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2003Ｊリーグ ディビジョン２ 第39節 川崎フロンターレvs.コンサドーレ札幌
2003年10月18日（土）14:04キックオフ 等々力陸上競技場 観衆：7,119人 天候：曇のち雨
試合結果／川崎フロンターレ１−０コンサドーレ札幌（前０−０、後１−０）
得点経過／［川崎］我那覇和樹（63分）
取材・文／大内孝彦
Ｊ１昇格への２枚の切符を争って行われているＪ２リーグ戦も、この日が第39節。この試合も含めて残り６試合ということになる。長い戦いもいよいよ大詰めといえるだろう。
今日対戦するのは川崎と札幌。ともにリーグ開幕前はＪ１復帰を目指して今シーズンの戦いに臨んだと思われるのだが、現時点では昇格争いの渦中にいる川崎と、既に昇格の可能性は無く、来期のことを考えて戦いに臨まざるをえない札幌という対照的な状況の２チームである。
まず、ホームの川崎だが、この試合が始まる前の状況を整理すると、現在の順位は３位。上には首位の新潟と２位の広島がいる。勝ち点差はそれぞれ４点と２点。これは、出遅れた川崎が終盤に来て先行する２チームを射程圏内に捉えたという構図といえる。ともあれ、現状は上位３チームが勝ち点差４の間で激しくＪ１昇格を争っているところであり、Ｊ１昇格のためにはとにかく勝ち点３を積み重ねて行くほかに途は無い。当然、この試合も欲しいのは勝ち点３。つまり勝利である。
対するアウェーの札幌は、前節の鳥栖戦でアンドラジーニャが退場処分となったためにこの試合は出場停止。そんなこともあって、この試合は先発メンバーに外国人選手の名前は無い。
試合は攻める川崎とまず守って逆襲を狙う札幌という構図となる。川崎は、左サイドからアウグスト、右サイドからは長橋、それにジュニーニョといったあたりも絡んで攻撃を見せる。札幌は、この川崎の攻勢を人数をかけてディフェンス。そして攻撃時にはスピードのある堀井と酒井というFWの２人にMFの砂川を加えた３人で逆襲を仕掛ける。この札幌の攻撃は、シュートまでには至らないものの何度か良い形を作り出していた。12分に見せた逆襲は、最後は右サイドから酒井がゴール前に良いセンタリングを入れたのだが、ゴール前に走りこんだ堀井が惜しくも届かなかった。
しかし、試合の主導権はあくまでも川崎が握っていた。14分には左から我那覇がゴール前に入れたボールをジュニーニョがフリーでシュートを放つという決定的ともいえる場面があったのだが、これはDFが体に当ててゴールを阻止。17分には今野のコーナーキックにニアポストで箕輪が奇麗に頭で合わせたのだが、これも惜しくもゴール右へと外れてしまう。川崎が試合を押し気味に進めているのだが、なかなか得点にはつながらない。
22分。結果として、この試合の行方を決めてしまった出来事の伏線が張られることになる。札幌のキャプテンでもある森下にイエローカードが出されてしまったのだ。
この後も試合は川崎の攻勢が続く。26分にはアウグストからのパスを受けたジュニーニョからゴール前に見事なクロスが入るのだが、これに飛び込んだ今野が一歩及ばず得点とはならず。32分にもフリーキックのこぼれ球を最後は今野がシュートするものの上手くミートせず。さらに36分にもジュニーニョから札幌のディフェンスラインの後ろを衝くスルーパスが出るのだが、これは我那覇が一歩及ばず。前半の川崎は何度もチャンスを作ったものの、それを生かすことはできなかった。
逆に前半終了間際には、札幌にコーナーキックを与えてしまい、キッカーの三原に良いボールを入れられてしまったり、その直後にも左サイドから和波の入れたクロスに吉川がヘディングシュートを放ったりしたのだが、得点には結びつかず。結局、前半はともに無得点で終了した。
後半が始まって直ぐの50分。札幌にとって致命的に近い事件が起きてしまう。森下にこの日２枚目となるイエローカードが出てしまったのだ。結局、森下が退場。劣勢の戦いを強いられていた札幌にとっては厳しすぎる退場となってしまった。
相手より一人人数が多くなった川崎だが、決して攻め急がずゆっくりとボールを回して隙を伺う。そして、石崎監督も長橋に代えてFWの小林を投入し相手の人数が少なくなったことを衝く。60分。川崎はゴール正面の位置でフリーキックのチャンスをつかむ。アウグストの放ったボールはクロスバーを直撃。このバウンドは真下に向かうものの、結局得点とはならず。
何度も惜しい場面を作りながら得点を挙げられなかった川崎だったが、ついに得点を挙げる場面が訪れる。63分、ジュニーニョが右サイドから入れたボールをゴール前で我那覇が落ち着いてゴールへと流し込んだのである。それにしても、ジュニーニョのパスは相手のDF３人の動きの裏を取る見事なパスであった。 この得点の後も、川崎が攻勢であったのだが、追加点を挙げることはできず。とはいうものの、１人少ない札幌も逆襲はできず。結局１−０で試合は終了。川崎が見事に勝ち点３を手に入れることに成功した。
札幌は、現在の川崎とのチーム力の差とか勢いの差を考えると、それなりに健闘したと言って良いであろう。しかし、試合内容を純粋に見ればやはり完敗というべきものである。この試合、川崎のシュート本数が25本であるのに対して、札幌のシュート本数はわずかに２本。全く得点のチャンスが無かったわけではないが、それでもあまりにシュートが少なすぎるといえるだろう。
川崎は１−０というスコアながらも、札幌に内容としては完勝。これで第33節以来、実に７連勝である。そしてこの日、上位の新潟と広島が共に敗れたことで、ついにＪ１昇格圏内である２位へと浮上した。第39節を終了して、１位の新潟から３位の広島まで、勝ち点差はわずかに２。どのチームがＪ１への昇格を果たすことになるのか、全く予断を許さない状況といえる。 残り５試合、川崎は最後にＪ１昇格の切符を手にすることができるのだろうか。次節は山形とのアウェーゲームである。
