サガン鳥栖　サポーター通信　〜苦難の末の初勝利 　レポート／浜崎薫

「矢野が退場」。その情報が伝えられた時、さすがに自分を含めたサポーター仲間たちの間に緊張が走った。しかし、約５分後、寄せられたのは「鈴木がゴール！」という吉報。一転して仲間内で笑顔がはじけ、歓喜の雄叫びが響き渡った。

　３月13日(日)、対コンサドーレ札幌戦。サガン鳥栖は、開幕戦と同じく４バックの布陣で臨んだ。17,607人という大観客に後押しされた札幌の攻勢に、サガン鳥栖は15本のシュートをあびるなど、終始苦戦を強いられた。後半12分には前節ゴールをあげたＤＦ矢野大輔が２枚の警告を受けて退場し、これで万事休すかと思われた。

　しかし、後半20分。サガンはＣＫから一旦クリアされたボールを札幌陣地に放り込む。それを札幌ＧＫ高原がパンチングミスし、そのチャンスボールを新居辰基選手がオーバーヘッドで跳ね返す。さらにそのこぼれ球を受けた鈴木孝明がループ気味のシュートを放って、決勝点となる貴重な１点をあげた（鈴木はＪリーグ初ゴール）。これで、サガン鳥栖は今季初勝利をあげ、勝ち点３を獲得した（勝ち点の合計は４。順位は５位）。

　また、札幌ドームで行われたこの試合には古川康・佐賀県知事が訪れている。試合前に高橋はるみ・北海道知事と共にキックイン・セレモニーを行った後、古川知事はアウェー用のユニフォーム(上下)を身にまとったまま、スタンドでサポーターと一緒にサガン鳥栖を応援した。スカイパーフェクＴＶの映像では、鈴木のゴール直後にサポーターの仲間たちと一緒に飛び上がって喜ぶ古川知事の姿が映し出されている。その知事の姿を確認した時、自分は思わず笑みをこぼしてしまったが、その姿が大変嬉しく、そして心強いものに感じられた。


　次節のサガン鳥栖の対戦は、横浜ＦＣ。開幕後の２試合では１敗１分(勝ち点１)とやや苦戦中だが、サガンにとっては昨季１分３敗の相手。決して侮れないチームである。サガンは、対札幌戦ではＤＦの空中戦の競り合いでは押され気味で、シュナイダーの好セーブに助けられている感もある。おそらく松本育夫監督は、次の試合も４バックで臨むのだろうが、攻撃陣では氏原良二選手のケガがまだ不安材料であり、楽観できる余裕はまったくないと言っていいだろう。選手たちには、これまで同様、十分に気を引き締めて試合に臨んでもらいたい。

　なお、今季からサガン鳥栖はサテライトリーグに参加することになった。その初戦、サガン鳥栖対ヴィッセル神戸戦が、20日(日)に佐賀県総合運動公園陸上競技場で行われる。今季のサガンの若手選手には、楽しみな人材が多い。開幕前の２月13日(日)に行われた練習試合（対浦和レッズ戦）では、レギュラーチームよりも若手選手主体チームの方が、生き生きとした良いプレーを見せてくれた。

２日間にわたるサガン鳥栖の試合観戦。ファンにとっては、楽しみな連休になりそうだ。