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2005Ｊリーグ ディビジョン１ 第12節 大宮アルディージャvs.サンフレッチェ広島
2005年５月14日（土） 15:01キックオフ 熊谷スポーツ文化公園陸上競技場 観衆：7.163人 天候：曇
試合結果／大宮アルディージャ０−１サンフレッチェ広島（前０−０、後０−１）
試合経過／［広島］前田（89分）
取材・文／砂畑 恵
初めてＪ１リーグを開催する運びとなった熊谷スポーツ文化公園陸上競技場は、浦和のプレシーズンマッチや関東社会人大会など何度も取材をした場所で、それらの試合では特段ボールがイレギュラーすることもなく、地方のグラウンドとしてはそう悪くない印象を持っていた。けれどピッチには見た目では判らないデコボコもあり、試合前には競技運営スタッフが小石を拾う作業を行なったほど。公式記録には不良と書き込まれた。
慣れない会場と荒れたピッチに、やはり両チームともに慎重さが漂って、もの静かな時間が10分ほど経過した。但しそれは大胆な攻撃がなかっただけで、守備に関しては両チームとも高い位置からプレスを効かせ、決して間延びした雰囲気はない。守備の我慢比べような中でじわじわ押していく大宮は15分、藤本のクロスを味方が逸らしたところを久永が地を走るようなミドル。際どいシュートがポスト左に擦り抜けた。
得点に至らないまでもシュートをきっかけにチームが調子付くケースは多々ある。だが好調な広島はそんなことで簡単に大宮を乗せない。「広島は４人のＤＦと３人の中盤で組織的に守るサッカー」（大宮・三浦監督）で、さすが最少失点のチームと思わせる安定感がある。その守備でチームのリズムを保つと、逆に20分過ぎには攻撃シーンが増えていった。
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だが広島の早いタイミングの仕掛けに大宮も遅れを取らない。先の佐藤もDF２人で挟み込み易々とはゴールに向かさない。その中心はトニーニョだ。ツボを心得た守備で味方をカバーし、またその体躯を活かしてガウボンら高さのある選手にも競り負けない。CBとしてコンビを組む奥野も堅実さが光る。31分に攻撃に上がった西村がボールを奪われ、服部に独走を許した場面では、見事に食い止めピンチを救った。この大宮の集中した手堅い守りが、相手にゴールに迫られながらも、前半を被シュート２本に抑えたとも言えた。
ところで広島は33分に駒野にアクシデントが発生する。右足を捻り怪我をおったのだ。どうにか前半は試合を続けたものの症状は思わしくなく、広島ベンチは駒野にプレーさせることを諦めざるを得ず、後半頭から池田をピッチに送り出す。「昇平（池田）を使って３バックで２人のFWをきちんと抑える形にした」（広島・小野監督）。
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それに対し大宮は交代の伴った広島の右サイドを攻めた。殊に藤本と久永は頻繁にポジションを入れ替わり、大宮の攻撃をリードする。48分には久永が左サイドを駆け上ってチャンスを作れば、53分にはサイドバックの冨田の逆サイドへの大きな展開から、クリスティアンがゴール前に折り返し、DFのクリアーを左に流れた藤本のシュートした。
やや大宮にペースに傾き始めたと見るや、広島・小野監督は62分に怪我から復活の兆しが見える森ｱ浩を投入。それに伴ってベットは２列目に上げた。小野監督の狙いは「浩司を入れてカズと交互に上がり下がりをするようにして、ボランチのバランスを良くする」こと。ボランチの２人が長短を折り交ぜたパス交換で代わるがわる前に出て、ベットもFWを追い越し前線へ顔を出す。出入りが烈しい広島のサッカーは相手を追い詰めた。
それでも大宮は辛抱強くゴールを守り抜き、広島に決定打を繰り出させないまま、とうとうロスタイムを迎える。残り時間もあと１分余りとなった時、広島にFKが与えられた。その瞬間、心のタガが些細に緩む大宮。それを看取った広島のリスタートは早かった。ジュニーニョのFKをトニーニョのマークから逃れたガウボンが落とす。反転した前田は右足で跳ね上がるボールをボレーシュート。ゴールが揺れて大宮は目前の勝ち点を１を失った。
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勝ち点３をゲットした広島は２位に順位を上げた。この試合で見られたゴールに近付くにつれ、ワンタッチパスを多用するスピーディーな攻撃。ゴール前の狭いエリアで角度を付けたパスを流し、ダイアゴナルの動きでFWが飛び込むスタイル。広島の攻めは進化中だ。リーグ中断を挟み、その完成度がどこまで高まるのか。リーグ再開が今から待ち遠しい。
