湘南ベルマーレ　サポーター通信　〜これからがサバイバル 　レポート／飯竹友彦

　残念ながら今期の湘南ベルマーレは目標としていた昇格争いに絡むことなくＪ２リーグを終了しなければならない。これは間違いのない現実である。では、昇格も降格も関係のないチームは何をモチベーションとして試合を戦えばいいのだろうか。低迷するチームの中でその答え行動で表してくれているのが、今年入団したＦＷ石原である。

得点不足にあえぐベルマーレＦＷ陣の中で、１人気を吐く新人アタッカーの売りはスピードだ。相手ＤＦの裏へ飛び出るスピードはチームでも群を抜いている。ドリブルも得意な石原は、若さの最大の武器である思い切りの良さが目に付く。とにかく結果を恐れずに勝負するその姿は、今のチームが忘れかけているものを思い出させてくれる。湘南ベルマーレの攻撃的な選手には石原と似たタイプの選手が多く、今期も起用される時間が少ない中でコツコツと評価をあげ、得点を重ねてきた。先日の横浜ＦＣ戦のオウンゴールも石原の飛び込みがあってこそ生まれた得点であり、今最ものっている選手である。

　石原の１つ先輩になる右サイドのＭＦ加藤大志もここ最近は交代出場で起用される時間も長くなり、持ち前のスピードで攻撃にアクセントを付けている。得意の形は相手に段々と研究されてきてはいるものの、その更に上を目指す姿勢は後輩への無言のプレッシャーか。そして、ようやく持ち味を発揮しはじめてきたのは韓国の至宝キムグンチョル。高いキープ力を生かし、ギリギリまで相手を引きつけおいてＤＦの間に出すスルーパス。このようなシーンを何度か見られるようになってきた。試合に出たいと出場機会を得に来たＪ２のレベルをなめてきたわけでは無いだろうが、ようやくＪ２独特の戦い方にも慣れてきた様子。

　こうして二十歳そこそこの選手達が成長の跡を見せている中、うかうかしていられないのはベテランと呼ばれる選手たち。梅山、白井、時崎、池田、吉野らの守備への貢献度は計り知れないが、残り試合はそれぞれの持ち味をアピールしなくてはならない。勝ちを求めるのか、内容を求めるのか、非常に判断の難しい試合を上手くコントロールしてくれるのがこれらベテランの仕事でもある。

ここから先はサバイバルだ。ベテランも若手もそれぞれが凌ぎを削り合い好ゲームを披露してくれることをサポーターは望み、明日への、来期への期待を込めて競技場には足を運んでいる。