サッカー　オンラインマガジン　2002world.com　webnews

｜top｜news｜column｜history｜special｜f-cafe｜about 2002w｜BBS｜mail to｜link｜

　webnews　04/05/03 (月)

久保の一発を守護神楢﨑が死守！日本、強豪チェコに勝利！
国際親善試合　チェコ代表vs.日本代表

2004年４月28日（水）　16：35キックオフ　スパルタプラハ・スタジアム　観衆：11.802人　
試合結果／チェコ代表０－１日本代表（前０－１、後０－０）
試合経過／［日本］久保（33分）

文／貞永晃二

　ジーコ・ジャパンのヨーロッパ遠征第２戦は、６月開幕のヨーロッパ選手権でも優勝候補の一角を占めている強豪チェコとの対戦。２００２年の予選で敗れ、日韓を訪れることはできなかったが、ＦＩＦＡランクでは堂々９位。しかも、ヨーロッパ各国で活躍するレギュラーメンバーをずらりと揃えた「本物」との対戦である。

　一方、日本は惜敗だったハンガリー戦後、中田英が合流したものの負傷を考慮し使わず、高原・中村は召集せず。彼らを招集しやすいヨーロッパでのマッチメイクだったのだが、皮肉な結果になった。そしてハンガリー戦でゴールを決めた久保・玉田のレフティ・ツートップがそのままスタメン起用。柳沢よりも玉田を優先したジーコ監督の期待にこたえられるか。そしてDFはハンガリー戦と同じスリーバック。即席とはいえ責任は重い。

　チェコは４－１－４－１という有名になりつつあるシステムではなく３－５－２。キックオフから巨大なターゲット・コラーにロングボールを送り、彼からの落としを左右に展開、ハイレベルなスピードと技術をもつネドベドを筆頭とするMF陣が動き回る。一旦ポゼッション・ボールを失うと、激しいチェイスとプレスを仕掛けて日本を自陣に押し戻す。ボール奪取から早い時間での得点で楽な試合にし、色々テストしたいのだろう。

　８分にはバロシュが日本DF中央をつきゲットするがオフサイドの判定。さらにCKをきっかけに日本ゴールを襲い続けるが決まらない。耐え続けた日本に「いい時間帯」が来る。チェコのDFは確かに大柄だが、見たところスピードにはやや欠けるようだ。そこを日本がつく。右サイドに流れた久保からのプルバックを稲本が左で狙う。さらに西から出たボールに久保が抜け出して左へ流れながらシュート、またカウンターから玉田がタテへのスピードドリブルで持ち出し得意の左で狙うがともにGKチェフがファインセーブを見せる。再度久保が左で打つと見せて切りかえし、右足でも打てることを見せる。

　この後はほぼ互角に攻めあう両チーム。右から入った玉田がループ気味に狙うが決まらない。しかし玉田が早くも自信を余裕に変えてプレーしているのは頼もしいかぎりだ。チェコもボックスの中でネドベド、バロシュとファウル気味に倒されるが笛はならず、スタンドから激しいブーイングが起こる。チャンスは作るもののシュートの精度に問題があり、どちらが先手を取ってもおかしくない、興味深い時間が経過していく。

　そして33分、久保がやった。右サイドからゆったりとしたドリブルで持ち上がり、タテに抜く半身の姿勢からストップ。左足アウトのワンタッチでシュートするスペースを作り、素早く豪快に左足を振り抜いた。ここまで好守を見せていたGKチェフにはノーチャンス。反応したのはネットに突き刺さったあとだ。久保が代表戦で見せた中ではもちろん「ザ・ストロンゲスト・ショット」だ。トルシエ前監督もＪリーグではたびたび見せるこの左足に期待して彼を招集していたのだ。

　不覚にもホームで先制され、一層激しく動き回り始めたのがネドベド。彼のプライドがそうさせたのだろう、日本ゴールめがけて右、左、そして中央からとチャンスボールを供給し、また自らもゴールを狙う。終了間際に得たFKも思い切りよく狙ったが、大きくそれる。激しいブーイングとホーンの中、ハーフタイムとなった。

　１点のビハインドだが、ブリュックナー監督は当初の予定通り選手を入れ替えてあくまでテストを兼ねた試合であることを示す。しかしそこには、サブの選手でも同点、そして逆転できるという自信はあったはず。しかし彼の思惑は結果として裏切られることになる。

