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2004年Ｊリーグ ディビジョン１ １stステージ 第13節 浦和レッズvs柏レイソル
2004年６月16日（水） 19:04キックオフ さいたま市浦和駒場スタジアム 観衆：18.029人 天候：晴
試合結果／浦和レッズ１−１柏レイソル（前０−１、後１−０）
試合経過／［柏］平山（44分）［浦和］田中（48分）
取材・文／砂畑 恵
レッズとレイソルの対戦は02年にＪリーグが90分決着を導入してからは、４度の内３回が引き分け。その上レッズにとり要注意なのは、レイソルがリーグ２節以降、勝ち星がないこと。過去にもこういったチームにレッズは不覚を取り、「連敗ストッパー」となったことがあるからだ。今シーズンのレッズはリーグ戦でホーム負け知らずと安心材料もあるが、優勝がほぼ無くなって選手のテンションが下がっているのではと、不安を感じるサポーターの脳裏にはそのジンクスが頭をかすめる。
試合はレッズサポーターの不安を助長するような展開。レイソルは近藤、谷澤を出場停止、前節の接触で怪我をした玉田も休場とレギュラー３人を欠いていたが、開始から積極的にレッズを攻め立てた。５分、７分とFKを獲得。それをゼ・ホベルトが最初は壁に当たったリバウンドを、２回目は直接にと鋭いシュートでレッズを脅かす。10分には左からのクロスを茂原がシュート。ボールはDFに弾き返されるが、今度は平山と波状攻撃仕掛けた。
序盤から攻勢のレイソルに、押されるままにレッズは守勢に回ったが、14分に三都主のクロスを受けてエメルソンがヘディングシュートを放つ。しかし田中と重なり、ボールは枠の外へ。26分と31分のFKもレイソルにラインコントロールをされ、オフサイドとなる。
するとレイソルに再び試合の波は動く。36分にレイソルFKのチャンス。ドゥドゥの蹴ったボールに宇野沢が頭で合わせるが、競った内舘がなんとかCKに逃れる。39分には平山が山田をかわしてセンタリング。闘莉王が身体を張ってゴールラインに蹴り出した。
ただ40分辺りからレイソルはガクンとペースが落ちた。それまでは前線と中盤が下がってプレスを掛け、ボールを奪うとレッズDFの裏を狙った早い攻撃を心掛けていたのだが、飛ばし過ぎていたのか、攻守の切り替えが鈍ってきたのだ。ボールを持った選手がパスの出し所を捜すシーンが多くなる。
それに乗じて、レッズはワイドにボールを回してサイドから崩す。特に山田は対面になる平山の思い切りのよい攻撃参加に後手を踏んでいたが、サイドの主導権を奪還。その山田の攻め上がりからレッズは勢い付く。レイソルDFもラインを引き過ぎないよう踏ん張った。45分、山瀬からパスを受けたエメルソンへのマークが甘くなったが、エメルソンのトラップミスもあって、体勢を立て直したエメルソンのシュートは見事にリカバー。そしてロスタイム、平山がFKを直接レッズゴールに叩き込む。この得点直後に前半は終了した。
前半は運動量でも、気迫でもレイソルに引けを取ったレッズ。最近は消えていた「前半は眠っていた」と形容する悪癖が顔を覗かせた。こういう時のレッズは後半スタートから全開で飛ばしてくる。レッズが立ち上がり早々のチャンスで得点を出来るか、それともレイソルはそこをいかに凌ぐか。後半の立ち上がりはターニングポイントなると思われた。
レッズは47分、田中が鈴木のロングパスを合図にバックラインを狙う。GK南がいち早くゴールマウスを飛び出し危険を回避する。その１分後だった。エメルソンの縦パスにレイソルはラインを上げる。それまでラインコントロールを成功させていたレイソルだったが、この時はわずかながら狂いが生じた。オフサイドラインギリギリで駆け抜けたのは三都主。三都主の後ろ姿をレイソル守備陣が追う。GK南もニアを切ってシュートに備える。だが三都主は冷静にマイナスのパス。ゴール中央で待っていた田中はボールを押し込むだけだった。
同点となってからは、レッズの一方的なゲームとなった。50分には自陣でボールをカットした闘莉王が攻め上がる。ゴール目前まで迫った闘莉王をレイソルDFはどうにか止めたが、こぼれ球を拾ったエメルソンのシュートがポスト右にわずかに外れる。67分にはFKの流れから、山田のスルーパスを受けたエメルソンがシュート。76分にエメルソンがGKと１対１となる場面、永井のパスを受けた田中のシュートと、レイソルは立て続けのピンチに見舞われるが、いずれもGK南がスーパープレーを披露して味方を助けた。
チャンスは数あれど、レッズは決め切れず。スコアーは動かないままロスタイムへ突入。だがロスタイムは４分と長め。レッズに終了間際、FKから決定的場面は巡ってきた。長谷部の早いリスタートから、岡野、エメルソンへボールは動く。エメルソン渾身のシュートはGK南の手を跳ね除ける。が、クロスバーに当たってゴールの外へと舞い上がった。猛攻を見せたレッズだったが決勝点を奪うことはできなかった。
レイソルは前半は勇気あるラインの上げ下げと、FWからの高い守備意識によりアクティブなデイフェンスを見せ、そのことが迅速な攻撃に結びついていた。ただ後半は前の選手のプレスが甘く、結果としてバックの負担が増大した。またこの試合ではチーム全体のバランスが右に片寄り、左に大きなスペースが生じていたのも気になる。１試合通じ、バランスを崩さず、前半のようなプレーが持続すれば、今後の順位に反映してくるように思う。
さてレッズだが、こういう試合で勝ちで収められないことが、そのまま上位のジュビロやマリノスとの差になっている。それでも昨年に比べれば、ズルズルと連敗しなくなったことは進歩と言える。ところで前々節のエスパルス戦のような流れるパスワークがここ２試合継続していいない。殊に三都主が持ち過ぎることで、まわりとの連携が停滞することがしばしば見受けられる。ドリブルか、シンプルなパスか、メリハリある三都主のプレーが、これからのチームの鍵を握っている気がする。
