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第85回天皇杯全日本サッカー選手権大会 準決勝 セレッソ大阪vs.清水エスパルス
2005年12月29日（木）13:08キックオフ 静岡スタジアム エコパ 観衆：11,270人 天候：晴
試合結果／セレッソ大阪０−１清水エスパルス（前０−０、０−０）（延前０−１、延後０−０）
得点経過／［清水］チョ・ジェジン（101分）
取材・文／貞永晃二
勝てば元日の国立で「初蹴り」の夢が叶う天皇杯準決勝。リーグ制覇の夢は破れたＣ大阪だが、タイトル奪取への執念で千葉、Ｇ大阪を連破しベスト４に到達した。一方の清水もリーグ最終戦に完敗を喫した広島、同県ライバルの磐田をそれぞれ無失点で下しホーム静岡のエコパに帰ってきた。
Ｃ大阪・下村のミドルがGK正面を突き試合は始まる。清水も相手守備陣の譲り合いを狙いチェ・テウクがシュートするがワクを外す。Ｃ大阪のボール支配がややまさる立ち上がりだったが、DFからのフィード、中盤でのつなぎにイージーなミスが連発し決定的なチャンスは作れない。
特に清水のリトリートした守備ラインの中央で、若い青山が空中戦で西澤へのボールをことごとく跳ね返し、Ｃ大阪の攻撃にリズムが生まれない。
対する清水も攻撃陣に精彩が感じられない。決定機もチョ・ジェジンのヘッドはミートしない。ともに多くあったセットプレーも活かせず、スタンドに興奮を呼ぶシーンは皆無といってよい前半だった。
47分、ファビーニョのパスに森島が抜け出しワントラップから狙う。ややコースが甘く得点にはならなかったが、西澤が位置を下げDFをひきつけてその裏を狙うＣ大阪の意図が垣間見えた。
清水のチャンスはＣ大阪のミスから生まれる。ブルーノがヘッドクリアを失敗、久保山がダイレクトシュートするが大きく外れてしまう。長谷川監督が先に動く。奮闘した枝村から巧者平松に代え、１点を奪いに出る。小林監督も本職ではない右SB森岡に封じられたゼ・カルロスを酒本に代える。しかしＣ大阪の攻撃も前半同様つなぎのミスがつぶしてしまう。
清水で前半から元気だったのがチェ・テウク。Ｃ大阪DFを手玉にとるスピードドリブルは後半も衰えない。しかしＣ大阪のDFも粘り強く対応し得点を与えない。登場間もない平松が果敢にバイタルエリアを動き回るが、ボックス内で倒れてもファウル判定はもらえない。終了間際Ｃ大阪は久藤が入れたロブを古橋がヘッドで落とし西澤が得意のボレーを放つがまたもミートせず、絶好機を逃した。
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腰痛を抱えながら奮闘したファビーニョ、森島が限界を超えてピッチを去る。代わった宮原、黒部が必死に動き回り同点を目指すが、清水の磐石の守備は辛抱強くからみつきフリーシュートを許さない。そして柏原主審のホイッスルが澄んだ冬空に響き渡った。
呆然とした表情でピンクのサポーターに向かっていくＣ大阪の選手たち。彼らの戦いの日々は終わった。リーグ優勝を土壇場で逃し、今度こそと目指した元日の国立も夢と消えた。「次、頑張ろう」とはとても言えない。「ゆっくり休めよ」。
ベストとはとても言えないメンバーでの決勝進出を決めた清水。残留争いに苦しんだ今季の最後に、大きなチャンスを自力でつかんだ彼らに大きな拍手を贈りたい。双眼鏡で見たチョは肩の辺りを指差してチームメートに語りかける。決勝ヘッドで彼が派手に喜ばなかったのはおそらく肩に当たって入ったからなのだろう。彼の謙虚な姿勢が心地よく感じられたワンシーンだった。
（セレッソ大阪）
GK： 吉田宗弘
DF： ブルーノ･クアドロス、前田和哉、柳本啓成
MF： ファビーニョ（106分／宮原裕司）、下村東美、久藤清一、ゼ・カルロス（69分／酒本憲幸）
FW： 森島寛晃（110分／黒部光昭）、西澤明訓、古橋達弥
SUB： 伊藤友彦、藤本康太、
（清水エスパルス）
GK：西部洋平
DF： 森岡隆三、青山直晃、高木和道、山西尊裕
MF： チェ・テウク（110分／高木純平）、枝村匠馬（62分／平松康平）、伊東輝悦、兵働昭弘
FW： 久保山由清（97分／岡崎慎司）、チョ・ジェジン
SUB： 黒河貴矢、北嶋秀朗
