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2004Ｊリーグ ディビジョン１ １stステージ 第３節 ジュビロ磐田vs.浦和レッズ
2004年４月３日（土） 16:04キックオフ ヤマハスタジアム 観衆：16.209人 天候：晴
試合結果／ジュビロ磐田３−１浦和レッズ（前２−１、後１−０）
試合経過／［磐田］西（12分）［浦和］オウンゴール［磐田］西（25分）グラウ（68分）
取材・文／砂畑 恵
「青春18切符」。金はないけど時間はあるという人にとっては便利な切符だ。これを使って磐田まで風流な各駅停車の旅を楽しんだ。時に居眠りし、また車窓から盛りの桜を眺める。静岡に入ってしばらくすると、目の前に冠雪を残した富士山が麓まで綺麗に見えた。
リーグ開幕２連勝のジュビロがホームに迎えるは１勝１分のレッズ。ここ２年の同カードは２勝２敗の五分。いずれも見る側を魅了する白熱したゲームであった。攻撃的なサッカーを掲げるレッズが、安定感の高いジュビロの守備に通じるのか。それともリーグ有数の攻撃力を誇るジュビロが、逆にレッズを力でねじ伏せるのか。藤田の300出場試合ということも相まってチケットは完売。スタジアムは満員御礼となった。
両チームとも３−５−２のフォーメーションで試合開始。４分、服部の素早いスローインから中山がレッズゴールを脅かす。６分には永井がドリブルで服部をかわしてシュート。８分には名波、福西、中山と繋いで、ディフェンスラインを破った福西がシュート。これはレッズのGK都築がナイスセーブでピンチを回避。丁々発止の立ち上がりを見せた。
目まぐるしく攻守の入れ替わるゲームだったが、先制点を奪ったのはジュビロ。12分、藤田がペナルティーエリアに侵入して生まれた混戦から、こぼれたボールを名波が右に流し、フリーの西のミドルシュートが炸裂した。レッズもすぐに追いつく。この日、右アウトサイドを担った永井がドリブル突破。マークに来た菊地を躱してゴール前にボールを送る。これがカバーに入った田中誠の足に当たってオウンゴールを誘った。
ジュビロが取れば、負けずにレッズが取り返す展開に、観客が手に汗握る興奮を覚えた頃、21分、23分とエメルソンが立て続けにイエローカードを受けて退場の憂き目となる。前半の半ばで退場者を出したレッズが落胆する様子を、試合巧者のジュビロが見逃すはずもない。退場劇後にFKからの展開でゴール前に飛び込んだ藤田がペナルティエリア左でボールをキープ。連動したグラウ、福西の動きにDFはつられて、またもスペースを開けてしまった。藤田からの山なりのボールを、フリーの西が迷いなく右足で捉えてネットを揺らした。
リードをされて攻めの意識が強いレッズに対し、ジュビロはゲームを落ち着かせるようにコントロールをしに掛かる。何度かいい突破を見せていた永井には、服部が睨みをきかせ、ゲームメイクをする長谷部には２、３人で囲み、自由なプレーは許さない。マイボールになると攻め急ぐのではなく、大きなサイドチェンジを交えながら相手の急所を探る。これが時間の経過、１人少ない相手の消耗には効果的であった。
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試合の主導権を握るジュビロは攻撃のギアチェンジを行ないながら、レッズに揺さぶりを掛けた。DFでゆったりボールを回したかと思うと、縦パスが入ったところで、ショートパスの交換からスピードを上げて、素早くサイドを突く。そんな状況で産まれたのが68分のグラウの得点だった。西のバックパスから、DFラインで攻撃を立て直し、楔のボールを藤田、西と繋ぐ。縦パスを受けたグラウはワンタッチでレッズゴールに流し込んだ。
３失点を喫したレッズは、FWに長谷部が入る変則的な布陣で、ジュビロゴールに迫る。75分には山瀬のミドルがGK佐藤を強襲。89分には攻撃参加した平川のパスを三上がシュート。ロスタイムには長谷部が潰されて零れたボールを山瀬が拾い、GKと１対１になったが、シュートの瞬間に佐藤がブロック。届きそうで届かないゴール。最後まで集中を切らさないジュビロの牙城を２度とは崩せなかった。
この試合で一番感じるのはジュビロのゲームを読む目だ。時間と状況を見て対応を変えることが出来る。２点目を奪ってからは、事を急ぐばかりではなく、一旦リズムを落として突如アップテンポで攻め入ったりもする。ボランチも攻めの福西、守りの服部とバランスもいい。守備も相手のどこが危険であるかの察知が早く、上手く対策を講じている。その安定した守備が攻撃力を支えていることは言うまでもない。
ところでレッズだがエメルソンの退場は返すがえすも残念だった。それでも最後まで攻めの姿勢を貫いたところは評価出来よう。ただ問題は前半の２失点にある。形は多少違ってはいるが、藤田にかき回され、西をフリーにしているところなど、同じ失敗を繰り返しているに過ぎない。「同じミスを２度とはしない」と、ゲーム内でも自分達で修正を図れるように心掛けて欲しい。
