自力昇格へ望みをつなぐ勝利！川崎が福岡に大勝
2003Ｊリーグ　ディビジョン２　第42節　川崎フロンターレvs.アビスパ福岡

2003年11月８日（土）14:04キックオフ　等々力陸上競技場　観衆：8,932人　天候：晴
試合結果／川崎フロンターレ５−２アビスパ福岡（前0０−１、後５−１）
得点経過／［福岡］ベンチーニョ（44分）、［川崎］ジュニーニョ（47分）、我那覇和樹（58分）、ジュニーニョ（62分、75分）、我那覇和樹（77分）、［福岡］江口倫司（86分）


取材・文　大内孝彦

　Ｊ１昇格の２つの切符を巡る争いは、第41節を終えても未だに混沌とした状況である。残り３試合での状況を整理してみると、首位の新潟が勝ち点82、２位の広島が勝ち点80、そして川崎が勝ち点78。見事に１位から３位までが勝ち点差２づつで並んでいる状況であるのだが、実はこれは第38節終了時点の状況とほぼ同じである。途中、川崎が広島を追い抜いたりもしたのだが、結局のところ、３チームとも３試合で勝ち点４しか積み上げることができずに第42節を迎えたのである。
　この日、等々力陸上競技場では、その昇格争いの渦中の川崎と、第34節から１引分けをはさんで７連勝と好調な戦いを展開している福岡が対戦した。

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　この試合、川崎は２試合出場停止明けとなるMFアウグストが復帰。また出場停止のボランチ山根に代わって鬼木、DF渡辺に代わって今期初出場となる寺田が出場している。対する福岡もDF蔵田とU-20日本代表候補にも選ばれたFW林が累積警告による出場停止。またMF米田も前節の試合の負傷により欠場。そこで松田監督は、DFセルジオ、MF篠田、FW福嶋をそれぞれ起用した。試合は川崎が攻撃の主導権を握りつつも、福岡もよく守り双方に大きなチャンスが訪れないまま推移する。

　それでも37分には福岡の右サイドの宮崎からディフェンスの裏を狙ったクロスが入るのだがこれにはベンチーニョが合わせることができず、得点には至らない。対する川崎も、40分に後方からのロングパスに茂原が飛び出してGKと１対１の場面を作り出すが、これはGK水谷の好セーブもあって得点とはならず。さらに41分にもアウグストのセンタリングに逆サイドで我那覇が合わせるもののゴールの右へと外れてしまう。

　そしてロスタイム。試合はこのまま双方無得点で前半を終了するのかと思われた。しかし、福岡は古賀のコーナーキックをファーサイドの川島が中央に折り返し、これをベンチーニョが頭で押し込んでゴール。こうして福岡が１点をリードして前半を終了した。

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　嫌な形で前半を終えた川崎。しかも相手はこのところ好調な福岡である。後半も川崎にとっては厳しい試合展開が待ち受けていることが予想された。だが、実際にはそうはならなかった。まず、後半開始早々にペナルティエリアへドリブルで侵入したアウグウトを福岡のGK水谷が倒してしまい、川崎がPKを得たのである。そしてこのPKをジュニーニョがゴール右へしっかりと決めてまず同点。

　この後も川崎がFWジュニーニョを中心として攻撃を展開。福岡は防戦に追われてしまう。そして58分。ジュニーニョが放った強烈なシュートをGKが弾いたこぼれ球を我那覇が押し込んでついに川崎が逆転。さらに62分には鬼木の相手ディフェンスラインの裏を衝いたパスを受けたジュニーニョが、最後はGKをかわしてゴールへと流し込み３点目。

　２点を追いかける状況となった福岡は69分にFW江口をボランチの篠田に代えて投入。攻撃の枚数を増やすことにより追撃体制を整える。だが、川崎も攻撃の手を休めない。75分には我那覇が右サイドをドリブルでえぐり、これをディフェンスに戻ってきた江口が倒してしまい再び川崎にPKを与えてしまう。そしてこのPKをジュニーニョが今度は左隅へと決めて試合を決める４点目。

　さらに77分には、我那覇からのパスを受けたジュニーニョが左サイドをドリブルで突破してシュート。これが大きく弾んだところをゴール前に詰めていた我那覇が頭で押し込んでダメ押しとなる５点目が入った。この後、福岡も江口のゴールで１点を返したものの大勢には影響なく、川崎がジュニーニョや鬼木を交代させる余裕も見せて、勝たなければならない試合に５−２と大勝した。

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　予想外の大敗となってしまった福岡。前半こそ互角の試合をしていたのだが、後半はジュニーニョとアウグストの両外国人選手を中心とした川崎の猛攻に飲み込まれてしまう形となってしまった。大きな目標を持っているチームとそうでないチームの差といえばそうなのであろうが、来季の昇格を福岡が目指すつもりであるのならば、このような試合でどれだけ頑張れるのかということが重要なのではないのだろうか。福岡の次の対戦相手は、あと１勝で昇格が決定する新潟である。勝敗は別にして、現在の持てる力を存分に発揮して欲しいところだ。

　一方、川崎は勝ち点３を積み上げることに成功した。しかし、新潟と広島も同様に勝ち点３を積み上げているため、３チームの順位と得失点差には変化は起きなかった。だが、１つだけ大きな変化がある。それは残り試合が２試合となったことである。例えば、次節で川崎が試合に敗れるか引き分けるかし、かつ広島が勝利した場合には新潟と広島の昇格が決まってしまうのである。川崎にとっては、状況はさらに厳しくなったといえるであろう。

　しかし、川崎には最終節に広島との直接対決が組まれている。つまり、まだ自力昇格の可能性が残っているのである。川崎は、次節の湘南戦に勝利して最終節の広島戦にＪ１昇格の望みをつなぐことができるのであろうか。