　スタメンから残ったのはDFウイファルシ、MFポボルスキー、ロシツキー、ネドベドの4人。しかし開始早々からまずは同点と、ペースを握って日本を圧倒する。バチョーセクの高いジャンプヘッドはGK楢﨑正面。さらに右からのクロスで混乱した日本DFだが、こぼれを加地が素早い判断で蹴り出し事なきを得る。

　ジーコ監督が動く。玉田から柳沢、稲本から遠藤と疲れの見える二人を交代させる。いきなりその柳沢が三都主のクロスからゴールするが、惜しくもオフサイド。チェコDFは誰もオフサイドをアピールしていなかったほどきわどい。彼も真骨頂である動き出しのタイミングは忘れていないようだ。

　残り15分となってさすがにチェコにも焦りが見え始める。ロゼーナルがクサビを受けて巧みなキープから左足でシュートするがわずかに外れる。「バロンドール」ネドベドが芸術的なスルーパスでロクベンツにプレゼント・パス。しかし飛び出したGK楢﨑の左足がロクベンツのシュートをはねかえす。イライラのつのる選手、そしてベンチ。

　10分を切ってジーコ監督はさらに動く。三都主、小野、藤田を三浦淳、福西、本山へと交代し、逃げ切りにかかる。しかしチェコの猛攻に自陣に押し込まれる日本。ポボルスキーの右サイドからの正確なクロス。ロクベンツが今度はヘッドで叩くが楢﨑が素晴らしい反応で弾き出す。たたみかけるチェコはネドベドの左からのクロスをロクベンツがヘッドで落としウイファルシがシュート、しかしこれも楢﨑正面をつく。

　インジェリータイムはどのくらいか。このままではきっとやられる、と思われた時間帯、予想もしないホイッスルが響いた。45分経過前なのに、試合は終わってしまった。選手にはそんなことはわかるはずがない。ピッチのあちらこちらで笑顔がはじけた。堂々と胸を張っていい勝利なのだ。

　チェコがシステム変更とサブの大量投入というあくまで「テスト」を貫いたことを差し引いても、リーグ戦を中断しての長距離遠征であったこと、主力の中田英、宮本、高原らを欠いていたこと、DFラインが田中誠、茶野というＡ代表経験のない二人で形成せざるを得なかったことなど、日本側にも差し引いて考えるべきマイナス点があっただけに、見事な勝利、賞賛されるべき戦いぶりだったといえる。Ａ代表常連の坪井はともかく、田中誠、茶野という二人の奮闘は日頃Ｊリーグでの彼らの地味ながらも堅実な守備ぶりを見慣れているだけに、喜ばしいものだ。Ｊのレベルの高さを改めて実感できた気がする。

　しかし、両手を挙げて大喜びしていても良いのだろうか。今までも「これでいけるぞ！」というジーコ・ジャパンの快勝を私たちは何度か目にしてきているのだ。やはり一喜一憂はいけない。次の代表戦を厳しい目で見つめよう。

　18人ワクを目指してのU-23代表での激しいポジション争いがＡ代表においても見られることが望ましいのだ。世界のどの国でプレーしているのかは関係ない。私たちは「力」を示してポジションを奪ってほしいだけなのだ。

（チェコ代表）			（日本代表）
	GK：	チェヒ（46分／ブラゼク）		GK：	楢崎正剛
	DF：	ボルフ（46分／イラネク）、ウイファルシ、ヤンクロフスキー（46分／マレス）		DF：	坪井慶介　田中誠、茶野隆行
	MF：	ポボルスキー（81分／ドロブニー）、ガラセック（46分／ティツェ）、ロシツキー（51分／バチョーセク）、スミチェル（46分／ロゼーナル）、11 ネドベド		MF：	西紀寛（46分／加地亮）、稲本潤一（65分／遠藤保仁）、小野伸二（81分／福西崇史）、三都主アレサンドロ（81分／三浦淳宏）　藤田俊哉（81分／本山雅志）
	FW：	バロシュ（46分／ハインツ）、コラー（46分／ロクベンツ）		FW：	久保竜彦　玉田圭司（63分／柳沢敦）

<前へ｜次へ｜indexへ>