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2003Ｊリーグ ディビジョン２ 第29節 横浜FCvs.ヴァンフォーレ甲府
2003年８月23日（土）19:01キックオフ 横浜市三ツ沢公園球技場 観衆：3,265人 天候：晴
試合結果／横浜FC１−２ヴァンフォーレ甲府（前０−０、後１−２）
得点経過／［甲府］藤田健（54分）、［横浜FC］横山博敏（69分）、［甲府］オウンゴール（67分）
取材・文／大内孝彦
お盆の頃には梅雨が戻ってきたかのような天気が続いていた関東地方だが、お盆明けくらいからは夏らしい天気が戻って来ている。この日も日中は、いかにも夏といった暑さであった。それでも日が暮れてくれば多少は気温が下がり、試合開始時刻くらいには気持ち過ごし易い感じである。
この日の三ツ沢は好天に恵まれたことと、夏休み期間中であることが重なってか、スタンドを見る限りでは６分程度の入りといったところである。それに甲府からの遠征組も少なからずにいる気配。背中に「Princess TENKO」のロゴの入ったレプリカユニフォームをちらほらと見ることができる。
試合はまだ明るさの残る19時01分にキックオフ。そして開始１分、横浜FCは小野信義が右サイドで相手DFにプレッシャーを掛けてボールを奪取。そのままサイドを突破してシュートを放つ。しかし、このシュートはGK阿部が正面でキャッチして得点とはならず。
立ち上がりから良い感じの攻撃を見せた横浜FCだったが、この良い感じは長続きしなかった。なぜなら、徐々に横浜FCの動きの無さと甲府のボールホルダーへの厳しいプレッシャーが目立つようになり、甲府が相手陣内でボールを奪い取る場面が続出。甲府が横浜FCを押し込む展開となっていったからである。
こうして試合の主導権は甲府へと移って行くのだが、それでも横浜FCにチャンスが全く無かったわけではない。23分には、左サイドを深くえぐった小野信義のゴール前へのマイナスのパスに、ぴったりのタイミングで飛び出した大久保がシュートを放つ。２人のイメージの合った良い攻撃だったのだが、惜しむらくはフィニッシュに精度を欠いた。ボールはクロスバーの上を越えて行き、横浜FCは先制点の好機を逸してしまった。
そして24分、動きの良くない横浜FCにとって追打ちを掛けるようなアクシデントが発生する。中盤まで下がってボールを受けに来た城に対して、外池のスライディングが深く入ってしまい城が負傷。一度はピッチに戻るものの、結局36分には増田と交代することとなったのだ。
一方、そのアグレッシブな動きとボールへのプレスで横浜を圧倒していた甲府だったが、相手守備を崩して決定的な場面を演出するまでにはなかなかいたらない。また、何度かCKのチャンスも得たのだが、得点につなげることはできず、結局は前半を０−０で終えることとなる。
試合の均衡が崩れたのは後半に入ってから。54分、ペナルティエリア左角近くで得たフリーキックを藤田が見事にゴール左上に直接決めたのである。こうしてセットプレイから甲府が先制。なお、このフリーキックの際に横浜FCのGK菅野がゴールポストに激突。一度は試合に復帰した菅野だったが、直ぐに倒れてしまい水原と交代している。
１点を追う横浜FCは、66分にDFの河野に代えてMFの横山を投入。攻撃体制の強化を図る。しかし、その直後の67分、甲府に追加点が転がり込むことになる。小倉のポストプレーからのパスを受けた石原が左サイドを突破し、深い位置まで切り込んで上げたセンタリングが守備に戻ってきた横浜FCの選手に当たりオウンゴールとなってしまったのだ。このゴールで甲府が点差を２点と広げた。
これまでの試合展開を考えれば、この２点目でほとんど勝負が着いたかに思われたのだが、勝負事とはそれほど生易しいものではなかった。69分。横浜FCは相手陣内でのパス回しから、横山が相手の隙を衝いてミドルシュートを放つ。そしてこれに合わせるようにして大久保がゴール前に飛び込む。大久保はボールに触れなかったものの、この動きにつられてしまったGKはシュートに反応できず。横浜FCが１点を返し、スコアは１−２となった。このゴールでようやく眠っていた横浜FCが目を覚ました。甲府に疲れが出てきたこともあり、以降は横浜FCに試合の主導権が移って行く。
しかし、甲府も選手の頑張りと選手交代とで横浜FCの攻勢をしのぐ。そして５分間のロスタイムも乗り切って試合終了。甲府が試合内容にふさわしい勝利を得た。
試合に敗れた横浜FCは、これで湘南に抜かれて11位となった。試合終了直前にこそ猛攻を見せたのだが、１試合を通しての内容となると否定的な評価しかできないだろう。試合開始後の数分と１点を取り返して以降を除いた時間帯はほとんど眠っていたような試合振りだった。この試合内容をみる限りでは現在の順位も仕方ない。
甲府はこの勝利で４位の座をキープ。昇格争いを繰り広げる３チームには少し引き離されているのだが、やはりこの順位は立派である。名の通った選手は少ないのだが、この試合を見る限りでは、選手達の試合に対する意気込みとか気迫といったものが観客席まで十分に伝わってくる。こういった試合を続けているならば、地元のファンにも支持されてゆくことであろう。
