スコアは満足。でも内容は？　ブラジル連勝。
COPA AMERICA PERU2004　グループＣ第２節　ブラジルvs.コスタリカ

2004年7月11日（月）15:00キックオフ　エスタディオ・ウニベルシダ・デ・サン・アグスティン（アレキーパ）　
試合結果／ブラジル４−１コスタリカ（前１−０、後３−１）
得点経過／［ブラジル］アドリアーノ、（44分、54分、68分）、ファン（49分）、［コスタリカ］マリン（81分）


文／中島泰介

　ベストメンバーでなくても（といっても十分知名度のあるメンバーではあるが）、内容が悪ければ叩かれる。ブラジルは第１戦、勝ったこと以外は何も得るものがなかったかのように批判された。今日は名誉挽回、そして連勝して準々決勝の椅子の獲得を目指す。

　対するコスタリカも、主力を何人か招集できずにこの大会に参加している。前回大会でも活躍したパウロ・ワンチョぺ（マンチェスター・シティ）、ヒルベルト・マルティネス（ブレッシャ）は所属クラブからの要求により参加できず、そして、ワールドカップでもゴールを挙げた若手、ウィンストン・パルクス（ロコモティブ）は五輪代表を優先。小国にとっては、このメンバーがいるのといないのとでは戦力が大きく変わってしまうだろう。と、文句を言っても仕方ない。２大会連続のベスト８のためにはもう負けられないコスタリカはまず初勝利をねらう。

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　開始１分に早くもブラジルはコーナーキックからヘッドでゴールを狙うが外れる。11分、コスタリカがプレッシャーをかけに来ないと見るや、アドリアーノが強烈なロングシュートを放つがこれも枠をとらえられなかった。一方、コスタリカのチャンスは13分。マリンが左から右へサイドチェンジをすると、ボールを受け取ったノーマークのブライスは、ワントラップしてシュートに持ち込む。これは枠をとらえたが、ジュリオ・セザールが弾く。ここから19分、21分、22分と連続してコスタリカが連携の取れたプレーでブラジルゴール前に侵入した。しかし、どうも倦怠感を感じる試合だ。というのも、両チームとも攻撃にしろ守備にしろ緊張感を感じない。激しさも全くないゲームで、ゴールする意思が感じられないのだ。

　このまま見せ場なく前半が終わると思われた44分、ゴールが生まれた。ブラジルが自陣からロングボールをゴール前に送り、それを受けたアドリアーノはGKをかわしてシュート。カバーリングに戻ってきたコスタリカのディフェンスの努力も実らずシュートはゴール天井に突き刺さった。スローで決定機も生まれそうになかった試合展開だったため、ゴールが突然降って湧いてきたような感覚だった。

　49分、ゴールにすら沸けない。自陣ペナルティ・エリア内でボールカットしたファンがそのままオーバーラップする。一度短い縦パスを試みるがコスタリカがそれをカット。しかし、そのこぼれ球がまたファンにもどり、それをダイレクトでアレックスとワンツー。これだけでコスタリカの最終ラインを抜け出しGKと１対１となり、ボールをゴールへ流し込むだけで良かった。相手センターバックのオーバーラップと１度のワンツーだけで失点してしまったコスタリカ、戦術以前の問題で、プレッッシャーもかけに行かず、集中力が全く欠けている。点を取っているとは言えブラジルにもこれは感じることである。相手にもチャンスを与えすぎだ。53分にはコスタリカのバディージャに左サイドをえぐられクロスを入れられる。そのこぼれ球に、ペナルティ・エリア内でマークされていなかったブライスに強烈ボレーを見舞われるが、GKジュリオ・セザールのセーブで助かった。前半もそうだが、フリーでシュートを打たれる場面がしばしば見られる。

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　１分後にブラジルはコーナーキックを得る。アレックスの蹴ったボールをパンチングしようとしたリカルド・ゴンサーレスは何と空振り。その後ろにいたアドリアーノは、誰とも競う必要なく頭でゴールを決めた・・・・。ゴールにケチをつけるつもりではないのだが、これも相手の守りの不味さによるゴールで、どうも点が決まっても盛り上がれない。2002年Ｗ杯で、賞賛された名勝負を演じた両国、その試合と同様多くのゴールが生まれているが、内容は全くの別物だ。

　勝敗が決まったとみるや、パレイラ監督は、57分にクレベルソン、ルイス・ファビアーノを下げ、ジエゴとバグネル・ラブを入れ、66分にはエドゥをドゥドゥに代える。その間も両チームとも、何か全く目的もなくパスを回しながらゲームを進めているようで、面白味に欠ける。高地という環境が影響しているのだろうか？しかしゴールは決まるのだ。67分、へナト、グスタボ・ネリのパス交換で左サイドを突破し、グラウンダーのクロスをゴール前ニアで受けたアドリアーノは、ディフェンスを背負いながら振り返り、倒れこみながらゴールを決め、ハットトリックを達成した。

　74分には、コスタリカ。センテーノの縦パスにうまく抜け出した交代出場のエローンが、後ろに入ってきたブライスにボールを折り返すが、わずかにボールがずれ、ブライスはシュートをミートさせることができなかった。続く81分、コスタリカは左コーナーキックを獲得。ゴメスの蹴ったボールは、セケイラの膝に当たりゴール前にこぼれる。ディフェンスラインを上げそこなったブラジルは、コスタリカのディフェンダー、マリンを全くのフリーにしてしまい、こぼれ球をゴールに蹴りこまれてしまった。しかし４点取られた後のワンゴールに喜ぶコスタリカの選手はいなかった。

　83分にブラジルはアレックスのループ、86分にはコスタリカがエローンのボレーでシュートに持ち込むが、ゴールならず。ロスタイムのジエゴのシュートをリカルド・ゴンサーレスが弾いた直後、試合は終了した。

　全くモチベーションを感じなかったコスタリカは、残念ながら大会を勝ち抜けるとは思えない。これでは最終戦でいいゲームを見せるのは相当困難である。ブラジルも、アドリアーノのスキを逃さないプレー以外はあまり見所がなかった。４ゴールを奪ったとは言え、手放しで喜べる勝利ではない。これからラウンドが進むにつれ、調子を上げていくことに期待する。