦戦が予想される。攻撃陣には面白い選手を揃えているのだが、ボリビア戦といい、今日の試合といい、カウンターであっさりと失点を許す守備は非常に不安だ・・・・。