松田監督（福岡）記者会見
2003Ｊリーグ　ディビジョン２　第27節　アビスパ福岡vs.サンフレッチェ広島


試合を振り返って

　いい結果が出せてよかったと思います。ただ３−１という点差ほどの内容の差はなくて、うまいこと試合を運べたなというのが率直な感想です。特に前半立ち上がりの劣勢を良く凌いで、耐えて、それはここのところ、守備のほうで少しずつ自信が芽生えているところが出たのかなという気がするんですけれど、そこで先制されなかったということ。それと相手は非常に攻撃的な布陣なので、必ず速攻でビッグチャンスというのが来るんじゃないかということで、それを我慢強くみんなが待ちながら試合を進めてくれたこと。そして、最終的にきっちりそれを決めてくれたということが勝因ではないかなと思います。以上です。


好調の原因は守備の安定だと思いますが、具体的に一番良くなっている点はどういうところでしょうか。

　そうですね。やっぱり自分たちのミスからピンチを招くこともあれば、相手のすばらしい攻撃でピンチになることもあるんですけど、そのときに、落ち着いて状況に対処できるようになったと。以前だと、ひとつのミスでパニックになるというか、いい対応が出来ない、落ち着いた判断が出来ないということで、さらにミスを生んで簡単に失点をしてしまうということが多かったと思うんですけれど。後はセットプレーからの失点が少なくなったということは、集中力が続くようになったかなと、そこが一番じゃないかなと思います。


前半の中盤、相手の流れになったときに随分オフサイドで助かりましたけれど、あれはオフサイドを狙ったんでしょうか。それとも、コンパクトなディフェンスの結果、相手がかかってくれたんでしょうか。

　そうですね、後のほうがあたっていると思います。うちとしては、１人でかけられるときはオフサイドトラップをかけますけれど、特にセルジオに対して、茂木とか高橋がグイグイっと、セルジオを押し下げるようにして１対１の状況を作ろうとしていましたが、そういうときには、１人で取れるときはオフサイドを取っていいということはあります。しかし、基本的にはラインから出るのが早かったということじゃないかなと思います、相手が。ですから、ちょっと危ない場面もあったんで課題にはなっているんですけども、そういうのでいい攻撃がとまったという意味で、救われた部分もありましたね、前半に関しては。


監督がおっしゃったように試合としては難しいゲームだったと思いますが、こういった難しいゲームで、いつも先に点を取られていたのがアビスパでした。そこをきっちり凌いで３点を取ったということで、チームが一皮向けたと思っていいんでしょうか。

　こういう結果になったのは、現時点での、過去５試合、６試合の勢いの差が出ただけであって、広島は相変わらず強いチームですし、迫力もあるし。むこうが取るか、こっちが取るか、あるいは凌ぐかっていうところっていうのは、試合の内容があまり反映せずに、そのときのチームの勢いとか状況が結果につながるということがサッカーではよくあるので。ただ我々は、こういうステップを踏みながら確実にレベルアップをしていると思いますけれど、やはり本当の力っていうのは１年通して出るっていうのが本当でしょうから、そういう意味では、まだまだ発展途上の段階だと思います。


今シーズンの滑り出しは、あんまりいい滑り出しではありませんでしたが、ここ５、６試合、いい形になってきています。特に今日の試合ではメンタリティの部分で、広島とは対照的に攻める姿勢とか、戦う姿勢が出ていました。どのようにして監督は、ここまで持ってこられたんでしょうか。

　とにかく、いま言われたメンタリティの部分が勝敗を決する一番核にあるんじゃないかと思うんですね。まあ、技術だとか、戦術とか、体力とかっていうのも、もちろんあるんですけれど、中核にあるのはメンタルじゃないかなといつも思っているんですけれど。そういう意味で、勝ちたいだとか、勝てるっていふうなものを持って臨むか、どこかでやられるんじゃないかとか、うまくいかないんじゃないかとかっていうものを持っているのとでは随分違うと思います。そういう状況では、どうしても力っていうのは出てこないと思うんですね。

　そういう意味では、最初の状況が、そういう状況でスタートしてて、どこかで最後の思い切りだったり、本当に振り絞りながらっていうところまで行ってなかった部分があると思うんですけれど。それでも、そんなに急には変われなくて、最初４−０、５−０とかで負けていた時点で、まずは守備を立て直さないことには土俵に上がれないというくらいの状況だったので、まずは守備のてこ入れをしました。

　それから、負けても１点差だとかいう試合が出来るようになって、選手たちも、こういうことでやっていけばということで。あと、無失点試合とかが出来てくれば、「１点取りさえすれば勝てるような感じになってきたじゃない」っていうような、小さな成功体験みたいなものを積み重ねていくしかないと思うんですね。取り敢えず頑張ろう、頑張ろうでは、「無理じゃない？」っていう感じが出てくると思うんですよね。かなり時間がかかりすぎたなという気はしますし、ファンの方には申し訳ないなと思ってたんですけれど、そういうことしかないかなと思いながら続けてきたつもりです。

●	小野監督（広島）記者会見