湘南ベルマーレ　サポーター通信　〜与えられた時間 　レポート／飯竹友彦

　最近、試合終了後の山田松市監督コメントで気になる一節がある。
「今、チーム（または、選手）には時間を与えている」
このコメントは、山田監督が就任された当初から何度も聞かされてきた言葉なのだが、連敗している（まして泥沼のような連敗にはまっている）チームにおいて、受け取る選手によっては余計に不安を増大させることになりかねない可能性がある。

　選手の個性は十人十色である。一流と呼ばれる選手、また、ベテランと呼ばれる選手でもスランプに陥り、長い間不調から脱しきれないままシーズンを終える場合もある。まして経験の浅い選手が多いベルマーレではなおさらで、プロになるまで強豪チームに属していた選手など人生初めての壁にぶち当たる例も多い。そんな時にどうやってその壁をうち破れるか、フォローをしてあげることが大切だ。

　今、「湘南ベルマーレ」というチーム自体が極端なスランプに陥っている。そして、選手個人もそれぞれに違和感を感じている。「なぜ勝てないのか」「なぜ思うようなサッカーができないのか」。監督から与えられた時間は少ない。リーグ戦の残りはあと９試合。それまでに結果を出すことができるのだろうか。

　そして、前節おこなわれた水戸戦では早くもスタメンとシステムにも変化が現れた。就任当初から採用していた３−４−３から４−２−３−１へ。３バックを廃止し、４バックへ移行した。スタメンにも変化が表れた。ボランチの熊林はイエローカードの累積により出場停止だったが、それまでのスターティングからがらりと変化した。

　４バックになったＤＦには、右サイドバックにボランチを専門とする中里、チャカ、北出、そして左サイドバックにはやはりＭＦ登録の西川。中盤、ダブルボランチの守備的なポジションにはＤＦ登録の井原、やや前気味 にポジションを取るのは、これまで３トップの右を勤めてきたキムグンチョル。攻撃的な位置に、右から高田（保）、トップ下には左サイドを得意とする坂本、左に石田。ワントップだけは変わらず柿本。という、今までに見たこともないスタメンが並んだ。

　これまでの監督のコメントをふまえて考えると、すでに来期のテスト的な意味合いが深いように感じるメンバーである。来期へ向けて現有戦力の分析をしているようにみられてもおかしくない。事実、これまでスタメンであった主力組である梅山、白井、池田、吉野の名前がない。いずれもキャリアあるベテラン組である。すでに構想外と見限ったのか、それともすでに実力を把握している選手を外し若手選手を起用したのかは定かではない。どちらにせよ、スタメンに名を連ねた選手もそうでなかった選手も、与えられた時間は限られている。

　しかし、残りのリーグ戦に対して来期に向けてテストをおこなうような状況のチームを応援するサポーターに与えられた時間は、いったい何を意味するのだろうか。