大宮アルディージャ　サポーター通信　〜最高の第１歩 　レポート／OrangeSmile

　J1のスタートを鮮やかな勝利で飾った。ゲームプラン通りの試合運びを見せて、アウエーの万博記念競技場を沈黙させた。最高の瞬間だった。

　2005年のJ1全18チームの中で唯一の初昇格チーム、大宮アルディージャ。開幕戦の相手は昨季年間順位３位で、優勝候補といわれているＧ大阪だ。いきなり強豪との対戦だが、もっともJ1ルーキーの大宮の場合、昨季成績で見れば全チームが自分たちより上なのだから、どこと戦っても厳しい戦いになるのは免れない。実際この試合もボールをキープされることが多く、ゴール前に釘づけとなる時間帯が多かった。どこまで我慢できるか、集中力を切らさずにプレーできるか。しかしこの日の選手たちは１秒も集中力を切らすことなく、G大阪の猛攻を体を張って防いでいた。

　記念すべきJ1初得点を決めた桜井直人らFW陣、ディビッドソン純マーカスと金澤慎のセントラルMF２人を中心とするMF陣の労を惜しまない激しいプレスに、Ｇ大阪の選手たちは明らかに戸惑っていた。１人をかわしてもまた別の選手が寄ってきて、時間がかかると２〜３人でボールを囲みそして奪う。個々の技術やスピードの差から後手に回るシーンもあったが、運動量がガクッと落ちなければ守備面は通用すると確信した。
　
　格下との対戦、16000人を超える大観衆、攻めても攻めても得点を奪えない展開。Ｇ大阪は明らかに焦っていた。それは「試合を膠着させたい」（三浦俊也監督）と考えていた大宮にとって、願った通りの展開に持ち込めたということだ。69分、マーカスの右足アウトからの絶妙パスから、DFをかわしたトゥットがGKと１対１になるビッグチャンス。惜しくもGKに弾かれたが、得点の予感が漂う。

　そして81分、J1で初の歓喜の瞬間に出会った。その後それまで以上の攻勢を受け、89分にはあわや同点かという大ピンチもあったがDFトニーニョが救う。このワンプレーは大きかった。選手たちはどうかわからないが、少なくともスタンドはその後、諦めにも似た雰囲気が広がった。このプレーが２点目を引き出したと言っても過言ではないだろう。２点目もMF藤本主税が左サイドを抜け出したとき、ゴール前には得点を決めたFW森田浩史の他に、FWトゥットとMF久永辰徳も詰めてきていた。一瞬のチャンスを逃さない、というチーム全体の気持ちが見えたシーンだった。

　J1開幕戦で２−０完封勝利。すべてがうまくハマり過ぎた結果だと私は考えている。しかし攻められても自分たちのゲームプランをきちんと実践し、そして勝てたことは大きな自信になるだろう。今季はこういった展開の試合が多くなる。その時にこの日の勝利で得た自信が、選手たちにも我々サポーター、ファンにも大きな力になるに違いない。

　試合後仲間たちと祝杯を挙げていると、オレンジ色に気づいたのか店員が「どっちが勝ったんですか？」と尋ねてきた。「２−０で大宮が勝ったよ」と言うと、次に来たときに「（奥にいる店員が）ウソやー、って言ってます」と教えてくれた。それを聞いたとき、MF藤本と同じように「ざまあみろ！」と叫びたい気分になった。ビールが美味かった。