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2004Ｊリーグ ディビジョン１ １stステージ 第10節 浦和レッズvs.ジェフユナイテッド市原
2004年５月15日（土） 16：04キックオフ さいたま市浦和駒場スタジアム 観衆：19.618人 天候：晴
試合結果／浦和レッズ３−３ジェフユナイテッド市原（前０−２、後３−１）
試合経過／［市原］マルキーニョス（23分）、サンドロ（28分）、［浦和］永井（56分）、闘莉王（72分、PK）、岡野（80分）、［市原］阿部（89分、PK）
取材・文／砂畑 恵
後半が始まったばかりだというのに、エメルソンがベンチに向かい自ら交代を申し出ている。既にレッズは２枚の交代カードを使用済み。メイン側のタッチライン沿いでエメルソンは立ち尽くし、プレーに関与出来ない様子。もう考える猶予さえなかった。49分、岡野がピッチに送り込まれた。戦況はジェフ２点のリード。しかもレッズは攻撃の軸となっていた選手が相次いで離脱し、背水の陣に追い込まれた。
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優勝へのサバイバルゲームの先手を打ったのはジェフだった。23分、阿部の低くて早いCKに後方から飛び込んだマルキーニョスが頭で合せて先制点を挙げる。その５分後、ルーズボールを処理しようとした室井からマルキーニョが力ずくでボールを奪い取り、マークにきた闘莉王を含め４人のDFを引き付けてパス。フリーのサンドロによる２点目が産まれた。３試合連続の無失点のレッズディフェンスをジェフはいとも簡単に打ち破った。
ただジェフの攻撃は小気味よさに欠けていた。攻守の切り替えが早く、攻撃時には次から次と選手が湧き出るように仕掛けるのがジェフの特徴だが、阿部と佐藤の飛び込みに対し、レッズは酒井と鈴木がきっちりマークする入念な策を施していた。ボール支配はレッズと互角に渡り合うジェフも、ことシュート場面ではチャンスに乏しい。それでもスコアーは２−０だ。ジェフの選手の中には、いつものがむしゃらプレーより、リスクを犯さない堅実な試合運びを優先する気持ちが頭にもたげていたのかもしれない。
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そんな中、レッズを不運が見舞った。41分に好調だった長谷部が負傷し、急遽、永井の投入を余儀なくされた。更に、ブッフバルト監督が緩慢な守備をした室井を、後半開始から交代させる厳しい裁定を下した後に、冒頭のエメルソンのアクシデントが起こったのだ。
レッズは布陣を３−５−２に変更し、永井・岡野のリザーブ２トップに希望を託す。そして２人はゴールで応えた。まずは55分のCKのシーン。闘莉王のヘディングをキャッチしたGK櫛野が６秒ルールの適用を受け、ペナルティーエリア内でレッズに間接FKのチャンスが与えられた。壁に当たったボールを闘莉王がボレーシュート。中央にいた岡野がスルーし、ファーにいた永井が押し込んで追撃の狼煙を上げる。
そして72分に闘莉王がPKを決めて同点に追いつくと、今度は岡野がレッズ復帰初得点を挙げる。80分のFK、三都主が早いリスタートを仕掛け、ゴール前に浮き球のボールを落とす。永井は右足でボールを受けせてDFをかわして左足でシュート。シュート自体は弱かったが、飛んだコースにいた岡野がゴールに叩き込み、逆転に成功した。
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そしてインジャリータイムに突入。だがボードに示された４分の文字に緊迫した雰囲気がスタジアムを包む。そして２分が経過。右サイドからゴール前に侵入しようとする山岸。それを止めようと鈴木の手が伸びる。山岸の身体はバランスを失い、芝の上に崩れ落ちた。ペナルティーエリアの外か、内か？かん高いホイッスルが響き、岡田主審の手はペナルティースポットに差し向けられていた。結局、PKが決まり３−３で試合は終了した。
両監督も試合前に「今日はメンタルの闘い」だと語った。だが互いに勝つチャンスがありながら勝ち切れず、ここ一番の勝負にその弱さを露呈した格好で試合は幕を閉じた。両チームは昨年もリーグ制覇という栄冠に指先をかすめるだけだった。リーグ制覇は儚い夢なのか？否、今日の悔しさを選手が一生忘れないことから夢の達成は始まる。
