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2004Ｊリーグ ディビジョン１ 1stステージ 第5節 ガンバ大阪vs.ジェフユナイテッド市原
2004年4月14日（水）19:00キックオフ 万博記念競技場 観衆：4,429人 天候：曇
試合結果／ガンバ大阪２−２（前０−０、後２−２）ジェフユナイテッド市原
得点経過／［市原］山岸智（64分）、［Ｇ大阪］マグロン（82分）、［市原］林丈統（84分）、［Ｇ大阪］マグロン（89分）
取材・文／貞永晃二
サンドロ、マルキーニョス、阿部という看板主力選手を欠く市原だけに、ここまで無敗できたフルメンバーのＧ大阪は勝たなければならない試合。しかし名将オシムの指導下、昨年以上に「チーム」で戦う市原はそう簡単に勝点３をプレゼントしてはくれないはずだ。
前日から降り続いていた雨はやんだものの、ピッチは遠目から見る以上に水分を含んでいたようだ。足をすべらせる選手が続出。特にＧ大阪に目立つ。ホームチームとしては少々恥ずかしいことだが。そのＧ大阪では、大黒のゴールへの意欲的な動きが目を引く。一方長身の巻をワントップに、羽生、佐藤が飛び出す形が狙いの市原だが、前半はスムーズにその巻にボールが入らずチャンスにつなげられない。
初めてスタンドが沸いたのは18分。CKから市原DFのクリアを拾ったのは、日本のサッカーにようやく慣れてきたフェルナンジーニョ。右サイドへ持ち出し素晴らしい切れのドリブルで坂本、斎藤の二人をかわし左足でシュート。GK櫛野が反応よくはじくがさらに山口のミドルが飛ぶ。これを今度は櫛野が押さえ、大きなピンチを逃れた。
前半も半ばを過ぎ高い位置でカットできるようになった市原。村井の大きなサイドチェンジも効果的だが、シュートで終われない。Ｇ大阪もシジクレイのFKからのシュートや二川、大黒の巧みなコンビプレーが出るが先制点は遠い。市原も山岸がシュートチャンスをつかむがＧ大阪DFが身体でストップする。さらに終了直前中島のキープから佐藤がからみフィニッシュは巻。倒れながらのシュートは右に外れてしまう。
後半、メンバー交代もなく試合は淡々と進む。坂本、佐藤そして巻とチャンスを逃す市原。押され気味の展開の打開を図る西野監督は、左SB児玉を引っ込め吉原投入へ動く。この初のメンバーチェンジから俄然試合が動き出すことになる。吉原がピッチに入った直後の64分、市原が先制する。左サイドで浮きダマを巧みに処理した村井がGKとDFの間に低い弾道のスピードクロスを送る。DFともつれるように飛び込んだ山岸が右足で合わせ押し込んだ。
なりふりかまわない攻めに出るＧ大阪。大黒がうまいターンからフィニッシュ、フェルナンジーニョが粘着質のドリブルからシュートと個人の力でビッグチャンスをつかむが決められない。そしてサイドからのクロスはミリノビッチの壁を崩せない。FKのピンチに全員が自陣に帰る市原。ゴール前は大混雑となる。
ここで、オシム監督はあえてベンチに残したスーパーサブ・林を入れカウンターに賭ける。その林が右サイドから侵入し強烈なシュート。GK松代が止め、そこからシジクレイがクリアせずつなぐ。フェルナンジーニョが中央をドリブル、二川が受け左サイドからボックス内へふわりとクロスをあげる。助走をつけた高いジャンプで大黒が頭で強く叩きつけると、ポストがGKに代わって防ぐ。しかしそのリバウンドに一番でマグロンが反応しプッシュした。青と黒のサポーターの背後の時計は残り８分を示していた。
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ロングボールを放り込むのは当然のこと。当然市原も長身DF結城を入れ対応する。少し違ったのはDFラインから一気のボール一辺倒ではなく、苦しい中でも焦らずに一度サイドに開いてから角度を意識したボールを入れていたことと、直接ゴールを狙わずに折り返すことも意識したことだ。DFから見ればどちらが守りにくいかは自明だ。その繰り返しが結実することになる。
いつタイムアップになってもおかしくない時間、左サイドから吉原が大きく逆サイドへ振ると自らのミスを取り返したいキャプテンがいた。ナンバー５のふわっとしたクロスに、マグロンが頭ひとつ抜け出て左サイドネットに沈める。エースは投げキッスをサポーターにささげる。荷物を手に座席を立ちかけていた多くの観客もその場に立ち尽くすほどタイムアップ寸前の同点劇だ。GK櫛野はしゃがんだまましばらく動けない。
試合が終わってオシム監督は首を振りながら何かつぶやいていた。一度目に追いつかれたときは何かを蹴飛ばすようなそぶりだったが、さすがに最後はその元気はなかったようだ。
互いの勝ちたい気持ちが最後に吹き出るような試合だった。しかし結果はドローだった。あとひと踏ん張りで逃げ切れた市原にとって悔やまれるのは、追いつかれる直前の巻の中途半端なプレーだ。左サイドから単独ドリブルで進んだが、シュートするでもなく、時間を使うキープをするでもなく奪われ、そこからＧ大阪の反撃を受けたのだった。厳しいようだが得点するだけがFWの仕事ではないことを巻は知らなければならない。
追いついたＧ大阪にとっては、次につながる同点劇だろう。ステージの三分の一を終えて負け知らずという結果には自信をもってもいい。十分優勝争いに食い込めるはずだ。しかしいくら得点しても簡単に失点を許すバランスの悪さは考えものだ。チャンスを決めきれないためにリスクを負った攻撃に出ざるを得なくなるのだから、ここは併用される４人のFWの奮起に期待するしかないのかもしれない。
それにしても、２位、３位が引き分けるという磐田には笑いが押さえきれない結果となった。さあ、どこが磐田に土をつけるか、ステージ中盤戦の注目点だ。
