湘南ベルマーレ　サポーター通信　〜出るか、山田松市マジック 　レポート／飯竹友彦

　次節の川崎フロンターレ戦は2003年シーズンのホーム最終戦となる。リーグも残すところあと２試合。昇格争い真只中にいる川崎フロンターレとリーグ下位に沈む湘南ベルマーレ。明暗がくっきりと分かれてしまった。

　「今年こそJ1へ復帰」を合い言葉に、元日本代表コーチのサミアを監督に迎え入れ補強も万全の体制で開幕を迎えた。緒戦、昨期相性の悪かったモンテディオ山形に２−０で勝利する幸先の良いスタートをきった。だれもが「もしかしたら今年こそJ1に復帰できるかもしれない」と甘い期待を抱いただろう。しかし、試合を重ねるごとに、だんだんとサミア湘ベルマーレは下降線を辿り一時期は最下位に甘んじる。危機感を感じてはいたものの、何の手出しもしないでいたフロントもようやく重い腰を上げ、サミア監督の解任を発表。後任にはコーチである山田松市氏を昇格させた。

　監督の交代により刺激を受けたチームは、5月31日首位の広島相手に勝利は上げられなかったが、０−０の高パショーマンスを見せた。続く、札幌、水戸、FC横浜までを引き分けで乗切り、５戦目のアウェイ新潟戦で、山田監督になり初の１−０と負けを喫する。しかし、一週間後の6月28日にはホームで水戸を破りサポータに勝利をプレゼントした。それでも山田監督の意図するサッカーを表現するのは難しく、勝星を重ねることは難しかった。

　しばらくして８月に入り、それまで辛抱強く見守ってきた監督とサポータに歓喜の時を迎える。５試合を３勝２分の負け無しという最高の成績を収めた。ようやく長いトンネルを抜けたと思ったののつかの間９月には泥沼の４連敗と転じる。

　降格のないJ2では、残り２試合に向かうモチベーションは低くならざるを得ない。しかも、韓国代表の合宿でキムグンチョルが不在、エースのFW高田が前節受けたレッドカードにより出場停止。攻撃の核を失った湘南ベルマーレが、昇格目前でモチベーションが高い川崎F守備陣にどこまで食い込めるか。そして、勝利しか目に入らないジュニーニョ、ホベルチ、アウグストの助人カルテットをどこまで食い止めることができるか。湘南には不利な状況ばかりであるが、ホーム最終戦で山田松市マジックを見ることができるか期待するばかりだ。