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| 第1回大学日韓定期戦は劇的なゴールで日本が制す。 |
デンソーカップ04 第１回大学日韓定期戦 全日本大学サッカー選抜vs.全韓國大学サッカー選抜
2004年４月４日（日） 13：30キックオフ 国立霞ヶ丘競技場 観衆：約3.800人 天候：雨
試合結果／全日本大学サッカー選抜３−２全韓國大学サッカー選抜（前２−２、後１−０）
試合経過／［全韓國］ハン・ジョンウォン（８分）、［全日本］小林（11分）、［全韓國］チェ・ソンヒョン（21分）、［全日本］江添（44分）、田代（89分）
取材・文／砂畑 恵
昨日とは打って変わって花冷えとなり、街を行き交う人の上着は固く閉じられている。スタジアムも同様で、大学生とおぼしき男性グループやサッカー少年団の子供達で占められたスタンドは、あまりの寒さに友人同志で身を寄せ合い、肩をすぼめての観戦となった。
日本大学サッカーの育成・強化の場として親しまれてきたデンソーカップ。今年からは、新たに日韓定期戦と銘打って開催される運びとなった。大学サッカー界の最大の目標は、来年トルコで行なわれるユニバーシアード。出場することはもちろん、01、03年大会に続く３連覇と、４度目の金メダルを獲得することに指針は向けられている。そんな大学選抜チームにとってアジアのライバルである韓国との戦いは絶好の機会。厳しい戦いになるだろうが、その中でつかめるものは大きい。
試合開始直前には雨はあがっていたものの、朝方の雨で芝は重くてスリッピーな状態。その影響とミスも重なり、日本はいきなり失点を喫した。８分、キム・ジョンホのロングボールがDFラインの裏に落ちる。GK阿部は素早い反応ペナルティーエリアを飛び出したが、目前で跳ねたボールは思ったよりも弾まずに伸び、阿部のキックは空を切る。転々とするボールにいち早く追い付いたハン・ジョンウォンが無人のゴールに流し込んだ。
呆気なく韓国に奪われた先制点。日本は、まずまずの滑り出しを見せていただけにネガティブな心理に陥らなければいいがと見ていたが、そんな心配は無用だった。先制点を喫した直後の11分、スローインを受けた川田のセンタリングをキム・ジェヒョクに競り勝った赤嶺がヘディング。クロスバーに阻まれるも、小林が詰めて頭で押し込み、間を置かずに追い付いた。
同点となってから、しばしゲームは膠着する。その中で光っていたのは得点を決めた２人。小林は切り替えの早いプレーで攻守に渡ってチームを支え、ハン・ジョンウォンは優れたボールテクニックで韓国の攻撃を引っ張った。双方の監督がキーマンと名前を挙げるだけあり、彼らのプレーに自然と視線が注がれる。そして20分、そのハン・ジョンウォンがドリブルで日本陣内の中央に割って入りペナルティーエリアに迫る。たまらず倒す登尾。ＦＫが韓国に与えられた。キッカーはチェ・ソンヒョン。ゴール正面、５枚の壁を越えたFKは直接ネットを揺らした。
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| 表彰式はモニターで |
後半になると、なんとかもっていた空からぽつぽつと雨粒が落ち、次第に本降りとなっていった。そんな中、ゲームは２度追い付いた日本のペースとなっていく。前半の終盤に見せた通り、徹底して左サイドにボールを集め、中盤の藤本、サイドバックの川田から、歯切れの良いクロスが前線に送られる。だがゴール前の味方にわずかながら合わず、勝ち越し点は奪えない。
韓国はというと、さっぱり攻撃が沈黙してしまった。このチームは３−５−２のシステムを敷いていたのだが、ほとんど５バックに近い状態で、韓国伝統の押しの強いサイド攻撃がまったく見られない。相変わらずハン・ジョンウォンにボールを集めるのだが、日本にしっかりとケアされていたために、ハン・ジョンウォンはボールキープも難しくなっていた。前に逸って縦パスを繰り出すが、パスの出し手とFWとの連携が取れずミスも目立つ。
前半とは全く違って、両チーム決定機に欠いた後半はロスタイムを迎えた。オーロラビジョンには３分と掲示される。そのロスタイムが２分経過したところで日本がFKを獲得。藤田の低く速いキック、さらには登尾のヘディングシュートがゴールを襲う。しかし、GKチョ・ミンヒョクはスーパーセーブを見せてCKに逃げる。そして、この最後のワンプレー。藤本のボールをニアで田代が頭で捉えると、ボールはサイドネットに突き刺った。日本の劇的な逆転ゴールが第１回日韓定期戦を結んだ。
今年の１月、Ｕ−23カタール国際大会で４位に入賞し、ある程度の成績は残した全日本大学サッカー選抜。しかし、韓国（こちらはオリンピック代表）に０−３の惨敗と苦杯を舐めた。今大会のメンバーはその時とは若干変っているが、同じ韓国の大学生達に負けるわけにはいかないという気持ちは強かったはずだ。そんな気持ちが生んだ終了間際の劇的な決勝ゴール。たくましい戦い振りだった。また、２失点とは言っても流れの中で崩されることはなく、守備面でもまずまずの成果があった。
ただ忘れてはいけないのは韓国は結成２週間で、組織という点でチームが固まっていなかったことだ。しかも後半は日本がゲームのイニシアチブを取りながらも一気呵成とはいかず、相手に合わせてしまった部分もある。また左サイドの攻撃には目を見張るものはあったが、攻撃のバリエーションが少ないことも気に掛かる。世界に通じるサッカーを目標に、これからも研鑽を積んでもらいたい。
