サガン鳥栖　サポーター通信　〜未だ成長の過程 　レポート／浜崎薫

　アウェイでの２連戦は、対照的な結果になった。４月９日(土)、対ヴァンフォーレ甲府戦（第６節）では、１−３の惨敗。２選手の退場に、松本育夫監督の退席というおまけまで付いてしまった。しかし、４月17日(日)の対ベガルタ仙台戦（第７節）では、２−０で快勝し、勝ち点３を獲得。ここまでのサガン鳥栖の通算成績は、２勝３分２敗（勝ち点９・順位は７位）となった。

　対仙台戦では、監督と主力選手の不在という不利な状況を感じさせない試合運びを見せた。前半３分に長谷川豊喜が、後半６分には宮原裕司が、いずれも相手の左サイドをえぐった地点から放たれたグラウンダーのセンタリングを、落ち着いて決めてくれた。サガンの最近の課題は、リードを奪った後でいかにボールをキープして相手の攻撃を封じることができるかだったが、この日は（やや相手にボールを安易に渡してしまう場面もあったが）DF陣がシュート13本という仙台の猛攻に耐え、失点ゼロで抑えた。このことは、選手たちにとっても自信になったはずである。少なくともこの勝利で、対甲府戦の嫌な雰囲気を払拭できたのは間違いない。

　また、この対仙台戦の際、松本監督に代わって指揮を執った岸野靖之ヘッドコーチは「僕は鳥栖のサポーターは日本一だと思っているが、そのサポーター、応援してくれている人、食堂のおばちゃんとかおじちゃんとか、そういう心から応援してくれてる人に伝わるゲームを今日は出来たので、非常にうれしい」(J’s GOAL)と語っている。サポーターとしては、何とも嬉しいコメントだった。

　なお、対甲府戦で退場処分を受けた落合正幸選手は、小瀬陸上競技場内の通路の壁を蹴って破損させていたために処分が追加され、計５試合の出場停止となった。落合選手には、今回の処分を重く受け止めてもらいたい。（ただ、彼の穏和な性格を知るファンにとっては、彼の今回の行動は意外だったであろう。もちろん彼の行為は許されることではないが、あの彼がここまで怒りを露わにするとは、よほど腹に据えかねる事態があったに違いない。）

　落合選手の欠場は確かに痛いが、その分これまで控えに甘んじてきた選手たちの台頭に期待したい。事実、その兆候はある。第６節で公式戦初出場を果たした18歳のルーキー・長谷川豊喜選手が、この２試合で２得点をあげている。彼は、開幕前のテストマッチ（対浦和レッズ戦）でも、可能性を感じさせるプレーを見せていた。今後の活躍が楽しみだ。

「うちはゲームを通して成長していくしかない」(佐賀新聞)と松本監督は語っている。失敗と成功を織り交ぜながら、成長を続けるサガン鳥栖。果たしてその完成型は、どのような陣容になっているのだろうか。