強さは本物か！？Ｇ大阪、大黒の２得点１アシストで清水に圧勝！
2004Ｊリーグ　ディビジョン１　1stステージ　第3節　ガンバ大阪vs.清水エスパルス

2004年4月3日（土）16:02キックオフ　万博記念競技場　観衆：8,329人　天候：晴
試合結果／ガンバ大阪４−０（前１−０、後３−０）清水エスパルス
得点経過／［Ｇ大阪］山口智（44分）、大黒将志（63分、85分）、二川孝広（87分）


取材・文／貞永晃二

　一勝一分けとまずまずのスタートが切れたＧ大阪。今日の相手は一敗一分けの清水。だがともにナビスコカップではそれぞれ名古屋、市原に完敗を喫したあと迎える試合となった。両監督がどのようにチームの建て直しを図ったかに注目だ。

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　前半はＧ大阪が清水を圧倒する展開となった。CKからマグロン、山口の打点の高いヘッド、吉原、児玉のクロスから遠藤のシュート。そしてフェルナンジーニョの果敢な飛び出しと攻撃的なドリブルが清水DFを混乱状態に陥れる。
　一方、やられっ放しの清水は遠いレンジから澤登が狙うがパワーが乗らない。ジャメーリに代わって今季初スタメンのトップ、北嶋がシジクレイ・宮本に完全に抑えこまれ攻撃にリズムが出てこない。

　Ｇ大阪は攻め込み、積極的にシュートも打つのだが、やや精度を欠き、運にも見放されて得点をあげられない。このままスコアレスでハーフタイムかという展開のインジュリータイム、ついに先制点をあげる。ボックス右角からのFK。遠藤からのボールは美しいカーブを描き、マグロンのジャンプにどんぴしゃで合った。打ち下ろされた強いヘッドをGK西部はキャッチできずファンブル。清水DFよりも早く山口が反応しプッシュ。清水にとっては時間的にも最悪の失点となった。

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　後半、まずは早い時間帯に追いつきたい清水だが、前線の北嶋が宮本を中心とするＧ大阪DFに抑えられ基点となれない。アントニーニョ監督は交代によるテコ入れもせず、前半同様にどこか攻守ともにギクシャクし、しっくりと行かない展開だ。一方、さほど悪い出来でもない吉原を引っ込め大黒を前線に投入する西野監督。どうしても追加点をあげ相手を突き放し、終盤に追いつかれる悪癖を払拭したい気持ちが表れている。

　大黒はその監督の意図を汲み、スーパーな活躍を見せる。まずはカウンターから左サイドをドリブルで進み強烈なミドルは狙う。バーを越えてしまったが、これは予行演習だったようだ。63分、右サイド二川へスルーパスを通した大黒。二川がヒールで残したボールに入り込み過ぎ、右足では打てず、とっさにターンしながら左足で巻き込むようなシュートでGK西部の守るニアサイドを抜いた。深い立ち足の踏み込みでもバランスを崩さない強い身体がものを言った。

　２点を追うことになった清水はベテラン澤登から平松にスイッチするが、明らかに後手を踏んだようだ。２点差をつけた余裕から攻撃精神に火がついたＧ大阪をはね返すことが出来ない。CKからの山口の惜しいヘッドが清水ゴールを襲い、さらに大黒、二川が絡み遠藤の惜しいシュートが飛ぶ。そんな中、清水は平松が懸命にゴールへ迫るがボックス内でつぶされ、右サイドのアラウージョのFKもGK松代を脅かせない。そしてMF伊東からFW久保山に代えるが前線の起爆剤にはなれない。

　そして残り時間も少なくなって「大黒ショー」の第２幕が上がる。85分、ボックス左で受けたボールを中央へ持ち出し、強烈な右足を振るとボールは右スミに吸い込まれた。ついに３−０となり、清水は戦意喪失状態。87分、大黒がボールを引きながら同時にターンする巧みな受け方からボックスへパスを流すと、簡単に中央を割られ、二川が押し込み、４点という大量点でホームチームは試合を終わらせることに成功した。

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　清水の元気の無さはどういうわけだろうか。新外国人がフィットしていないためか、起用された北嶋もＧ大阪DFに何の脅威も与えられずその存在感を示すことが出来ずに終わった。戦いぶりから勝負への執念が感じられないのはさみしい限りだ。しかしまだリーグは始まったばかり。澤登、伊東というかつての栄光を知るベテランの奮闘が若い未経験な選手を引っ張ってくれることを期待したい。

　一方これで２勝１分となったＧ大阪。３試合で１失点と、バカげたミス、つまらない失点が減ったことが持ち前の攻撃力を活かせている原因だろう。昨季、いくつの勝ち星を目前で逃したことか。その痛い経験がチーム全体の守備意識の向上につながっているのだろう。新井場を失った左サイドからの攻撃は確かに威力半減だ。しかし、左右の一方に片寄らないバランスの取れた攻めが相手には守りにくいということもあるのだ。吉原、大黒、中山とFWのポジション争いも激しくマグロンもレギュラー安泰ではない。わずか３試合だが無敗の自信が若いチームに好影響を与え、混戦必至のリーグに旋風を巻き起こしてもらいたいものだ。