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2003Ｊリーグ ディビジョン１ ２ndステージ第４節 ジェフユナイテッド市原vs.鹿島アントラーズ
2003年9月07日（土）19:04キックオフ 国立霞ヶ丘競技場 観衆：17,680人 天候：曇
試合結果／ジェフユナイテッド市原２−３鹿島アントラーズ（前１−２、後１−１）
得点経過／［市原］阿部(31分）、［鹿島］平瀬（34分）、オウンゴール（44分）、［市原］崔龍洙（68分）、［鹿島］秋田（75分）
取材・文／佐内豊
内容が悪いながらも３連勝という好スタートをきった市原は国立競技場に鹿島アントラーズを迎えた。ベストメンバーで臨む市原に対して、鹿島は中盤の要、中田浩二が前節の大分戦で負傷し長期離脱という緊急事態。代わりに入った青木剛がどの程度機能するかが見どころとなった。この日の国立競技場は勝てば首位という好カードながらスタンドの空席が目立ち、アウェーチームであるアントラーズゴール裏のコールだけが一際と大きく聞こえる。
上川主審のホイッスルで始まったこのゲーム、立ち上がりこそ市原が鹿島ゴールに迫ったが、試合をコントロールしたのは鹿島。自陣のゴール前での市原のセットプレーからのこぼれ球をことごとく制して素早いカウンター攻撃を繰り出した。立ち上がりの魔の５分を制した鹿島はその後、エウレル、平瀬を含む前線からの忠実な守備と早いパス回しで市原を圧倒した。
シュートらしいシュートも打てないまま防戦一方の市原だったが先制したのは市原。31分、崔龍洙に対するファールで得たゴールほぼ正面からのFK。これを阿部がゴール右隅に直接叩き込んだ。しかし、直後の34分、カウンターからのフェルナンドのシュート。ＤＦが弾いたところを平瀬がふり向きざまの見事なシュートを決め、鹿島があっさりと同点に追いつく。36分、市原は再度セットプレーから阿部が豪快なシュートを放ったがバーを直撃。ため息と歓声がスタンドを交錯する。
その後、お互い一進一退をくり返したが、追加点をあげたのは鹿島だった。前半終了間際の44分、やはりカウンターから右サイドでエウレルが巧みなボールコントロールを見せてDFを翻弄し、左サイドのスペースに全力で走り込んだ小笠原に決定的なパスを送った。ＧＫと１対１から放った小笠原のシュートを櫛野がかろうじて弾いたが、カバーに戻った中西に当たりオウンゴールとなってしまった。最終勝負場面をイメージして全力で駆け上がった小笠原の見事なフリーランニングだった。
１点ビハインドの市原は、後半立ち上がりから積極的に攻撃をしかけた。とりわけ、中盤の競り合いに闘志を見せ、徐々にボールを奪取できるようになる。しかし、鹿島は中盤のスペースを与えない為、カウンターを仕掛けるまで至らない、いわゆる「ボールを持たされている」展開がとなった。しかし22分、市原は同点に追いついた。崔龍洙がヘッドでゴール前に飛び込むサンドロに流す決定的な場面で相馬が後ろから倒して一発退場。このPKを崔龍洙がゴール左に決めたのだ。
しかし、この後の市原は何かおかしかった。数的優位にもかかわらず、安全プレーに終始し何故か引き気味になってしまう市原。一方の鹿島は、一人欠いているにも関わらず、逆に攻守のバランスが良くなったように見えるほど動きが活性化した。経験に裏打ちされた見事な「危機管理」が浸透している鹿島がセットプレーからの秋田のヘッドで再びリードするまで時間はかからなかった。
再びビハインドを背負った市原は33分に大柴、36分に山岸を投入して勝負に出る。しかしながら、38分、崔龍洙が審判の笛がなった後にボールをシュートし、この日２枚目の警告を受けてしまう失態を演じてしまった。興趣を削ぐこの退場劇によって、勝負の趨勢は決まってしまった。市原はその後、巻を投入してパワープレー勝負に出たが、勢いを跳ね返すまでには至らなかった。市原はセカンドステージ初黒星を喫し、鹿島が首位に躍り出た。
やはりと言うべきか、地力に勝る鹿島が首位に躍り出てきた。セカンドステージの序盤に最少失点で勝点を拾ってきた鹿島が、首位を走る市原を捉え、そして追い抜いた。「優勝するには三つか四つポイントになる試合がある。その一つを拾えた」とは秋田。主軸の中田浩二を失った直後の試合を完璧に勝ちきった力は本物だ。代わりに入った青木に、中田の穴を感じさせないプレーを演じさせた鹿島というチームの底力は見事。セカンドステージは鹿島を中心に動くことを予感させる会心の試合だった。
ところで意図原は、ファーストステージ終盤以来、パス＆ムーブを基調とする市原本来のサッカーが出来ていない。もちろん、サッカーは相手チームとの相対的な力関係によってその結果は異なるが、それにしても、このゲームの市原はあまりにもナイーブだった。激しいマークに集中力を切らし肝心なときにカードを貰ってしまうストライカー。数的有利になりながら自ら攻守のバランスを欠いてしまう市原イレブン。そして選手の背中を押しきれない12番目の選手達。ファーストステージ14節、対清水戦を勝ちきれなかったのと同じ問題を抱えている。
首位をみすみす明け渡す悔いを残すゲームだった。しかし、この敗戦からフロントやサポーターを含めチーム全員が、市原には何が足りないのか、市原が大事にするべきは何なのかをきっちり把握してほしいと願っている。足りないことに真っ正面から向き合うことこそが、さらなる成長の糧になるのだから。次節、ＦＣ東京戦にこの日の悔しさをはらして貰いたい。
