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練習試合 セレッソ大阪vs.ヴィッセル神戸
2004年2月28日（土）15:00キックオフ 長居スタジアム 一般非公開 天候：晴
試合結果／セレッソ大阪１−１ヴィッセル神戸（前０−１、後１−０）
得点経過／［神戸］ホージェル（28分）［Ｃ大阪］大久保（86分）
取材・文／貞永晃二
Ｊ１でも地味なチーム、ヴィッセル神戸に今、世間の注目が集まっている。シーズンイン２週間前とはいっても、練習試合にしては不相応な多数の報道陣が長居スタジアムを訪れた。彼らの目的はトルコからのプリンス、背番号３２イルハン・マンスズの国内初登場ゲームの取材なのだ。
Ｃ大阪ゴール側には多くのカメラマンが陣取る。イルハンのプレーを、できればシュートを、願わくば得点のシーンをカメラに収められるだろうか。
三浦カズとツートップを組んだイルハンだったが、その二人がうまくボールに絡めない。というよりも良質なボールが出てこないのだ。それでも、イルハンが左サイドへ流れてあげたクロスは正確だったが、まだ身体が明らかに太めで、私たちが知っているあの切れ味には程遠い。
昨シーズン後半のビスマルクの役割を期待される藤本は持ち味のドリブルで、Ｃ大阪DFの切り崩しにかかり、従来攻撃的とはお世辞にも言えなかった左サイドバックには新外国人ホージェルが位置し精力的なアップダウンを繰り返す。少しづつだが変化を見せる神戸。
神戸の先制点は、そのホージェルが28分、藤本のCKをヘッドで叩き込んだ。
Ｃ大阪の課題、セットプレーからの失点は、新戦力で並べられたＣ大阪のスリーバック（右からラデリッチ、上村、カブラル）でどれだけ減らせるのだろうか。
上村が小さく見えるほどの長身の新外国人二人（ラデリッチ190、カブラル194）だが、守備では空中戦よりもパスのインターセプトのうまさが目についた。さらにさすがクロアチア出身だけに、二人ともボールコントロールに不安はなく、単純なミスがない。そして攻撃の基点となるパスフィードは実に正確だ。ただ神戸の攻めに強烈なスピードが見られずに終わった（岡野がいなくなった）ため、背後をつかれた際のスピード（単純な足の速さ）は試されなかった。
さらなる成長が期待される大久保は、昨年ほどの切れにはまだ遠い。70パーセント程度の仕上がりだろうか。それでも、神戸DFには脅威を与える存在だ。前半は巧みなループシュートでGK掛川をヒヤリとさせ、試合終了間際86分には強烈なミドルシュートが掛川のミスを生んで同点とした。しかし、今のデキではアテネ最終予選日本ラウンドでの代表復帰はいかがなものか。
ムズロビッチ監督は、後半サブのメンバーと入れ替えながら４バックにしてみたり、また３人に戻したりと忙しい試合になった。その中では斎藤竜がMFのサイド、サイドバック、そしてセンターバックと使い勝手の良さを見せた。
若手も交代出場したが、スタメンの選手にもいえるのだが、練習で相当な距離を走りこんでいるためか、少し元気がないように感じた。疲労のピークなのかもしれない。
イルハンに戻ろう。前半直接FKを狙ったはいいものの、ボールはとんでもない方向へとび、ボールボーイは大慌て。後半には藤本のスルーパスを受けうまくDFをかわして左足で狙ったが、腰が回りきらずゴールへは飛ばず、この後ベンチに下がった。残り２週間で相当身体をしぼらないと開幕スタメンは厳しいかもしれない。出場はできても彼本来のプレーは見られそうもない。彼の人気による集客力は魅力的だが、選手として活躍してもらわないと神戸には痛し痒しだ。またも降格争いに巻き込まれかねない。しかし実力的にはまったく問題ない選手だけに、まあ時間が解決してくれることだろう。
神戸の交代選手ではまず、レアンドロン。まだ20歳のFWは、守備にも忠実に動き回り、その身体（187)をうまく使ってのキープはポストとしてうまく機能しそうだ。高さとスピードについてはまだ試されなかった感がある。
そして昨シーズン早々の負傷が長引いた佐伯。ここへ来てようやくの復帰だ。攻守の要となるべき存在だった彼の穴を埋める選手が、昨シーズンの神戸にはとうとう現れなかった。そのことが、成績不振の大きな原因だったのだ。まだ無理はできないのかスタメンではなかったが、彼の復帰は神戸にとって新戦力加入以上に大きいと思われる。
ともに新監督を迎えて生まれ変わろうとするＣ大阪と神戸。東欧とひとくくりにされることが多いが、旧ユーゴとチェコではそのサッカーは全く異質なもののはずだ。しかも58歳のベテラン・ムズロビッチとまだ40歳のハシェック。二人の目指すサッカーの完成形はどんなものなのかシーズン開幕が待ち遠しい。
京都は残念ながら降格してしまったが、西野監督留任でいよいよ勝負の年となるＧ大阪を加えた３チームが、短期決戦リーグ最終年の覇権争いに加わって関西のサッカーを盛り上げてもらいたいものだ。12月に関西で行われる試合はＪ１・Ｊ２入れ替え戦ではなくチャンピオンシップであってほしいと心から願っている。
3/13（土）開幕戦はともに16時からセレッソ大阪対名古屋グランパスエイト（長居）、ヴィッセル神戸対ジェフユナイテッド市原（神戸ウイング）。一人でも多くのファンがスタジアムに足を運んで観戦してくれることを願っています。
