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湘南、山形を逆転で破り、昇格戦線にかじりつく。
2005Ｊリーグ　ディビジョン２　第21節　湘南ベルマーレvs.モンテディオ山形

2005年7月13日（水）19:04キックオフ　平塚競技場　観衆：5,738人　天候：曇
試合結果／湘南ベルマーレ２−１モンテディオ山形（前１−１、後１−０）
得点経過／［山形］原（23分）、［湘南］柿本（37分、77分）


取材・文／西森彰

　好スタートを切ったかに見えた湘南ベルマーレだが、第２クール初戦の徳島ヴォルティス戦をホームで引き分けたのがケチのつき始めだった。その後、コンサドーレ札幌、京都パープルサンガ、アビスパ福岡とJ1経験クラブを相手に３連敗。ヴァンフォーレ甲府と引き分けて一息ついた後はホームで２勝、アウェーで２敗。第20節を終了して８位。徐々に順位を下げてきた。

「本気でJ1昇格を目指さない限り、チームのモチベーションが保てない」と、開幕前から昇格戦線に名乗りを上げていた上田栄治監督。このままズルズルと後退を続ければ、戦線が崩壊してしまう。スタジアムDJがいつもどおりウィットに富んだスターウォーズのパロディで選手入場を告げても、バックスタンドに陣取った緑と青の集団にはそれを楽しむだけの余裕は無い。横断幕に厳しい言葉を連ねて、チームの奮起を促す。

　一方、ここ平塚に乗り込んできたモンテディオ山形はここまで３位。毎年、チームを作り直しながら、それでも上位をキープし続けるJ2の門番的存在。今年はその役回りを返上し、自らがJ1に上がりたいところ。単純に上が２つ抜けた今年のJ2なら、その可能性も決して小さくない。京都を追う第２集団につけている現在の状況では、相手よりも間隔が詰まった中３日、しかもアウェーと悪条件が揃っていても泣き言は言っている暇は無い。

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可能性は残っている。ファンもまだまだ諦められない。
山形のファンもチームを鼓舞すべく、90分間、跳ね続けた。

　試合開始から湘南、山形のどちらもゴールを意識して、遠目からでもシュートを狙う。湘南は右サイドバックの鈴木良和が高い位置まで顔を出し、加藤望らと連携を取りながら攻撃に絡む。山形は佐々木勇人、秋葉勝の両サイドハーフがドリブルを織り交ぜてチャンスを生み出す。この時期にしては比較的プレーしやすい22.9度の気温。それでも夏場のハードスケジュールを考えると両チームのゲームへの入り方は激しすぎる。これだけ早い展開では90分は持つまい。

　となれば、大きくモノを言うのが先制点。味方の士気を上げると共に、相手の闘争心を萎えさせることができるからだ。22分、その１点は山形に転がり込んだ。佐々木の蹴った左コーナーキックに飛び込んだの原竜太が頭を合わせる。セットプレーの場面で、２トップの一人をフリーにするという、湘南の信じがたいマークミスを突いた１点に、遠路駆けつけた山形のファンが狂喜乱舞する。

　早い時間帯で追いつきたい湘南だったが、26分、鈴木良の折り返しをファーサイドでもらった柿本倫明が、全くのフリーで２度得たシュートチャンスを逸すると、青い集団はがっくりと肩を落とした。完全にホームチームが虫の息だったこの時間帯、山形が追加点を挙げていれば、そのまま試合は決していたはずだ。だが、１点をリードしたアウェーチームは遮二無二ゴールを狙うよりも、きちんとゲームをコントロールすることを選択した。結果として、これが湘南にインターバルを与えてしまうことになる。

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　きわどいシーンをいくつか凌いだ湘南は、前半のうちにタイスコアとした。右サイドからのクロスボールに飛び込んだ柿本が、山形DF・レオナルドのファールを誘ってPKを獲得したのだ。自らボールを持ってペナルティスポットに仁王立ちの柿本。プレッシャーのかかる場面できっちりとゴールマウスに流し込んだ。

　タイスコアで折り返した後半は、どちらも足が止まり気味。幾分、ホームの湘南が相手陣内でゲームをする時間帯が長い。だが、疲労からか、中盤のボール狩りに参加したところで一杯一杯になり、ゴールへ向かう足が残っていない選手が多い。一方、山形はボールを持った選手が一人で相手ゴール前に迫り、シュートチャンスを狙う。できるだけ動く選手を減らし、余力の残っている者が湘南のDFを振り回そうとする。

　勝負を決した次の１点は、我慢比べの中から生まれた無駄走りによってだった。またもや右サイドから上がる鈴木良。ここを勝負と見たベテラン・加藤がその前方に走ってマーカーを引き付ける。前に立ち塞がろうとしていたDFが剥がれ、フリーにしてもらった鈴木良。その右足から放たれたハイボールが、柿本の額にピタリと合った。逆転。メインスタンドを埋めた産能大学の学生たちからバックスタンドのコアファンまで、緑と青の旗が平塚競技場に打ち振られた。

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	七夕模様の装飾が、七揃えの成績を呼んだか？

　迎えた決定機の数は五分以上だったモンテディオ山形にとっては悔やまれるゲーム。「先制点直後に畳み掛けていればあるいは」と思わせる試合内容だったが、堅い守備が持ち味でもあり、このあたりは判断が非常に難しかった。また、組織的なサイドアタックが影を潜め、粘り強い湘南のDFに根負けしていた。あるいは間隔が詰まった夏のゲーム。金曜日にゲームをこなしていた湘南に対して１日分のビハインドが大きかったか。次節はホームで昇格組の徳島を迎え撃つ。ここで確実に勝ち点３を取って、昇格圏内復帰を狙いたい。

　勝った湘南は相手に走り勝った印象。試合のペースを考えれば前からのチェイスは、本当に良く持った。しかし、セットプレーでは失点シーン以外にも相手を２、３回フリーにしており、この部分は修正が必要だ。開幕戦からはガラリと顔ぶれが入れ替わった最終ラインだが、誰が出ても破綻しないよう準備をしておかなければいけない。この日の勝利で勝ち、負け、引き分けがきれいに七揃え。パチンコ・パチスロならフィーバーだ。次節の神奈川ダービー以降も、勝ち点をジャラジャラと獲得できるだろうか。

　湘南、山形とも、まだまだ戦いはこれからだ。