さあ、本番だぞ！。逞しさの増した日本、韓国に圧勝！
キリンチャレンジカップ2004　 U-23日本代表vs. U-23韓国代表

2004年2月21日（土）15:00キックオフ　長居スタジアム　観衆：38,601人　天候：晴
試合結果／U-23日本代表２−０U-23韓国代表（前０−０、後２−０）
得点経過／［日本］松井（56分）、森崎浩（81分）


取材・文／貞永晃二

　大阪で日韓戦が行われるのは初めてだろうか。フル代表ではないものの、アテネへの最終段階を直前にしたU-23日本代表への胸の高鳴りからか、U-23イラン戦、ロシア戦をはるかに上回る3万8千人の大観衆が長居に足を運んだ。その中の多くの人がジーコ率いるフル代表に対してくすぶる不満を解消してほしいという気持ちを持っていたのは間違いないことだろう。

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　昨年の２回の対戦試合とは異なり日本はスタートから激しく赤い隣国に挑んでいった。ラインを高く保ち、しつこいチェイシング、プレッシングで主導権を握ることに成功したのだ。５分、平山がDFのクリアボールをカット、ゴールに迫る。この長身の高校生は「刺激剤」から「戦力」へ、そしていまや「柱」になろうとしている。７分にはもう一人の注目の男がミドルをぶっ放す。闘莉王は守備への不安という危険な香りを漂わせつつも、もう欠かせない存在感を放っている。　

　押し込まれ、いいところがない韓国は19歳FWチョン・ジョグクのボレーで狙うが大きくはずし、チェ・ソングの柔らかなドリブルからのクロスも戻った闘莉王がヘッドで逃れる。日本はツートップの２人が良質な動きで韓国に脅威を与え続ける。特に平山はスペースを狙う動きとポストとしての動きのメリハリがきいて、フル代表でもあるDFチョ・ビョングを悩ませる。

　チェ・ソングは左サイドから日本ゴールを虎視眈々と狙う。33分、ボックス内でフリーになるがトラップミス、危険人物をフリーにした日本にとって助かったシーンだった。日本は山瀬の低い弾道のCKに那須が飛び込むが、わずかに合わせられず優勢を保ったまま０−０で前半を終えた。

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　山本監督は山瀬から松井に代えてチャンスメークに期待し、茂庭を引っ込め石川を入れることでサイドの活性化を図った。こういう類の交代ができるのも右サイドならDF、MFの両方を任せられる徳永の存在があってこそだ。

　交代早々、左サイド深く森崎からナンバー10へパス。松井の独特の踊るようなボールキープから全くフリーになった鈴木にラストパスが出る。きれいなターンから放ったシュートは大きくバーを越えた。天を仰ぐ鈴木、青いサポーターの大群をため息が包む。さらに石川のパスからの田中達の左足シュートはGK正面。続いて田中達がパスカット、角度のないところから思い切りよく狙うがCKに逃げられる。３度目の正直になれと田中達のドライブのかかった好シュートもGKキム・ヨングァンが辛うじて指先で弾き出す。

　そして、スタジアムの青い波がうねりを上げる瞬間が来た。56分、左サイドで韓国DFのスキをついて奪った松井が中へドリブル。DFの注意をひきつけておいてトリッキーな右ヒールでタテに流す。松井を信じて走った田中達がトップスピードで受けてGKと一対一になりシュートするが、あまりに角度がない。しかし、パス＆ムーブで忠実にゴール前に詰めた松井の前にGKのはじいたボールがこぼれる。プッシュしたボールは韓国DFがかき出すが、副審のゴールインの判定に大歓声が沸きあがった。１−０、さあ韓国の反撃が来るぞ！

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　しかし、反撃を受ける前に日本DFが自爆寸前だったのが65分。GK林がパンチで逃げようと飛び出したボールにその目前でボランチ鈴木がジャンプヘッド、頭をかすめて後ろへ流れたが落下地点に韓国選手がいなく命拾い。声での連係不足は要修正項目だ。

　75分ころから韓国の猛攻に日本は苦しい時間を迎える。交代出場のFWチョ・ジェジンの粘着キープからの戻しをキム・ジョンウがミドルで狙うがバーのわずか上を通過。78分に最大のピンチがきた。左からのクロスを闘莉王がわずかにコントロールをミス、味方との譲り合いのスキをつかれ、ボックス内へスルーパス、反応したキム・ドンジンがフリーでシュートするが、GK林がブロックし難を逃れた。集中を欠いた一瞬をついた韓国は見事だった。

　そして試合を決める得点に平山が絡む。81分、石川が右サイドを破りクロス、平山はコントロールをわずかにミス、後ろへ流れたボールに森崎浩が寄って左足を一閃。DFに当たり微妙な変化が加わったボールはゴール右スミへ沈んだ。絶望が韓国を包み、日本は笑顔で抱き合う。最後まで、闘う意志を見せる韓国だったが、あまりに残された時間が少なすぎた。２−０、鮮やかな日本の勝利は、冬の西陽（にしび）同様まぶしく見えた。

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　コンディション不良が伝えられた韓国だが、昨年日本を圧倒したパフォーマンスは半分も見せてはくれなかった。イラン、中国という日本の相手に比べると不公平なくらいの強国相手の予選が待ち受けている。ぜひとも本大会出場を目指し頑張ってほしいものだ。

　最終予選を前に１勝２分けで強化試合を終えた日本。この日の内容をコンスタントに見せられるなら、８月には大きな喜びが期待できるだろう。しかし、まずは中東のクセモノたちとの死闘が待っている。ライバルたちもそれなりのメンバーで立ち向かってくるだろう。しかし、日本は「全員」で戦えるのだ。固定した11人だけではない、充実したサブメンバーが今か今かと出番を待ち受けているくらいなのだ。５日間で３試合というハードな日程はある意味層の厚い日本には有利なのかなとも思うほどだ。山本監督がいかなる仕上げを施し、緒戦に臨むのか注目したい。遠い西の国までみんなでパワーを送ろうではないか。