大久保にしてやられた磐田。二度のリードも守りきれず、Ｃ大阪にドロー！
2003Ｊリーグ　ディビジョン１　２ndステージ　第４節　ジュビロ磐田vs.セレッソ大阪

2003年9月6日（土）15:34キックオフ　ヤマハスタジアム　観衆：11,472人　天候：晴
試合結果／ジュビロ磐田２−２セレッソ大阪（前１−０、後１−２）
得点経過／［磐田］河村（15分）、［Ｃ大阪］大久保（49分）、［磐田］グラウ（53分）、［Ｃ大阪］大久保（58分）


取材・文／貞永晃二

　横浜FMに優勝をさらわれた１stステージ同様に２ndステージの開幕戦をも落とし、スタートダッシュに失敗しここまで１勝２敗の磐田。中山の負傷と藤田のエールディビジ移籍に加え福西とジヴコヴィッチまでも出場停止で欠く。代役の河村、成岡への期待は大きいが、中枢の名波・服部にかかる負担もまた大きいはずだ。しかし一時帰国中の藤田を安心させる試合にしたいところだろう。
　一方Ｃ大阪も連敗でのスタートで同じく１勝２敗。しかし前節の仙台戦の快勝、得点源・大久保の復調、そして主将西澤の復帰と明るい材料が揃いつつある。

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　キックオフから両チーム活発に攻めあう展開。残暑の中の昼の試合とは思えないほど激しい動きを見せる両チーム。ともにサイドを有効に使いクロスが入る。磐田では成岡が高いボールスキルと冷静な判断でチャンスを演出する。たくみに左サイドに入り込んで前田にラストパスを通してみせる。やはり並の新人ではない。
　そして15分、磐田が河村のＪリーグ初得点で先制する。名波の右CKにGK多田が出たが、その手前に入られ、ヘッドで合わせるというよりも身体全体で飛び込むといった感じのヘッドだった。福西の存在を忘れるほどの豪快さと言えば言い過ぎか。

　Ｃ大阪も反撃に出る。堅い磐田DFの前にほとんどボールにさわれない大久保だったが、一旦ボールを持たせれば、細かいボールタッチと無理の利く身体でゴール前に混乱をもたらす。しかしなかなかシュートを打たせてもらえずフラストレーションが高まる。ラインのギリギリで飛び出すため、オフサイドにかかることも多い。

　磐田は前田からグラウへ意外性満点のパスが出るが、Ｃ大阪DFもなんとかふんばって追加点は許さない。クロスに飛び込む大久保にサックスブルーのサポーターから強烈なブーイングが飛ぶ。一昨年の初対戦での退場劇が尾を引いているのだろうか。そして39分には西からのロングパスから前田がチャンスをつかむが、ジョアンのクリアリングで顔面から出血してしまう。PKをとられてもおかしくないプレーにも主審の笛はならない。今度は主審めがけてブーイングの嵐。Ｃ大阪は終了間際にようやく大久保がトウキック気味でシュートを放ち、後半に気持ちをつなげる。

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　後半、磐田は負傷の前田を西野へ、Ｃ大阪も布部から濱田へと交替した。そしてこの濱田が同点ゴールをお膳立てする。自陣右サイドで森島のパスを受け、大きく前へ飛び出し磐田DFラインのウラへパスを通す。これに大久保がダッシュで追いつきGKをタテにかわして角度のないところから転がした。これが49分、しかしＣ大阪の喜びの時間はわずか４分間だった。ボックスの中で成岡がキープする後ろを西がゴール前へ侵入しパスを受けシュート。DFに当たりこぼれるところをグラウがスライディングで決めて２−１、磐田が再度突き放す。

　しかし、点の取り合いになると俄然イキイキするのがＣ大阪らしいところ。久藤のクロスをバロン、ジョアンとヘッドでつなぎシュート、わずかに外れる。そして今度は５分後に追いつく。原が磐田DFの背後を突くパス。１点目と同様に大久保が追う。しかしボールを今度はヴァンズワムが押さえた。いやそう見えたが大久保がつつきながら空きのゴールへプッシュした。ファウルか？ノーゴール？しかし主審は得点を認めた。GKのミスと言われてもしょうがないが、サボらず詰めた大久保に運があったようだ。２−２、同点で試合は終盤へと進む。

　Ｃ大阪はバロンを西澤へ、磐田も成岡を川口へと替え前線に活力を注入する。３トップ気味となった磐田に対応し柳本を入れて押さえにかかる西村監督。
　グラウからのパスに走りこみながら左足で狙った川口のシュートはGK多田がファインセーブで防ぐ。さらに西のドリブル突破、名波のFKに西野、グラウが飛び込むなどチャンスが続く磐田。Ｃ大阪も森島が左コーナーでためを作りクロス。大久保が山西に競り勝ってヘッドで襲うがバーを越える。さらに西澤がボックスでキープしシュートのフェイクから戻し濱田に狙わせるがシュートが遅い。
　そして磐田最大のチャンスはインジュアリータイムに訪れた。名波の右CKを西野が強烈なヘッド。しかし無情にも左ポストを叩き流れてしまう。そしてタイムアップを迎えた。

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　結果から見るとともに勝てる試合だったといえる。終盤の決定機のいずれかを決めることができていれば、そのまま逃げ切れる試合だったはずだ。特に優勝を狙う磐田には痛いドローだ。若い前田と西野も競争の中でもまれ成長は著しく、成岡にも十分使える目途が立ってきた。それだけに勝利することで自信をつかませてチームとしても波に乗りたかったというのが柳下監督の本音ではないだろうか。

　Ｃ大阪では、大久保のいささかがむしゃらすぎるほどの得点への執念が中山ゴンに合い通じるものを感じさせた。相手サポーターからのブーイングは彼を奮い立たせるＢＧＭなのかもしれない。そして濱田。彼の能力の高さの片鱗を見ることができた。今後は森島も高く評価するというそのセンスの良さを、いかにコンスタントに試合で発揮できるかがカギだろう。ユース上がりであり、数少ない大阪出身選手だけにサポーターからの期待は熱く大きいのだから。