ハードスケジュールの向こうに何が見えた？横浜ＦＭ、城南一和に完敗。
A3 NISSAN チャンピオンズカップ 2004　城南一和vs.横浜Ｆ・マリノス

2004年2月22日（日）14:00キックオフ　中国・上海虹口足球場　観衆：2,000人
試合結果／城南一和３−０横浜Ｆ・マリノス（前０−０、後３−０）
得点経過／［城南一和］キム・ドフン（50分）、アデマール（62分）、シン・テヨン（82分）


文／大内孝彦

　東アジアの３ヶ国のリーグが共同で創設した「A3チャンピンオンズカップ」。第２回となる今大会は中国は上海で開催される。出場するチームは地元上海の２チーム、「上海申花SVA」（2003年中国Ｃリーグ甲Aリーグチャンピオン）、「上海国際」（2003年中国Ｃリーグ甲Aリーグ準チャンピオン）、それに2003年の韓国Ｋリーグチャンピオンの「城南一和」、2003年のＪリーグチャンピオン「横浜Ｆ・マリノス」の４チーム。そして、今年の開幕戦は城南一和と横浜Ｆ・マリノスの対戦となった。

　2001年シーズンからＫリーグを３連覇中の城南一和。Ｊリーグの神戸にも在籍していたことがあるキム・ドフンを筆頭に、韓国の各年代での代表を経験者を多く揃える、Ｋリーグを代表するチームである。
　対する横浜FMは昨年のＪリーグで史上２チーム目の完全制覇を果たしたチーム。当然、この大会への期待も大きい。しかし、アテネ五輪予選のために那須と坂田を欠いているのに加え、負傷のために松田、柳想鐵、河合がそれぞれ欠場。さらに日本代表の中澤までインフルエンザのために欠場と、決して万全のチーム状態とはいえない状況でこの大会へと臨んでいる。

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　試合は、開始早々から横浜FMが決定的ともいえる場面を作り出した。中盤で佐藤由紀彦が出足鋭く相手のパスをカット。そのまま城南陣内へとドリブルで攻め込むとゴール前へとクロスを入れる。これをゴール前で久保が落としたところを安貞恒がシュート。ゴール右へと決まり横浜FMが先制したかと思われたのだが、オフサイドの判定でノーゴール。安貞恒のポジションは相当に微妙であっただけに横浜FMにとっては残念な場面であった。

　前半10分、横浜FMは負傷した遠藤をベンチへと下げ、代わってレンタル移籍から復帰した田中を投入する。だが、急な交代であったためか、この日の田中は上手く試合の流れに乗ることができない。加えて、城南の厳しいプレスの前に横浜FMのミスが目立つようになり、試合の主導権は城南が握った。それでも中西を中心としたディフェンスがなんとかこれをしのぎ、横浜FMは城南の得点を許さなかった。しかし、反撃はままならない。城南が横浜FMのサイド攻撃に対しても十分なケアを行っているために、チャンスらしいチャンスを作り出すことができなかったからだ。結局、前半は両チーム無得点のまま終了する。

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　後半。「後半は、リスクを恐れずボールを繋いでいきたい。」という岡田監督のコメントの通り、得意のサイドからの攻撃を見せる横浜FM。だが、城南の守備を崩すまでには至らない。そして逆に城南に先制点を許してしまう。50分。城南が左サイドからゴール前へと入れたクロスがキム・ドフンへ通り、そのままシュート。これがゴール右へと決まり、実にあっさりと城南に得点が入った。この場面、ゴール前で最も危険な選手であるキム・ドフンへの横浜FMのマークが甘くなってしまっていた。

　こうして城南に先制点を許してしまった横浜FM。本来ならば１点を取り返すべく、反撃をみせたいところなのだが、この日の横浜FMは城南の厳しいプレッシャーの前に中盤を支配されており、なかなか反撃の糸口を見出すことができない。59分には田中に代えて大橋を投入して中盤の建て直しを図ろうとするのだが、そのすぐ後に追加点を奪われてしまうことになる。

　62分。ペナルティエリア付近のルーズボールにアデマールが反応。やや遅れて中西が反応したのだが、アデマールはこれを突破。そしてそのまま強烈なシュートをゴールへと叩き込み、城南のリードを２点としたのである。この日の横浜FMの出来もあわせて考えると、この２点目で試合の行方が定まったと言って良い。この後、横浜FMは72分に安貞恒に代えて清水を投入してなんとか試合の流れを変えようと試みるのだが、82分にシン・テヨンのゴールも許して３点目を献上。結局、横浜FMはほとんど良いところが無い内容でA3の開幕戦を落としてしまった。

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　韓国のチームらしいアグレッシブな試合内容で横浜FMを圧倒した城南一和。A3初制覇へ向けて好調なスタートを切ったといえよう。次の対戦は中国代表経験者を揃える上海国際である。
　対して完敗した横浜FMだが、この日の試合内容を見る限りでは、チームはまだコンディションを整えている段階のようだ。どうやら、この大会はリーグ開幕戦へ向けての調整の一環となってしまいそうな気配である。次の対戦はＣリーグ優勝チームの上海申花。今の状態では次も厳しい試合になるだろう。

　ところで横浜FMと城南は、この後、アジアチャンピオンズリーグでも対戦することになっている。４月７日は横浜FMのホームゲーム、４月21日はアウェーゲームが予定されている。４月の２試合に対して、この試合の結果がどのような影響を及ぼすことになるのだろうか。