酷暑のホームで柏の堅陣を破れず、Ｃ大阪連敗スタート！
2003Ｊリーグ　ディビジョン１　２ndステージ　第2節　セレッソ大阪vs.柏レイソル

2003年8月23日（土）19:00キックオフ　長居スタジアム　観衆：9,391人　天候：晴
試合結果／セレッソ大阪０−１柏レイソル（前０−１、後０−０）
得点経過／［柏］玉田（11分）


取材・文／貞永晃二

　気温29度、湿度83％、ほとんど無風という状況が両チームの選手を苦しめた。集中を欠いた、つまらないミスを繰り返し、サッカーというスポーツのもつ面白さが失われた試合内容だった。そんなミスの中の一つから失点したのはホームチーム、そしてそれが決勝点となってしまった。

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　中盤での争いに終始し両者ともに大きなチャンスもないまま時間が経過した11分。中盤でキープした布部が素早く間合いを詰めてきたリカルジーニョをかわそうとして不注意にも芝生に足をとられ転倒。リカルジーニョはボールを奪うとそのままドリブルで突進。強烈なシュートを放つ。これはなんとかGK多田が好反応でブロックしたが、こぼれは抜け目なく詰めていた玉田の目の前に。冷静に右足でプッシュした。またしても先制を許したＣ大阪。ホームでなかなか勝てなかった１stステージの記憶がまたもよみがえる。

　それでも、高い位置からのチェイシング、プレッシングでボールを奪い同点を狙って攻撃態勢に入るＣ大阪。しかし、先制後の柏は明らかにディフェンシブなプレーからのカウンター狙いに切り替えてきた。

　31分、代表帰りの大久保が森島からのパスを強烈なインステップで狙うが、あまりに角度がなく得点には至らない。そして、左右からのクロスは入るものの薩川、渡辺毅の高く堅い砦を破る力はバロンにもない。また、肝心なポイントではＣ大阪にミスが出る。それは明神のエネルギッシュでワイドな動きによるディフェンス貢献のおかげだ。逆にインジュアリータイムの柏はボランチを務めた永田がうまいキープからリカルジーニョにシュートを打たせた。これは多田が反応良く防ぎ難を逃れたが、Ｃ大阪の前半は低調な出来に終わった。

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　後半、西村監督はてこ入れとして左サイドに佐藤を入れ、原を右にチェンジさせ、「責任」を取らされた布部に替わって若い濱田をボランチに入れ、後方からの組み立てを担当させる。
　
　Ｃ大阪の早々のピンチはホーム長居のクロスバーが救ってくれる。運を信じ攻撃に出るＣ大阪。CK崩れからのジョアンのヘッドが外れ、素早いリスタートから森島が詰めるが届かない。クロスからのバロンの落としに大久保は合わせられない。

　ジョアンの空中戦の強さは攻撃時にも活きるが、ワクには飛んでくれない。大久保が今までならシュートしていたタイミングでラストパスを出すシーンまであり、時間の経過に伴いスタンドの不満ももはやピークを迎える。残る最後の切り札・徳重を入れるために森島を出さざるを得ない西村監督のジレンマがこちらにも伝わってくる。

　前がかりのＣ大阪はカウンターから平山の抜け出しを許してしまい、あわや２点目かと思われたが辛うじて防ぎ、ラストチャンスに期待したのだが、「定刻｣を告げる主審の笛の音と同時にスタジアムに大きな落胆のため息がそこかしこで聞かれた。

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　確かに柏が連勝という願ってもない好スタートを切り、Ｃ大阪は連敗、そして最下位という最悪のシナリオを演じることになった。しかし、猛暑の中で両チームの選手に要求するのは酷かもしれないが、雑なボールコントロール、遠い距離からのシュートの少なさ、攻撃時のアイデアの貧しさなど、集中力に欠けるサッカーを見せられたことは残念至極であった。

　日本代表戦にはそれこそ日本中の注目が集まっている。しかしＪリーグ全チームのレベルを上げることができなければ、「世界」と戦う基盤は築けないのだ。そんな意味からこの日の両チームのパフォーマンスは寂しすぎるものだと感じた。

　勝ちにこだわり守備的な試合となった柏はまだしも、不振の続く関西勢の中で１stステージを５位で終えたＣ大阪には技術・戦術のより一層の進化を期待したのだが、見事に裏切られたようだ。１stの結果から「ホームで勝たなければ」という重圧があるのかもしれない。しかしアウェーで見せてきたアグレッシブなプレーをホームスタジアムでも披露して欲しいと願うのは贅沢なことだろうか。