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2005年Ｊリーグ ディビジョン１ 第14節 東京ヴェルディ1969vs浦和レッズ
2005年７月６日（水） 19:02キックオフ 国立競技場 観衆：22.953人 天候：曇り
試合結果／東京ヴェルディ1969 ０−７浦和レッズ（前０−３、後０−４）
試合経過／［浦和］長谷部（８分）、闘莉王（27分）、山田（42分）、永井（47分）、田中（51分）、平川（53分、59分）
取材・文／砂畑 恵
「私の人生にとって最も良い週ではなかった。問題があるのは明らかで、しかもそれは１つではない。いちばん大きいのはチームとして自信を喪失していること」。ユーモアのある答弁で知られるアルディレス監督の苦渋が滲む言葉で、東京Ｖが、いかにどん底なのかが判る。
元日の天皇杯で久々にタイトルを獲得。ワシントンが加入して新チームで迎えた今シーズンの前哨戦、ゼロックス杯でもマリノスを破って優勝。この春は前途洋々で、名門復活を印象付けていただけに、まさか２試合連続で７失点も喰らうとは簡単には信じられない思いだ。
前半の３失点の内、８分にあった長谷部のゴールは東京Ｖにとって確かにアンラッキーではあった。ボールが上村に当たり、シュートは長谷部本人が狙った方向とは正反対に飛んだ。しかし２失点目はFKの際に闘莉王をフリーにした完全なマークミス。それが影響を及ぼし、42分に山田暢の得点となったFKでは、闘莉王にマークに付いたワシントンが相手よりも先にボールに触れようと、出した頭にヒットしてゴールネットを揺すってしまった。
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これで完全に集中力が切れた東京Ｖは、その後たった10分余りで立て続けに３失点を喫する。51分の田中の得点は、闘莉王と小林慶が交錯してこぼれたボールを拾った田中にハーフウェイライン付近から単独行を許し、GK高木もかわされて流し込まれた。53分、平川の得点にしても、果敢に攻め上がる平川をフリーにして、そこへ山田にスルーパスを送られた結果だ。そして59分の失点に至っては、自陣ゴールポスト近くで李が田中にボールを奪われ、ゴール前の山田、そして右で１人浮いていた平川へとボールが渡り、点を決められてしまった。
ただ失点シーンを並べ立てると、レポートを読む人には東京Ｖの３バックが不甲斐なく見えるだろう。浦和との１対１という場面で競り負けていたのも事実だ。しかし失点の責任をDFにだけ負わせるのはあまりに酷だ。東京Ｖは中盤でしっかりしたプレッシャーがないため、スピードのある浦和FWに簡単にボールが繋がっていた。浦和FWを止める手段として前後で挟み込み、前を向かさないことが有効なのは知られているが、味方のフォローもないから、DFはほとんどの場合、自分達だけで勝負を受けて立つしかなかった。浦和がサイドから崩しに掛かると、アウトサイドの攻守の切り替えがスムーズでないため、DFがワイドに開いて対処したが、中に出来るスペースをケアする人間はいない。絞れば絞ったで外を埋める者もいない。
しかしこれほど失点を誘発するのはプレーの質だけではない。１番大きな原因はメンタルの部分にある。例えば内舘は森本を激しくマークして顔面からピッチに落ちたシーンがあった。東京Ｖの選手でそれほど熱く相手を止めようとした選手はいただろうか？山田暢のようにボールをもらうために縦横無尽に動いた選手は？攻守に渡って長い距離を駆け抜けた平川に負けないほど走った選手は？鈴木や闘莉王のように味方に大きな声を掛けた選手は…？
小林大は「声を掛け合ってチームとしての戦いが足りなかった。ちょっとした差だと思う」と試合後に語った。きっとその通りだろう。精も根も果てるまで自分のすべてを出し、チームに尽くしたかという差。それがありさえすればきっと東京Ｖは自信を取り戻せるはずだ。
さて最後に浦和について。エメルソンがいないことで、選手それぞれが運動量を多くし、互いを補おうという意欲を感じる。「災い転じて福」というところか。ただ「好事魔多し」。大量得点の試合を経た後だからこそ、気を引き締める事が肝心だ。鹿島の背中を射程圏に捉えるまでにはまだまだ勝利は必要なのだから。
