復調・大久保！技ありの２得点でＣ大阪、仙台を圧倒！
2003Ｊリーグ　ディビジョン１　２ndステージ　第3節　セレッソ大阪vs.ベガルタ仙台

2003年8月30日（土）19:00キックオフ　長居スタジアム　観衆：9,458人　天候：曇時々雨
試合結果／セレッソ大阪４−２ベガルタ仙台（前２−１、後２−１）
得点経過／［Ｃ大阪］バロン（4分）［仙台］岩本（6分）、［Ｃ大阪］大久保（36分、50分）、喜多（57分）、［仙台］金（79分）

取材・文／貞永晃二


　２ndステージ連敗スタートのＣ大阪が、4月19日以来勝利から見放されている仙台をホーム長居に迎えた。混戦必至の２ndステージだけに、勝利＝勝点３を得て波に乗りＣ大阪は上位をうかがい、仙台は降格危機からの脱出を図りたいところだ。

　Ｃ大阪はDFラインを入れ替えてきた。スリーバックの中央に柳本に替わり廣長、左には鈴木に替わり喜多を置いた。好調な選手を使っていこうということだろうか。一方仙台は新加入の小峯、望月も３試合目となりチームへも溶け込んでもらわないと話にならない。

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　仙台・岩本のシュートで幕を開けた試合は、早くも４分にホームチームが先制した。ゴール前中央から大久保が一人かわし左足で狙う。GK高桑がなんとか止めたがファンブル。詰めたバロンがクールにプッシュした。ホーム長居でなかなか勝利を体感できないピンクのサポーターたちも驚かせる電撃ゴールだ。しかし、この後がＣ大阪らしい。ドリブルで侵入した望月の足をGK多田が手で払ってしまう。場所はボックス内、当然のPKだ。しかしイエローカードさえ出されなかったのは少し疑問が残る。さて、キッカーは岩本。強いキックで真ん中に叩き込んだ。１−１、遠来の仙台サポーターも大喜び。逆のゴール裏はしょんぼりだ。

　前節、暑さのためもあってか、プロらしからぬミスを連発したＣ大阪も、この日は軽快にボールが回り多くのチャンスを作る。森島が持ち前の良質な動きでかき回し、頭を丸めて心機一転の大久保もキレのある動きを見せ、バロンもしばしば小村にヘッドで競り勝つ。特にオフサイドを恐れずぎりぎりを狙う大久保の動き出しの速さに、仙台は守備に神経を使わざるを得ない。時おりのセットプレーでの岩本のキックが攻めの拠り所になる。

　Ｃ大阪の追加点は36分。左サイドの原がふわりとしたボールをDFラインの背後に送ると、大久保が突進する。あわてて小峯も追いすがるが飛び出したGK高桑の頭上を見事なタイミングのループで抜いた大久保。笑顔でチームメートが称える。一方ピッチを叩き悔しがる小峯。誰もが勝利のため必死のプレーなのだ。
　仙台もようやく根本が上がりカットインし右足で狙う。Ｃ大阪も森島が惜しいチャンスを逃したところで前半を終えた。

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　後半、劣勢挽回を期す仙台だが、早々の50分に手痛いミスで失点を招いてしまう。浮き球をストッパー小村がクリアせず、GK高桑へヘッドで戻そうとする。やや離れた位置から「におい」を感じたのか、ナンバー10をつけた狼がこれを見逃すはずがなかった。ボールをかっさらい高桑をかわして無人のネットにプッシュした。３−１、これ以上ない望ましい試合展開にスタンドが喜びにあふれる。

　波に乗るＣ大阪は森島のクロスからバロンのヘッド、久藤のクロスから森島のヘッドと押しまくる。そして57分、試合を決める得点が記録された。左CKをファーポストに合わせヘッドシュートが長身GKを襲う。高桑がキャッチできなかったボールを喜多が押し込んだのだ。ついに４−１、まだ30分以上あるものの３点差は重い。

　仙台は後半から入っていた新外国人の金殷中が何とか起点となろうとし、福永、福田と連続して投入し得点を狙う。Ｃ大阪は好調大久保が鋭い振りからミドルを放ち、負傷から戻った西澤カピタンも攻撃のアクセントをつける。仙台・金は高い打点のヘッド、粘り強いボールキープと自らをアピールした。そして79分にはズルズル下がるＣ大阪DFを尻目に、よくコントロールされたシュートで来日初ゴールを決めた。

　Ｃ大阪は３点差をつけた時点でうまく時間を使って試合を終わらせたかったところだが、金に得点を許すなど、まずい試合運び。しかしご苦労さんと大久保を引っ込め、なんとか２点差を維持しタイムアップを迎えた。

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　仙台はまたも勝利を挙げられなかった。得点源マルコスの不在を埋めるべき山下、佐藤に開幕時の元気さが感じられない。相手に研究されていることもあるだろうが、この壁を破らない限り、個人の成長もチームの勝利もありえないのだ。好材料は金殷中の加入だ。韓国人FWらしい前線での粘り強いプレーは、味方の押し上げる時間を稼いでくれる。一日でも早くチームに、Ｊでのプレーに慣れてもらいたいものだ。

　大久保の復調、西澤の復帰と好材料の見られたＣ大阪だが、これを維持できるかどうかが上位進出を狙うカギだろう。DFラインの人材に突出した存在＝リーダーとなれる選手がいないことがメンバー固定ができないことにつながっている。このチームに守備の安定だけを求めても無駄だろう。好調な攻撃陣に引っ張られて守備も安定するという形に持っていくしかないのだ。一チームくらいこういう個性的なチームがあってもいいんじゃないだろうか。