ブラジル、今大会最高の出来で準決勝へ！
COPA AMERICA PERU2004　準々決勝　ブラジルvs.メキシコ

2004年7月18日（日）20:30キックオフ　エスタディオ・ミゲル・グラウ（ピウーラ）　
試合結果：ブラジル４−０メキシコ（前１−０、後３−０）　
得点経過／［ブラジル］アレックス（27分）、アドリアーノ（64分、77分）、オリベイラ（87分）


文／中島泰介

　メキシコのメディアでは、ブラジル恐るるに足らず、という意見が多いようだ。グループリーグの両国の戦いぶりを見れば、そういう意見も十分うなずける。しかし、今日のブラジルは違った。

　４分、ブラジルは左コーナーキックから、センターバックのファンがヘディングシュートを放つ。メキシコGKサンチェスが弾いたボールはバーにあたり、アレジャーノがこれをクリア。ゴールにはならなかったがブラジルはいきなりチャンスをつくった。直後にも左からグスタボ・ネリ、右からクレベルソンがクロスボールをゴール前へ入れメキシコを襲う。

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　メキシコも８分、右サイドでカルモナがブラジルのディフェンス２人を抜いて惜しいシュートを打つが、それ以降はブラジルが連続して攻撃を見せる。12分にはゴール前のアドリアーノにスルーパスが通りそうになるが、ディフェンスがからくもクリアする。17分に中盤にいたルイス・ファビアーノが右のクレベルソンへボールはたき、クレベルソンの上げたクロスボールにまたもファンがヘディングシュート。しかしこれはバーをかすめた。

　19分、24分にも惜しいクロスを上げるなど、攻撃を続けるブラジルに27分、先制点が生まれた。左サイドで縦パスを受けたアドリアーノはゴールに向かって突進。メキシコのオソーリオが必死に追いかけるが止めることができず、ペナルティ・エリア内でシュートを放つ。シュートはGKサンチェスに防がれるが、こぼれ玉にそのまま詰めに行ったアドリアーノがサンチェスに倒され、ブラジルはPKを得た。これをアレックスが冷静に決め、１対０。

　29分にはメキシコのコーナーキックが、ブラジルディフェンスの足に当たり、GKジュリオ・セザールがなんとかボールをはじき出す、ブラジルには危ないシーンがあったが、31分にはアレックスの縦パスからルイス・ファビアーノとアドリアーノの連携プレーからチャンスを生む。今日は中盤で非常にうまくパスがつながり、ブラジルには更なるコールを生み出す雰囲気が漂う。

　42分、メキシコは、負傷したオソーリオに代わってピッチに送り出されたアルタミラーノが、距離があったものの弾丸のようなフリーキックを放つが、ジュリオ・セザールがゴールを許さず、続けて弾かれたボールをバルデスがボレーシュートでゴールを狙うが大きく上に外れてしまった。

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　ブラジルはアレックスがよく中盤で絡み、前線にボールを供給する。それにクレベルソン、グスタボ・ネリもよくメキシコ陣内に顔を出し攻撃に厚みを加える。今戦っているメキシコや他国には失礼かもしれないが、今日のブラジルを見ていると、決勝でアルゼンチンとのクラシコを見たいな、と思ってしまう。

　後半もブラジルのリズムで試合は進む。51分、エドゥのシュートがメキシコのディフェンスにあたりコーナーキックを得る（このアーセナルのプレーヤーだけはピッチの中で消えていた。この後半は活躍を期待したい。）。アレックスのコーナーキックに合わせたのはまたもファン。地面にたたきつけたヘディングシュートはゴール天井のネットを揺らしたのだが、ファールの判定でこれはノーゴールに終わった。ファウルには見えなかったのだが・・・５８分にはアレックスのスルーパスでルイス・ファビアーノが１対１のチャンスになるが、シュート直前にカルモナが追いつきブロックし、メキシコはコーナーキック
に逃れた。

　攻撃の糸口がつかめないメキシコは、中盤の底で奮闘するトラードを、フォワードのボルヘッティに代える。ご家族の１人が亡くなり、メキシコに一時帰国していたボルへッティはこの試合のためにペルーに戻ってきた。

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　63分に、メキシコのチャンス。ブラジルディフェンスのクリアボールをマルケスが浮き玉でゴール前に戻す。全くフリーになっていたバウティスタだが、ヘディングシュートを決めることができなかった。６４分、ブラジルはルイス・ファビアーノのパスに走りこんだクレベルソンがミドルシュートを放つがバーの上を通過した。

　そして65分、アレックスはペナルティ・エリア前のアドリアーノにパスを出すが、メキシコはアドリアーノに対するプレッシャーをかけに行くのが遅れてしまう。アドリアーノはキーパーの位置を確認し、余裕を持って左足を振り抜き、シュートを右サイドネットに突き刺した。

　77分にアドリアーノが勝負を決める３点目を奪う。グスタボ・ネリからのロングボールに、２人のディフェンスにマークされながらも最初にボールに触ったアドリアーノは、飛び出すゴールキーパーをかわし、角度のない位置から無人のゴールへシュートを決めた。これでアドリアーノは大会５得点目だ。

　77分にアルタミラーノのフリーキックで直接ゴールを狙い、８４分はブラジルのクリアボールをノーマークでダビーノがシュートするが、いずれもはずれる。１ゴールが遠いメキシコに対し、87分にはブラジルに４ゴール目が生まれた。アドリアーノの突破からこぼれ球をアレックスが走りこんできたクレベルソンにパスを出す。クレベルソンのミドルシュートはGKサンチェスがブロックするも、そのこぼれ球をアドリアーノがシュート。これも何とか目の前でサンチェスが防ぐが、まだアドリアーノがこぼれ球に反応し、すぐ後ろにフリーでいた交代出場のオリベイラにヒールパスを送ると、これをオリベイラが左足で軽くゴールへボールを流した。ゴール前で粘り強く、一瞬のチャンスを逃さないアドリアーノが全てのゴールに絡み、その能力を存分に発揮した。

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　勝負は決まったものの攻撃を続けるブラジルは、ロスタイムにアドリアーノ、グスタボ・ネリがコーナーキックからヘディングシュートを放つ。GKサンチェスがなんとかこれらをはじき、ピンチを凌いだところで試合が終了した。

　予想外のワンサイドゲームとなった今日の試合、ブラジルは自信を得たことだろう。“B”代表とはいえ、十分優勝の可能性を感じさせるゲームだった。