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アテネオリンピック2004 グループB 日本代表vs.パラグアイ代表
2004年8月12日（木）20:30キックオフ テッサロニキ・カフタジョグリオ
試合結果／日本代表３−４パラグアイ代表（前１−３、後２−１）
得点経過／［パラグアイ］ヒメネス（5分）、[日本]小野（22分・PK）、［パラグアイ］カルドソ（26分、37分）、[日本]小野（53分・PK）、[パラグアイ]トーレス（62分）、[日本]大久保（81分）
文／貞永晃二
オーバーエージ・小野伸二が加わりおよそ１０日間。彼はどの程度日本五輪代表に溶け込み機能できるのだろうか。スタジアムで、そして遠く日本のテレビの前で多くのサポーターが期待と不安を同時に抱き試合を見つめた。
山本監督はこの大切な初戦の２トップに平山ではなく高松を起用した。そして注目の背番号８のポジションはその２トップの下だった。一方、パラグアイはメキシコでプレーするベテラン点取り屋・カルドソを中心とする３トップを日本の３バックにぶつけてきた。
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痛い失点に選手は明らかに動揺を隠せずつまらないミスが散見される。トップの高松、大久保にボールがおさまらないのに加えて小野もパラグアイの身体を寄せる粘着質の守備に前をなかなか向かせてもらえない。それでも前線からの守備でボールを奪おうという意識がチャンスを生む。今野が一旦とられたボールを奪い返しボックスにパスを通す。大久保が飛び出しさらにこぼれを高松が狙うと、DFの重鎮ガマラが足をひっかけてしまい判定はPK！小野がクールに右スミに決め、22分という早い時間に追いつき盛り上がる日本。
この同点ゴールで守備面でも落ち着きたいところだったが、26分に徳永のファウルで与えたFKをＥ・バレットが蹴り、それが不運にもカベの端にいたカルドソに当たり曽ヶ端はまたも何もできずネットが揺れた。
追いついた直後の失点のショックが尾を引いたのか、GK曽ヶ端が6秒ルールを犯す失態まで見せる。失点にはつながらなかったもののオーバーエージの立場では恥ずかしいことだ。
日本の苦しい時間は続く。クリスタルドの直接FK、カルドソのシュートと危ないシーンが続く。そしてついに痛い３失点目をくらってしまう。37分、那須がヒメネスに競り負け突破をゆるす。またしても左サイドだ。ヒメネスはボックス内に突進、シュートを狙うが当たりが悪い、しかしこれが走りこんだカルドソへの絶好のパスとなってしまうところが日本には不運だった。軽く押し込むカルドソ。日本は左サイドのヒメネスを抑え切れなかったことから３失点を喫してしまい、２点のビハインドで前半を終えることになった。
２点という差を追うため、当然に山本監督は動く。開始早々のミスから立ち直れなかった那須主将を引っ込めトップ下に松井を入れ、小野を一列下げ、茂庭を那須の後の左DFに、阿部を右DFに置いた。松井を前線での起点に、さらに小野に楽に前を向いてプレーさせるための交代だ。まずは徳永がドリブルでの突破を図り、パラグアイに脅威を与える。そして幸運が日本に訪れる。ボックス内で受けた高松がコントロールするところをDFがクリア、しかしDFの足に高松が引っかかり転倒、またもPKをゲットしたのだ。今度も小野が登場し、１点目と逆の左に蹴って決める。差は１点そしてまだ53分、時間は十分だ。
完全にペースを握る日本。森ｱのシュートが飛び、大久保もチャンスを狙う。闘莉王の攻撃参加が目を引く。しかしその闘莉王が相手GKのロングキックをコントロールミスしトーレスに強烈なシュートを浴びる。これは曽ヶ端がファインセーブで救う。しかし62分、日本DFのクリアがパラグアイの選手に当たってこぼれるところを阿部がスライディングでクリアしようとして空振り、拾ったレフティのトーレスの強烈なドライブショットは曽ヶ端には止められなかった。
２−４、またも２点差をつけられてしまった。しかし時間は30分弱残されている。フリーの今野のシュートがバーを越える。ここで森ｱに代わって最終予選でのエース・田中達がピッチに飛び出した。もう少々のリスクにとらわれている時間帯ではない。松井、田中達が必死に動きチャンスを作る。大久保の惜しいシュートがバーを越える。大久保は71分、独特のボールキープからゴール前に侵入した高松に正確なパスを合わせる。しかし背番号９の長身を投げ出してのダイビングヘッドは無情にも左ポストに邪魔をされた。
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猛烈な運動量で動き回る田中達がチャンスを切り開く。81分早い動き出しからパスを呼び込んだ田中達は右サイド深く切り込み足を滑らせながらもプルバック、勇躍走りこんだ大久保が完璧なワンタッチコントロールからシュートはトゥキックで決めた。３-４、あと１点だ。
しかし平山のヘッドでの落としは合わず、左CKからの闘莉王のフリーヘッドがバーを越える。そのまま前線に残る闘莉王。パラグアイの逆襲におびえながらも必死に同点を狙う日本だったが、最後は右CKを闘莉王がヘッドで折り返すところを平山がヘッドで狙うが無念にもGKＤ・バレットの正面をつき万事休した。
日本はPKを２つ得る幸運に恵まれながらも、たびたびあったチャンスを決めきれず、守備での大きなミスを取り返すことはできなかった。後半、松井と小野という起点が二つできてからはスムーズにボールも回り、チャンスも作れた。短期間でチームによく溶け込んだ小野だが、もっと早期に合流できていればより熟成された攻撃を作れる選手だけに悔やまれるところだ。
一方Ｊリーグで、そしてアジアでは見逃されるようなミスにつけこみ確実に得点につなげたパラグアイ。日本がこの差を埋めるには個々のレベルアップ、厳しい試合経験を重ねるしかないのだ。まだ初戦だ。この悔しさを次の試合でぜひとも活かしてもらいたいものだ。
