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第83回全国高校サッカー選手権大会 １回戦 青森山田vs.米子北
2004年12月31日（金）14:10キックオフ 柏の葉総合競技場 天候：雪 観衆：1,000人
試合結果／青森山田１−０米子北（前０−０、後１−０）
得点経過／［奈良］小寺（76分）
取材・文／中倉一志
１試合目が終わってから雪に変わった雨は、見る見るうちに激しさを増してピッチを真っ白に包んでいく。試合前に雪かきをしてくれた高校生ボランティアの努力の甲斐もなく、降り続く雪は、またたく間に間にくるぶし辺りまで積もってしまった。試合後、黒田剛監督（青森山田）に対して「（雪は）やりなれているとは言えない状態ですか」などという質問が飛んだが、いくら雪国とはいえ、こんな雪の中で公式戦をする機会は滅多にないだろう。
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「前半は押し込まれるのは分かっていた。後半になれば隙も出てくるし、マークも甘くなるはず」。対する米子北の城市徳之監督も、青森山田が前の４人の力で押し込んでくるのは承知の上。先ずは前半を守り抜いて後半にやってくるであろうチャンスを待たせる。前に出てくる青森山田に対しては４枚の最終ラインとボランチの中村（３年）で対応。場合によっては両ワイドのＭＦまでもが守備に回って守りを固める。戦前の予想通り、青森山田が攻めて、米子北が徹底して守るという図式で試合が進んでいく。
視界をさえぎる雪と、足元がおぼつかないピッチ。それでも青森山田はよくボールを動かして攻撃を仕掛けた。スタンドから見る限りでは、悪条件を気にしていないようにさえ見えた。そして、米子北も予想以上の粘り強さを見せた。必ず身体を寄せて青森山田に自由を与えず、裏へ蹴ってくるボールも最終ラインの的確なポジショニングとカバーリングでピンチを未然に防いでいく。結局、前半は０−０。勝敗の行方は後半へ持ち越された。
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そして54分、米子北は満を持してスーパーサブの大家を投入。狙い通りに青森山田の甘くなった守備網を突いてカウンターから勝負に出る。その効果はすぐに現れた。61分、64分と立て続けに決定的なシュートを放つ。しかし、ゴールマウスが捕らえられない。米子北にしてみれば試合前のプラン通りの展開。勝負の世界に「ればたら」は禁句だが、この時間帯にゴールが生まれていたら、結果は大きく違った者になっていたはず。米子北にとっては悔やまれるシーンだった。
それでも米子北の守りは崩れない。いよいよ残り時間は10分ほど。「ＰＫ戦の順番も考えていた」（黒田監督）というほど、米子北の守りには隙がなかった。しかし75分、青森山田はその厚い壁を打ち破ることに成功する。小寺が小澤とのワンツーパスからペナルティエリア右側に抜け出した。そして強引に割って入って右足振りぬくと、ボールがゴールマウス左隅に吸い込まれた。値千金のゴール。米子北のマークが分散されたのはこのプレーだけ。それをゴールという形にしっかりと結び付けられる力は全国優勝を狙うチームの証だった。
「（２回戦で当たる）奈良育英には、何年か前に２回戦で当たって負けている。今日はインターハイのリベンジが出来たので、次は奈良育英にリベンジして、その先は市立船橋にリベンジして・・・」（黒田監督）。その先には全国の舞台での上位進出という結果が待っている。そして敗れた米子北の城市監督は、「ほんのちょっとしたところでの差。そこを改善しないと全国のレベルでは難しい」と試合を振り返る。そして「ここで２度連続してやらせてもらった。もう一度帰ってきて、３度目はここで勝利を挙げたい」とも。最後まで青森山田を苦しめた米子北は胸を張ってスタジアムを後にした。
