トンネルの出口は見えたのか？湘南山田監督、リーグ戦初勝利！
2003Ｊリーグ　ディビジョン２　第20節　湘南ベルマーレvs.水戸ホーリーホック

2003年６月28日（土）19:00キックオフ　平塚競技場　観衆：4,113人　天候：曇
試合結果／湘南ベルマーレ１−０水戸ホーリーホック（前１−０、後０−０）
得点経過／［湘南］中里宏司（26分）


取材・文／大内孝彦

　この試合は第19節を終了して４位と健闘を見せている水戸と最下位に沈んでいる湘南の対戦である。これを素直に受け取ると、好調の水戸と不振の湘南という構図を想像してしまうのだが、実はこれは誤っている。
　最近５試合の成績を見てみると、水戸は１勝１分３敗であり、湘南は４分１敗という成績となる。さらに詳細を見ると、水戸は15節の大宮戦の勝利を最後に４試合連続で得点できていないし、湘南は監督交代後１敗しかしていない代わりに１勝もできていない。実は両チームとも、不振のトンネルを通過中というべきなのかもしれない。

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　試合の立ち上がり、主導権を握ったのはホームの湘南であった。再三、相手陣内へと攻め込み水戸のゴールを窺う。しかし、トゥーリオを中心とする水戸の守備陣は堅固である。特にゴール前ではトゥーリオが制空権を完全に掌握し、クロスボールをことごとく撥ね返してしまう。このトゥーリオの壁を湘南が崩すのは非常に困難が予想されたのだが、先制点は思わぬ形で湘南に生まれることとなる。

　26分。徐々に巻き返しつつあった水戸がコーナーキックを得る。そして栗田の入れたボールにトゥーリオがニアサイドで合わせてヘディングシュート。しかし、これは湘南のDFに防がれる。そしてクリアボールが左サイドへと出る。
　このクリアボールを競り合いの末に湘南がマイボールとし、競り合いの横を駆け上がって行った中里へとパスが出る。ハーフウェーラインより少し自陣に入った位置でボールを受けた中里はそのままドリブルで前進。マークについた秦を背負いながらも一直線で水戸のゴールへと突き進む。この突進に小川が対応を誤ってしまう。ずるずると下がってしまい、その後ボール奪取を試みるもののあっさりとかわされてしまう。こうしてGKと１対１となった中里がシュート。これが見事にゴールに決まり湘南が先制したのだ。
　この後、１点を追う立場となった水戸が攻勢を見せるのだが、決定的な場面までには至らない。結局、前半は１−０のままで終了した。

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　後半に入っても試合の流れに大きな変化は無い。両チームともにコーナーキックやフリーキックは得るのだが、水戸はトゥーリオ、湘南はパラシオスをそれぞれ中心とした守備を崩すまでにはいたらない。
　そんな中、盛り上がったのが91分からの一連の攻防であった。まず、水戸の小川がコーナーキックのクリアボールを拾い強烈なグラウンダーのシュートを放つ。しかしこれはGK小林とゴールポストに阻まれる。この直後にもコーナーキックから水戸の選手がニアでヘディングシュート。しかし、これもボールがクロスバーを直撃して得点ならず。そしてここから湘南が逆襲。最後には柿本がシュートを放つがこれは水戸のGK本間がセーブ。双方ともに得点とはならなかった。
　結局、この後も、両チームに得点は生まれず。１−０というスコアで湘南が勝利を収めた。

　こうして試合は湘南が勝利を手にした。これはサミア前監督の辞任から指揮を執っている山田監督にとっては初勝利であり、チームとしても５月14日以来、８試合ぶりの勝利である。確かに試合内容には不満な点が多いものの、ここは勝利を収めたという事実を噛み締めるべきなのであろう。

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　敗れた水戸だが状況は相当に深刻なのかもしれない。実にこれで５戦連続して無得点である。今日の試合でも惜しい場面は何度かあったのだが、それはセットプレーからの攻撃であった。流れの中から相手の守備を崩すことができていないのが辛いところである。救いといえば選手達から戦う気持ちを感じられることであろう。

　両チームともに、この日の試合内容を見る限りでは、そう簡単に不振を脱出できるようには思えない。しかし、１勝をきっかけにチーム状況が好転することもよくある話である。この日の試合結果は、両チームにどのような影響を与えるのであろうか。