８月に再訪できるのは誰？。U-23日本、ギリシャ遠征を勝利で終える！
国際親善試合　ギリシャ選抜vsＵ−23日本代表

2004年４月24日（土）15：15キックオフ　ピルゴス・ムニシパルスタジアム　
試合結果／ギリシャ選抜１−２Ｕ−23日本代表（前１−２、後０−０）
試合経過／［日本］田中隼（13分）、田中達（31分）、［ギリシャ］スクファリス（44分・PK）


文／貞永晃二

　８月のアテネオリンピック本番のシミュレーションを兼ねたギリシャ遠征の第２戦。緒戦のU-23ギリシャ代表戦のスタメンを大幅に入れ替えて、遠征メンバーに経験を積ませるとともに、U-21のメンバーが主体となる選抜チームが相手だけに戦いの地ギリシャに「勝利」という結果を残して帰国の途につきたいところだ。

　スタメンに180センチ以上の選手が８人というギリシャ選抜。U-21メンバープラス、オリンピック代表のオーバーエイジ候補で構成するチームだけに連係面ではスムーズではないだろうが、オリンピック代表入りへのモチベーションは高いだけに決してあなどってはいけない相手だ。

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　山本監督は緒戦の平山ワントップ＆大久保・田中達のツーシャドーに代えて平山、田中達のツートップをしいた。さらに復帰組として右アウトサイドに田中隼、ボランチに森�ｱ和。左ストッパーには新メンバーの栗原を起用。横浜ＦＭの遠征から合流した那須はDFラインのセンターにおいた。

　開始早々、ギリシャのナンバー10レオニディウのミドルが飛ぶ。久々登場のGK黒河がファンブルしながらも抑える。しかし清水でもレギュラーを奪えない試合感覚の不足からか、DFのウラに出た硬いピッチに高くバウンドするボールを処理ミス。安定感、安心感をメンバーに与えるのに失敗してしまう。

　13分、日本の先制点が決まる。センターサークル付近の今野からクサビが田中達に。ワンタッチでさらにタテに流したボールを中へポジションを移していた田中隼が受けDFを振り切り、ボディバランスを崩しながらもGKもかわしカバーに戻るDFが届かない、浮かせたシュートでゲットした。

　パスは回り攻め込むものの、ファウルをまじえた守備、さらにそれに割く人数が多いギリシャをなかなか攻め崩せない日本。GK黒河の判断ミスによるハンドで思わぬピンチを迎えるなどいい流れで試合を展開できない。しかしなぜか追加点が簡単に決まってしまう。31分の右CK。根本が山瀬を使ってのショートコーナーでタイミングをずらしニアに低いクロスを入れる。ファーに長身の選手を配置しDFの注意を引きつけ、ニアの作ったスペースに田中達が侵入し頭で合わせた。

　２点差の余裕もあってか、やや流れは好転し平山にもチャンスがくるが、相変わらずコントロール時の手の使い方が悪くもったいないハンドリングを取られる。再三目にするシーンだけに早急に悪いクセは治しておくことだ。そしてこのまま２点リードで終わるかと思われた44分、今野がスクファリスとボックス内で絡み、ファウルを取られてしまう。相手はシュート体勢でもなく、姿勢も良くなかっただけに不用意な接触は慎むべきだったろう。PKも決まり１−２でハーフタイムだ。

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　サブメンバーが５人ピッチに投入された後半。これも久々のGK川島。DFセンターに茂庭、攻撃的MFに松井を追加し山瀬と並べ、ツートップには大久保と高松、ボランチを森�ｱ和の一枚という一応は攻撃的なシステムへと変更された。

　しかしこの新布陣がうまく機能せず、ただ時間ばかり消費されていく。さらに田中隼から石川へ、根本から森�ｱ浩へと山本監督の「機会均等政策」は継続されるが、経験値をアップさせるという目的がより鮮明度を増していくにつれて、逆に機能性は損なわれていってしまう。チャンスらしいチャンスも作れないままだ。守備面ではギリシャの交代選手ブリアガスに右サイドをかき回され、高さを買われた栗原もスピードへの対応に苦労する場面が続いたりした。

　終盤ギリシャに押し込まれるシーンもあったが、後半のGK川島の安定感は前半の黒河を上回り、この日の結果から林を追うポジションをつかんだようだ。残りおよそ10分、鈴木を入れてドイスボランチに戻すとやはりバランスが良くなる。緒戦最後に追いつかれた教訓は活かされてこのままタイムアップを迎えた。

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　辛く苦しかった予選を乗り越え、今度は最終エントリー入りをめぐる熾烈な争いの段階を迎えたＵ−23代表。まずは「戦場」視察を兼ねたギリシャ遠征を終えた。レベルを上げながらのポジション争奪戦はまだまだ始まったばかりだ。当然だがギリシャを訪れたメンバー以外にも虎視眈々と狙っている選手は数多い。負傷を抱えた選手が復帰し、逆に自チームでポジションを失う選手も出てくるはずだ。山本監督にメンバー選考でうれしい悲鳴を上げさせよう。Ｊのピッチで技を磨き、オーバーエイジ枠が話題にならないほどの成長を期待したい。