今季最高の出来！応援も統一！「お待たせ」Ｇ大阪、名古屋に快勝！
2003Ｊリーグ　ディビジョン１　２ndステージ　第11節　ガンバ大阪vs.名古屋グランパスエイト

2003年10月25日（土）15:02キックオフ　万博記念競技場　観衆：10,115人　天候：晴時々曇
試合結果／ガンバ大阪３−１名古屋グランパスエイト（前１−０、後２−１）
得点経過／［Ｇ大阪］山口智（8分）、吉原（48分）、［名古屋］ウェズレイ（72分）、　［Ｇ大阪］吉原（84分）


取材・文／貞永晃二

　スタジアムに入り、いつもと違うゴール裏の様子にすぐ気づいた。分裂しそれぞれ自らのペースで応援していたサポーターの境目がなく横に広がり一緒にコールしている。キックオフ前の整列時にＧ大阪の選手もはっきりそれに気づきゴール裏にしきりに視線を送る。選手たちも気に病んでいたサポーターの統一が実現した。選手のモチベーションにも好影響を与えるだろうと思われた。

　首位東京Ｖに勝点差４の名古屋、６のＧ大阪。上位チームがなかなか勝点を伸ばせない状態が続いているだけに５試合を残して優勝への生き残りを賭けた試合ともいえる。大阪ダービーに快勝したＧ大阪だが、エースのマグロンを欠く。一方名古屋もキープレーヤーのマルケスが不在。いかに両監督がこの「穴｣を埋めてくるかに注目だ。

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　試合開始早々、サイドを突く両チーム。Ｇ大阪は左の新井場が、名古屋は右の海本幸が突破を見せる。古巣のＧ大阪に対し急成長中の海本幸がどんなパフォーマンスを見せることができるか。積極的に前線からプレッシャーをかけ、こぼれを拾うＧ大阪。特に吉原はピッチの至るところに現れ精力的に守備にも貢献する。

　Ｇ大阪は名古屋を押し込みながらもシュートが打てずにいたが、ファーストシュート（？）で先制する。８分、右サイド遠藤のFKは美しいカーブを描きゴール前へ、GK楢崎は一歩出たが無理と見て戻る。Ｇ大阪實好のジャンプは高いが空を切り、ファーポストにいた吉原がボレーで狙うが、これもゴールへは向かわず折り返した形。何もできない名古屋DFを尻目に山口智が左足で叩き込んだ。１−０、ゴール裏に笑顔があふれる。

　反撃に出る名古屋だが、どこかぎくしゃくした様子。効果的なボールが入らず、得点源ウェズレイが孤立する。頼りのマルケス不在がかなり影響しているようだ。FWに原や氏原ではなく滝澤を起用したネルシーニョ監督の意図は読みきれないが、効果的とはとてもいえそうにない。海本の中央からロングドリブルで切り込んでいく元気さが救いだ。そしてムードを変えようと中村直がミドルで狙い、CKのこぼれからのウェズレイのオーバーヘッドはわずかに外れる。　

　インジュアリータイムにCKからウェズレイの強烈なヘッド、カウンターからのループ気味のシュートもGK松代が冷静に処理。少ないチャンスをシュートで終えるウェズレイはさすがだ。

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　後半スタートから、名古屋は山口慶に替え氏原を投入、前線に起点をつくりたいところか。しかしＧ大阪に追加点をあっさりと許してしまう。48分、チャンスにはつながらないものの右サイドで攻守に貢献していた森岡がカウンターで上がり、GKとDFとの間に絶妙なクロスを入れる。走りこむマグロンの代役・中山はわずかに届かず、楢崎もタイミングが合わずクリアもキャッチもできない。獲物を嗅ぎつけた吉原はこのチャンスを逃さずプッシュ。２−０、こんなに明るいムードの万博はいつ以来だろう。

　Ｇ大阪の攻撃はさらに好循環を見せる。左の新井場、右の森岡とつるべの動きよろしく安定感あふれるパフォーマンス。攻撃が好調だと守備にも波及するものだ。宮本のラインコントロールも冷静的確。クロスへの対応面も氏原、パナディッチのヘッドに忠実に身体を寄せて決してフリーには打たせない。

　しかしそのＧ大阪DFもウェズレイにはさすがに手を焼く。Ｇ大阪DFの注意がナンバー10に集まるところを氏原に巧みなターンで突かれファウルを犯し、72分直接FKをウェズレイに叩き込まれてしまった。１点差となって「勝ち慣れない」青と黒のサポーターは誰もみな不安顔に変わってしまう。今季何度も苦い失点を食らったことが脳裏をよぎるのも無理はないのだが。　

　原を入れて３トップ気味にした名古屋にボランチ山口智をDFラインに下げ対応した西野監督。やや疲れた森岡をアリソンに交替。二川を右へ出し、アリソンに２トップの下に置く。さらに中山と松波を入れ替えて前線からの守備面も考慮する。

　この松波がベテランらしい（まだ28歳だが）プレーでチャンスを作る。84分、右サイドからドリブルでカットインし、DFを引っ張り名古屋DFのマークを混乱させ、左サイドの新井場へスルーパス。受けた新井場はダイレクトで折り返すと全くフリーで吉原が現れイージーなゴールを右足アウトサイドで落ち着いて決め、試合の決着もここでつけてしまった。

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　名古屋にとってのマルケス不在は相当なダメージだったようだ。ウェズレイの力を引き出し、自らも活きるのがマルケスなのだ。しかし滝澤のFW起用は単なる奇策に終わってしまった。そしてここへ来ての連敗でほぼ優勝は絶望的となってしまった名古屋。いかに気持ちを切り替えさせるかはネルシーニョのお手並み拝見だ。

　先制点、追加点、追撃を食らったところで、駄目押し点。理想的ともいえる戦い方に西野監督も笑顔を隠せない。「来週にも試合をしたいくらい」というコメントを残したほどだ。「お待たせしました」という試合後の吉原がサポーターに向けて送ったメッセージには、チームも自身もここまで不甲斐ない結果しか残せなかったという気持ちがあふれていた。しかしシーズンはこれからが佳境に入るのだ。鹿島、FC東京、磐田と上位陣との対戦を残して優勝戦線に殴り込みをかけてやるくらいの気概をもって戦うことがようやく統一したサポーターの応援にこたえることになるのだ。