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2005Ｊリーグ ディビジョン１ 第7節 ガンバ大阪vs.ＦＣ東京
2005年4月23日（土）15:04キックオフ 万博記念競技場 観衆：11,728人 天候：晴
試合結果／ガンバ大阪５−３ＦＣ東京（前０−１、後５−２）
得点経過／［ＦＣ東京］戸田（2分）、［Ｇ大阪］Ｏ・Ｇ（45分）、［ＦＣ東京］石川（51分）、［Ｇ大阪］大黒（52分、53分）、［ＦＣ東京］ルーカス（64分）、［Ｇ大阪］大黒（65分）、アラウージョ（72分）
取材・文／貞永晃二
この日はＧ大阪の「マイ・タウン」の一つ高槻市の小・中学校応援デーということで、試合前に小･中学生約700名がトラックを半周行進した。また前座試合にもＧ大阪ジュニアの対戦相手として高槻市セレクションチームが登場。Ｇ大阪ジュニアは、なかなか勝ち切れない試合の続くトップチーム同様に２−０のリードを守り切れず終盤に追いつかれ、結局は２−２の引き分けに持ち込まれた。
大阪ではサッカー先進地域の高槻。日本代表の西（磐田）やいまや日本代表に選ばれてもおかしくない選手に成長したＧ大阪・二川の出身地だ。ところで、高槻市長の「Ｇ大阪のためのサッカー専用スタジアムを建設する」という選挙公約はどうなっているのだろうか？
試合のほうは名古屋、浦和に連敗、しかもゴール欠乏症のＦＣ東京と、試合内容では勝りながら３戦連続引き分けのＧ大阪の戦いは、ハード＆ビューティフルなゴール・オン・パレードとなった。
前節とほぼ同じ布陣のＦＣ東京。つまり茂庭、加地は負傷欠場だ。一方、Ｇ大阪は宮本とGK松代を復帰させた。「勝つ」ための西野監督の決断はどう出るだろうか。
2分、自陣右サイド石川からのロングパスを追った戸田がボックスに入ったところでなんと左足でダイレクトシュート。不意をつかれたGK松代はサイドネットに飛んだボールを止められない。見事なシュートだが失点としてはまるで事故にあったよう感覚で先制されたＧ大阪はＦＣ東京に序盤のペースを握られる。
Ｇ大阪は宮沢の強烈なFKも松代の好セーブでなんとか逃れ、一点を追って攻勢に出る。遠藤のシュートがバーに嫌われた後、この日の主役・大黒様が登場する。左から中へヨコばいドリブルでDFをひきずり強引に打つ。さらに真後ろからのボールを大胆にボレーで狙う。しかし二本とも代表GK土肥がはじき出す。さらに前半終盤、CKからの實好のヘッドも惜しくもポストを叩く。前節Ｊ初ゴールを決めたベテランDFは前節で運を使い切ったのかもしれない。Ｇ大阪はビハインドを後半に持ち越すことになった。
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51分、ＦＣ東京は左サイド宮沢のFKから石川がダイビングヘッドで決め突き放すが、直後の52分、右の遠藤からのソフトなクロスを大黒がねじ込むようなヘッドで再度同点とし、さらに53分、ルーズボールを競り勝ち奪い取った二川がドリブルでカットインし、スルーパス。すばやく動き出した大黒は右足で流し込んだ。ＦＣ東京のDF陣の片手を上げてのオフサイド・アピールも空しい。青と黒のサポーターは落胆し、歓喜しそして狂喜へ。わずか3分間での３ゴールの打ち合いに万博は大歓声に包まれた。Ｇ大阪はこの日初めてのリードだ。
追いかける立場となり、原監督は馬場、鈴木とイキのいい選手を投入。そしてあっさりと64分、石川のアーリークロスからルーカスがヘッドで３−３と同点とした。石川に何度も突破を挑まれた實好が若干間合いを空けた瞬間の正確無比なクロスだった。
しかし遠来のＦＣ東京サポには気の毒なことにこの日の大黒は手がつけられない。またも１分後、中央で受け右の遠藤に渡した大黒は遠藤からのリターンパスを時計回りにターンしながら右足先でワンタッチ、強烈な左ハーフボレーで４点目を決めた。本来おとなしいはずのメインスタンドのファンさえも立ち上がってしまう、それほど美しく鮮やかな一発だ。何十本と練習しても再現できるかどうかの「難易度超Ｓクラス」のシュートだった。
72分、Ｇ大阪はさらにジャーンのミスパスを拾ったアラウージョがドリブル、左へパスを流すフェイクの後左足を一振り。得点差を２点に広げた。思えば今季初の２点リードだ。そして残った時間も決して守りには入らず、攻めることで時間を経過させ、ようやくの２勝目を決めた。
内容よりも結果が求められたこの試合。ＦＣ東京は「ゴール」を思い出すことができた試合となり、一方Ｇ大阪は忘れていた「勝利」を思い出すことができた。
原監督は茂庭と増嶋との差を痛みとして思い知ることになった。増嶋も大黒に翻弄されたことくらいで自信を失うことはない。この日の青のナンバー１６はまさに国際級、生涯最高のパフォーマンスだったはずだから。
一方西野監督の苦悩は続く。ドロー続きのチームは見事に勝ち点３をもぎ取ったものの３失点を見過ごすことはできない。宮本の復帰が最善なのか否か、優勝を狙うには悩み甲斐のある問題だ。
